今回、ご紹介するのは埼玉県さいたま市にある須藤邸。都心にアクセスしやすい沿線に建つ中古マンションを手頃な価格で購入し、リノベーションした須藤剛さん・由紀恵さんご夫妻は、ともに30代前半。郊外エリアでの中古マンションリノベーションという選択には、「リーズナブルに家を買う」「好みの空間に暮らす」「実家の近くに住む」という3つの目的がありました。


将来の子育てや仕事のことを考えて、都心へのアクセスが良い郊外を選択

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玄関からひと続きになったLDK。カラテチョップソファで寛ぐ須藤さんご夫妻


― 以前はどちらにお住まいになられていたのですか?

剛さん:結婚前は、僕は都内に、妻は地元であるさいたま市内に住んでいました。結婚後は、さいたま市内にある40平米ほどの2DKの賃貸マンションに暮らしていました。

― なぜ、「中古マンションリノベーション」という方法での住宅購入を選ばれたのですか?

剛さん:僕は建築設計の仕事をしているのですが、以前から「いつかは自分が設計した家に住んでみたい」と思っていたんです。将来の子育てサポートなどを考えて、実家の近くに家を持とうということになりました。戸建ても検討しましたが、新築するにはあまり条件のいい土地がなく、中古戸建てを買ってリノベーションするにも、このあたりは大きな家が多くて、手間と費用が掛かってしまう。そうして考えていくうちに、利便性の良い場所にある手頃なサイズの中古マンションを買ってリノベーションするのが、予算的にも機能的にもベストだという考えに至りました。
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玄関土間からベランダ方向を眺める。右手側はアトリエ、水まわり、寝室


由紀恵さん:当時の私はリノベーションというものを知らず、中古マンションを見ても、どんな風に変えられるのかがまったくわかりませんでした。でも、自分たちらしい家がほしいし、新築マンションのモデルルームを見に行っても、好みのものには出会えなかったので、「つくる」という主人の案に同意しました。その後、主人に「中古リノベーションとは」を叩き込まれました(笑)。

剛さん:とはいえ僕も、当時、勤めていた設計事務所は新築の仕事が中心で、リノベーションを手掛けたことはなかったんです。中古物件の増加や、リノベーションを選ぶ人たちが増えてきているのをみて、リノベーションに可能性を感じていたし、設計者として今後、取り組んでみたいという想いもありました。同時に、「中古リノベーションって大丈夫なの?」という気持ちもあって。だったら、まずは自分の家で試してみようじゃないかと思ったんです。 結果は大成功でした。

リノベーション後の「理想の間取り」をイメージしながら物件を絞り込み

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壁の一部はコンクリート躯体あらわし。壁面の窪みには収納を造作

― さいたま市内という条件のほか、広さや間取り、金額などについては、どんな希望をお持ちでしたか?

剛さん:都心部へのアクセスが良い駅が利用できて、駅から徒歩10分以内で、60平米以上。広いLDKをつくることができて、寝室と僕のアトリエが設けられるような物件を探しました。物件の購入代金とリノベーション費用を合わせて、2000万円以下を目指していました。

― 物件探しはどのように行いましたか?

由紀恵さん:主にインターネットの不動産情報サイトです。「賃貸マンションの更新時期に合わせて引っ越し」という人もいますが、焦って物件を選んで失敗したくはないし、急かされている状況でもなかったので、資金シミュレーションをしながら気長に探していました。1年間ほど探していたでしょうか。

― どんなところをポイントにして物件を選んでいったのですか?

剛さん:敷地内の植栽が手入れされているか、共用部がきちんと清掃されているかなど、共用部の管理状態はポイントにしました。専有部については、物件情報に載っている間取り図を見て、PS(排管などのパイプスペース)や窓の位置、キッチンや浴室の位置が、自分たちの理想の間取りに近いものを探し、絞り込んでから内覧に行きました。
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玄関土間とフラットに続くキッチン。大まかな位置は改装前と同じ


― PSや窓の位置、水まわりの位置は、リノベーションにどう影響してくるのでしょう?

剛さん:マンションの共用部にあたるPSや窓は、基本的に位置変更ができないんです。キッチンや浴室、トイレといった水まわりは、位置を変更すると、給排水管の延長や、給排水管を通すために床を高くする必要がでたりして、コストも掛かります。リノベーションを前提に中古マンションを探す際は、どんな間取りにしたいのかのイメージをプロに相談するなどして明確にしてから、それに見合う物件を探すという方法がおすすめでしょうね。

― 物件ごとに間取りを検討していったら、判断に時間が掛かり過ぎてしまいそうです。先に理想の間取りを考えて判断基準にする選び方は、効率的ですね。ほかにも、こんなところをチェックしておくと良いといったポイントはありますか?

剛さん:天井や床の点検口を開けると、天井仕上げや床仕上げを撤去した場合の天井高さが把握できます。僕らは、躯体のコンクリートを見せる仕上げにしたいと思っていたので、コンクリートの表面の仕上げ状況もそこからチェックしました。
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モルタルの土間が広がる玄関。左手にある鏡張りのドアはアトリエ入口


― 購入された現在のお住まいは、築27年の鉄筋コンクリート造のマンションで、専有面積は約60平米ですね。この物件の購入を決めた理由は何だったのですか?

由紀恵さん:主人が先に挙げたように、まずは管理状態がよかったこと。そして、1981年以降に建築された新耐震基準の物件であること、徒歩圏内で2駅利用できること、雁行型のマンションで多方向に窓があること、ペット可だったことが決め手でした。

剛さん:間取りも良かったんです。元は2LDKで、僕らが希望する、広いLDKと、アトリエ、寝室という間取りがつくりやすい物件でした。


>次ページでは、須藤邸の住宅購入の資金計画について伺いました。