年金/国民年金保険料の免除・猶予

国民年金保険料の免除・猶予は生かさにゃ損

国民年金保険料は高額で、ついつい「未納」を続けている人が少なくありません。このままでは将来、無年金になるかも……。そんな不安を解消する制度があります。国民年金保険料の免除・猶予制度です。これらを利用するための要件をチェックしましょう。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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国民年金保険料を支払えない場合、救済措置がある

国民年金保険は、20歳から60歳未満の国民全員が加入し、保険料を納付する強制保険です。

しかし、厚生労働省の2014年6月の発表では、2013年4月~2014年3月分の国民年金保険料の納付率は60.9%。前年度より1.9%増加したとはいえやっと6割に過ぎません。未納の理由のトップは「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」(74.1%)で、「年金制度の将来が不安・信用できない」(10.1%)が続きます。

経済的な理由による未納に対しては、救済措置として次の3つの保険料免除・納付猶予制度が設けられています。 ちなみに2013年度、第1号被保険者のうち全額免除を受けた人は約34%の606万人に上ります。

●申請免除
経済的な事情等で保険料を納めるのが困難な人が対象

●若年者納付猶予制度
学生を除く30歳未満の第1号被保険者が対象。申請は平成37年6月までの時限措置

●学生納付特例制度
学校教育法に規定された大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、都道府県知事の認可を受けた各種学校(修業年限が1年以上の課程に在学している学生)、一部の海外大学の日本分校の夜間・定時制・通信制課程に在学中の学生が対象

※上記以外に生活保護や障害年金(1級・2級)を受けている期間中は、届け出ることによって保険料が全額免除される法定免除がある

では、これらの保険料免除・納付猶予制度について詳しく見ていきましょう。

 国民年金保険料免除・納付猶予・特例制度の所得基準

これらの制度を利用するとき、前に立ちはだかる大きな壁、それが「所得」です。それぞれ細かく基準が定められています。

●申請免除
申請免除には、「4分の1免除」「2分の1免除」「4分の3免除」「全額免除」があり、それぞれ前年(1月~12月)の所得――本人、配偶者、世帯主(親)それぞれの所得――が基準になります。

所得基準は次の通りです。
表は2011年5月18日に筆者が作成(現在も条件は変わらず)

表は2011年5月18日に筆者が作成(現在も内容は変わらず)

収入の目安額は次の通りです(上段が所得、下段のカッコ内が収入)。
表は2011年5月18日に筆者が作成(現在も内容は変わらず)

表は2011年5月18日に筆者が作成(現在も内容は変わらず)


なお、判定基準を超えた所得があったとしても、以下の理由により保険料納付が難しい場合は、保険料納付免除の特例(=特例免除)があります。

1. 風水害等の災害により被害が財産価格のほぼ2分の1以上の損害を受けた場合
2. 失業(倒産)、退職による場合(前年度中以降の失業に限る)
3. 配偶者からの暴力(DV)により配偶者(DV加害者)と住居が異なる人

※DV被害の場合の保険料免除について詳しくはこちらで確認してください

●若年者納付猶予制度
親と同居していても、親の所得の影響を受けることはありません。申請者本人およびその配偶者の所得が「(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円以下」であれば適用されます。

●学生納付特例制度
所得基準は、本人の所得が「118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」以下です。

国民年金保険料の免除・猶予・特例制度のメリットの説明は次ページで
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