大学生の国民年金、未納ではなく「学生納付特例制度」を
20歳になると国民年金に加入することになりますが、学生であっても例外とはなりません。国民年金は、老齢基礎年金、障害年金、遺族年金が受給できる、いざという時のためのもの。学生であっても、未加入ということだけは避けたいものです。国民年金の保険料は月額1万6590円(令和4年度)。
この金額を学生でも負担するのは厳しいところ。こんな時に利用できるのが「学生納付特例制度」。収入が一定額以下(扶養親族、社会保険料控除等がなければ、前年所得128万円以下)の学生には、保険料納付を猶予しようというものです。
この特例を申請しておけば、国民年金には加入していることになります。特に、一定の障害状態になれば障害年金を受給することができるので安心です。保険料の納付が難しい学生は、この特例を必ず受けましょう。
【大学生の国民年金について、動画でわかりやすく解説します】
<大学生の国民年金 目次>
追納は10年可能、余裕があれば保険料を追納した方が安心
ただしこの「学生納付特例制度」は、あくまでも納付の猶予。免除ではありませんので、将来受給する老齢年金の金額には反映されません。この老齢年金額を増やしたい時には、社会人になってから猶予してもらった保険料を追納しましょう。追納ができる期間は10年。ただし、3年目以降は本来の保険料に加算額が上乗せされます。追納をするかどうかの判断は迷うところ。払う保険料と将来受け取る年金額を比べてみましょう。
現状では支払う保険料1カ月分は1万6590円(令和4年度の金額)。一方で、40年間毎月(=480カ月)欠かさず保険料を支払った人が老齢年金として受け取れる年金額は、年間77万7800円(満額)。ここから逆算すると、1カ月の保険料納付分の対価として受け取れる老齢基礎年金は1620円と考えることができます(いずれも令和4年度の金額)。
つまり、老齢年金を10年超えて受け取るのであれば追納する方がお得というわけ。ただし、この計算は現行の年金制度のお話。また、物価も違うので単純に比較はできません。とはいえ、保険料を払うと将来の年金額が増えることは確かです。老齢年金は終身で受け取ることができるものですから、長生きのリスクを大きく軽減できるものです。人生100年時代といわれる今、追納しておくと安心ですね。
大学院進学で4年特例、将来の年金額は1割減
大学院進学などで学生時代が長くなり、この特例を受ける期間が延びる場合もあるでしょう。例えば修士大学院2年間通うと、通常24歳になります。となると、納付特例期間は4年間。これは、少し将来の老齢年金額が不安になります。というのも、将来の年金額は保険料を納めた期間に比例するからです。本来40年間(20歳から60歳まで)納めるべきところを4年間納めていないとなると、将来の年金額は10分の1減るということ。これは少し影響が大きくなります。
大学院時代は保険料を納める、社会人になってから追納をするなど対策を考えておくといいでしょう。
学生の国民年金保険料を親が負担することで節税効果も
実際には、学生である子どもの年金保険料を親が負担して支払うケースもあります。この場合は、親の所得税、住民税が安くなります。家族の年金保険料や健康保険料などを負担した場合、その金額を社会保険料控除とすることができるからです。学生である子どもの国民年金保険料を親が負担すると、所得税や住民税が節税に
保険料を支払うなら、付加保険料納付が絶対お得!
保険料を納付するなら、ぜひ払ってほしいのが付加保険料。これは、自営業者や学生などの第1号被保険者だけが加入できる、年金保険料のオプションのようなもの。将来の年金額を確実に、それもお得に増やすことができます。月400円の付加保険料を支払うと、将来の老齢年金額が年間「200円×付加保険料を支払った月数分」、年金がもらえる限りずっと上乗せされます。つまり、2年間年金を受給したら元がとれる制度です。物価などが変われば、単純に比較することはできませんが、これはお得ですよね。コーヒー代程度の保険料ですので、この付加保険料もあわせて納めると良いでしょう。
学生にとって年金は遠い世界のようにみえるでしょう。しかし、年金は老後のものだけではありません。
国民年金に加入すれば、たとえば事故などで障害状態になった時には障害年金が受給できます。もし、保険料が未納のままではその年金を受け取ることができません。
もちろん、人生100年時代といわれる今から、自分自身の老後の生活を見据える必要もあります。国民年金制度をきちんと理解して、自分の将来をしっかり守っていきましょう。
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