男の靴・スニーカー

撥水ではなく完全防水!革靴にしか見えないメンズ長靴

Weather Garments(ウェザーガーメンツ)のメンズレインシューズは、アッパーが塩化ビニルだから特に雨天時に威力を発揮。一見革製の紳士靴に見間違うかのようなトラッドな顔立ちも魅力です。ただし、販売はまずクラウドファンディングを活用した数量限定受注生産からスタート。その理由にも迫ります。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

革靴と見間違う完全防水シューズ!

ウェザーガーメンツundefinedレインシューズundefinedその1

ウェザーガーメンツのメンズレインシューズです。全くそうは見えないのですが、実はアッパーはゴム長靴と同様の塩化ビニル! ソールにはご存じイタリア・ビブラム社のものを採用しています。


地球環境の変化をモロに感じずにはいられない、昨今の異常気象。突然の土砂降りがここまで珍しくなくなると、当然ながら足元の装いにも変化が求められるのでしょう。必然的に注目されるのが、完全防水のいわゆるゴム靴。しかし、従来の長靴スタイルでは正直、ビジネスの場では少々気が引けるのも事実です。

今回ご紹介するWEATHER GARMENTS(ウェザーガーメンツ)の紳士靴は、それを克服した、正にスーツやジャケパン姿の足元でも様になるラバーシューズ。一見、普遍的なデザインの黒の紳士靴と錯覚してしまいますが、実はこれ、アッパーは文字通りゴム長靴と同じ塩化ビニル(PVC)なのです。つまり、撥水ではなく完全「防水」仕様ということ。

一方、底面はゴム長靴のようなアッパーとの一体成型ではなく、イタリア・ビブラム社のラギッドソールを圧着。言わずもがな絶対的な信頼を勝ち得ている底材なので、悪路でのグリップ力だけでなくクッション性や耐久性にも格段に優れます。しかも通常の紳士靴と同様に、ヒールが摩耗したら修理店での交換が可能な点もありがたいのです。

そして、この靴のパターンを作製したのは、以前の記事「新たなる伝説の予感 RENDOの靴」でもご紹介したRENDOの吉見鉄平氏。今や海外の幾つもの有名靴ブランドのデザインの屋台骨を支えている彼の作らしい、バランスの良いデザインだからこそ、革製の紳士靴に見間違えてしまうのですな。着脱可能なキルティタンを付けると、雨降りの休日にも「どんと来い。もっと降れ!」的に楽しく履けそう!

志半ばで中断した名企画の雪辱戦!

ウェザーガーメンツundefinedレインシューズundefinedその2

何せアッパーが塩化ビニルですので、多少の雨にはビクともしない完全防水。革靴はとても履けないけどゴム長靴もイヤ……そんな時に最適な一足になってくれます。持っておいて絶対損はしない靴になる!


と、ここまで記事を読まれて「あれ?同じようなコンセプトの靴、2・3年前に有名なセレクトショップで見た記憶があるぞ?」と思われた方もいらっしゃるのでは?そうです、実はこのWEATHER GARMENTSのレインシューズ、以前存在したブランドの雪辱戦なのです。そのブランドの名は、RAINMAN(レインマン)。

2013年に登場したRAINMANのメンズレインシューズは、見た目の普遍性と斬新な構造とのギャップもあってか評判は上々で、有名なブランドとのコラボレーションモデルを幾つも作れるまでになっていました。

国内・海外問わず更に売り込めると非常に期待されていたのですが……このブランドが所属していた大手の靴の企画・卸会社が2016年の夏に倒産してしまい、企画自体が宙に浮いてしまったのです。

今だからお話ししますが、実は私もRAINMANには大いに注目し、正にAll Aboutの男性向けウェブマガジンForMの企画で、ここの靴を採り上げようと思っていたところに、突如倒産の報が入り呆然というか「良いアイデアだったのに……」と悔やんだのが、未だに記憶に新しいです。

