怒りの感情はぶつけるとトラブルになり、抱え込むと恨みが生じる
日常的に起こる理不尽な出来事に、怒りが爆発しそうになったら……
たとえば、限定品を手に入れようと何時間も行列に並び、ついに自分の番が来たと思った矢先にまさかの売り切れ……。こんな事態に遭遇したら、誰だって怒りを感じるでしょう。その怒りを他人にぶつけると「トラブル」に発展し、抱え込むと「恨み」に変わってしまいます。
そのような事態にならないために、怒りの感情とどのように付き合っていけばよいのでしょう?
怒りを感じたときに生じる心身の4つの反応
怒りにつながる出来事に遭遇したとき、人の心身では「感情」「身体」「認知」「行動」という4つの領域に次のような反応が生じます。- 感情……ショック。やりきれなさ。イライラ。ムカムカなどの気持ち
- 身体……頭が真っ白になる。胃がキュッとなる。体が固まるなどの症状
- 認知……期待するんじゃなかった。自分はついてないなどの考え方
- 行動……大きなため息をつく、舌打ちをするなどの行動
直接アプローチできるのは「認知」と「行動」の2つ!
感情、生理機能、認知、行動の4領域の反応は、下図のようにお互いに影響を与えあっています。人間の心身では、感情、身体(生理機能)、認知、行動が互いに影響を与えあっている
怒りの感情に任せて短絡的な行動をとってしまうと、4領域の反応はより強くなるかもしれません。したがって、怒りを感じたときには、相互作用の効果で互いの反応が強くならないようにしていくことが大切です。
「感情」「身体」「認知」「行動」の4領域のうち、直接アプローチできるのは「認知」と「行動」です。認知と行動によって怒りを煽らないように、自分の考え方と行動を見直すことが必要です。
認知へのアプローチ……マイナス思考に巻き込まれず、合理的な解決を考える
「認知」と「行動」にアプローチする際には、何を心がけるとよいでしょう? 認知から説明しましょう。怒りの感情が沸き上がると、認知はネガティブになっていきます。「こんな店、もう二度と来ない!」「客を馬鹿にしているのか?」「私はいつもこうなる運命だ……」。このように悪い方にばかり考えてしまい、怒りをさらに搔き立てるのです。
そのため、いったん怒りが鎮まるまで余計なことを考えないようにしましょう。そして気持ちが落ち着いてから、問題を整理して次の行動を考えるとよいでしょう。
行動へのアプローチ……感情の鎮静を助け、攻撃的ではない伝え方をする
次に行動へのアプローチについて考えてみましょう。まずは、怒りが鎮まるまでの間に短絡的な行動をしないことです。怒りに任せて他人を攻撃し、物にあたったりすると、後になって後悔することになりかねません。そうならないためには、怒りが鎮まるまでの間にできることをしましょう。その一つに「足に意識を向ける」という方法があります。人は怒ると頭に血が上り、体が熱くなる感覚を覚えます。足に意識を向けながら、頭に上った血が下に落ちてくる様子をイメージしてみましょう。怒りがすーっと落ち着きやすくなります。
相手と交渉するなら、怒りが鎮まった後にしましょう。ただし相手を責める言い方ではなく、自分の気持ちをやわらかく伝えること。すると、相手も耳を傾けやすくなるでしょう。
怒りを感じたときには、上のように認知と行動に働きかけることで、怒りと上手に付き合っていきましょう。すると、穏やかな気持ちで毎日を送ることができると思います。