企画した方々は余計にそう思ったでしょう。WEATHER GARMENTSのレインシューズは、そのRAINMANの運営メンバーが独立し、その設計思想を蘇らせ、更にアップデートさせたものな訳です。

ただし蘇生・再立ち上げには、実は非常にシリアスな課題を抱えていました。資金の調達です。靴という商品は企画をし素材・部品を調達してから売り上げとして投資資金を回収するまでに結構な時間を要する商材。

つまり、事業規模の割に立ち上げの際の資金を多く要します。しかも、レインシューズのようなゴム製のものは、素材がケミカルなものだけに初期ロットが一般的な革靴よりも遥かに多く必要なのですが、それだけの資金は、到底個人レベルでは賄えない……

クラウドファンディングを活用した受注生産!

ウェザーガーメンツundefinedレインシューズundefinedその3

アッパーは黒のみですが、ソールは黒・ベージュ・レンガの3色の中から選べます。だからこんな組み合わせもOK。なお今回のクラウドファンディングを活用した発注では、靴紐の上に被せるキルティタンも無料で付いてきます。


そこで注目したのが、昨今注目を集めるクラウドファンディングの仕組みでした。今年の春に挑戦したところ、無事資金調達に成功。WEATHER GARMENTSとして再起のきっかけを掴んだ彼らが、体制をより強固にすべく目下2回目のクラウドファンディングに挑戦しています。

前回の手法と大きく異なるのは、今回は「実施確定型」、目標金額に到達しなくても「投資」した人の手元には商品が必ず届く点。

つまり、実質的にはクラウドファンディングの仕組みを応用した受注生産制のため、で、これなら圧倒的に気楽に投資=注文できますよね。アッパーの色とスタイルは目下ご覧のような黒のUチップのみですが、ソールの色はオーソドックスな黒・コントラストが映えるベージュ・カジュアル感が前に出るレンガの3色から選べます。

因みにソールは、RAINMANの頃より「更に上を目指す」思いを込めて、ビブラム社のモノにアップグレードさせたとのこと。なお、アッパーが塩化ビニルですので、通常の紳士靴とはサイズ感が微妙に異なるようですので、詳しくは企業サイトをお読みください。

【商品説明】
WEATHER GARMENTS レインシューズ

■サイズ
  • 7(25~25.5相当)
  • 8(26~26.5相当)
  • 9(27~27.5相当)
  • 10(28~28.5相当)
  • 11(29~29.5相当)

■色:アッパー…黒、ソール…黒・ベージュ・レンガの中から選択可能

■価格:いずれも税込・送料込
  • サイズ 7・8・9:最初の30足…1万6000円、次の50足…1万8500円
  • サイズ10:最初の30足…1万6000円
  • サイズ11:最初の20足…1万6000円
  • 2足セット:最初の10セット…3万500円

■クラウドファンディングによる特典
  1. 店頭予定販売価格より、1足あたり6500円~9750円OFF
  2. 送料無料
  3. 着脱可能なキルティタン(通常1500円)が付属

■クラウドファンディング受付終了時間:2017年9月16日(土)午前11時

■お受渡し:2017年11月を予定

紳士靴の分岐点?

自然環境だけでなく、ビジネスの環境も大きく変化してゆく中で、オリジナルな靴を作り・売り続けるのは、極めて大変なこと。ただ、そうした作り手の思いを、インターネットを介在させて以前に比べより直接的にユーザーに伝えることが可能になっているのも事実です。

今回のプロジェクトが順調に進めば、例えばプレーントゥとか他のデザインの靴も登場できるかも?そしてこのような取り組みが、ひょっとしたら日本の紳士靴が生き残るための分岐点だったと、やがて評価される時も来るのではないでしょうか。

【お問い合わせ先】
有限会社ベルク・アンド・バディ
HP:http://weathergarments.com
メール:info@weathergarments.com
今回のクラウドファンディングのアドレスはこちら

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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