年金/国民年金保険料の免除・猶予

国民年金保険料の免除・猶予は生かさにゃ損(2ページ目)

国民年金保険料は高額で、ついつい「未納」を続けている人が少なくありません。このままでは将来、無年金になるかも……。そんな不安を解消する制度があります。国民年金保険料の免除・猶予制度です。これらを利用するための要件をチェックしましょう。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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免除・猶予期間は受給資格期間にカウントされる

老齢基礎年金は、原則20~60歳未満の40年間のうち、現在は25年以上保険料を納付しなければ受給できません(=受給資格期間)。しかし、保険料の免除・猶予制度の承認を受けた期間は受給資格期間にカウントされます。これはとても大きなメリットです。

消費税が予定通り10%に引き上げられると、2015年10月から受給資格期間が10年に短縮されることになり、免除等の重要性はさらに増します。

免除でも納めなければいけない?保険料

全額免除・納付猶予以外は、軽減された保険料をあとで納付しなければいけません。さもないと未納扱いになります。納めるべき保険料はそれぞれ次の通りです。

●4分の1免除
保険料の4分の1が免除されるので、本来の保険料の4分の3の額を納付

●2分の1免除
保険料の2分の1が免除されるので、本来の保険料の2分の1の額を納付

●4分の3免除
保険料の4分の3が免除されるので、本来の保険料の4分の1の額を納付

●全額免除
保険料全額を免除

●失業や災害等による特例免除
保険料全額を免除

●若年者納付猶予制度・学生納付特例制度
保険料全額が納付猶予

未納や追納の場合、保険料はどうする?

未納の場合、本来は納付期限から2年さかのぼって納付(追納)可能です。しかし、保険料の免除を受けた期間の保険料は、10年以内であれば追納可能、と優しい制度設計になっています。

また、保険料納付猶予・納付特例を受けた期間の保険料も、10年以内であれば追納可能です。これらは保険料を追納しなくても未納扱いにはなりません。

なお、2012年10月1日~2015年9月30日は国民年金保険料の追納可能期間2年が10年以内に延長されています(=後納制度)。年金額を増やしたい、余裕ができたので追納したい、などと考えている人にはまたとないチャンス到来です。詳しくは日本年金機構のウェブサイトで確認してください。

保険料免除の場合、将来の年金額にいくら反映される?

国民年金保険料の申請免除の場合は、将来受け取る年金額に反映されますが、若年者納付猶予制度と学生納付特例制度は反映されません。ここが免除と納付猶予・納付特例制度との大きな違いです。

●4分の1免除
全額を納めた時の年金額の8分の7

●2分の1免除
全額を納めた時の年金額の8分の6(=4分の3)

●4分の3免除
全額を納めた時の年金額の8分の5

●全額免除
全額を納めた時の年金額の2分の1

表は2011年5月18日に筆者が作成(現在も内容は変わらず)

表は2011年5月18日に筆者が作成(現在も内容は変わらず)

保険料全額免除では、全額納めた人の年金相当額の半分(例:保険料12カ月納付に対する年金額が2万円とすると、全額免除の人の年金額は1万円)が年金額に参入されます。一方、若年者納付猶予制度学生納付特例制度は、利用期間中の年金額は0円です。

国民年金保険料免除・猶予の申請は?

国民年金保険料の免除・猶予申請は、原則、毎年行う必要があります。保険料一部免除と学生納付特例制度は、面倒ですが毎年申請しなければいけません。

ただし、保険料全額免除と若年者納付猶予制度の承認を受けた人が翌年以降も免除の継続審査を希望する場合は、申請書類の欄の「はい」に○印をつけると自動的に審査が行われるので、手続きは1回で済みます。

なお、国民年金保険料の免除(DV被害を含む)および若年者納付猶予・学生納付特例の申請は、申請直前の7月(学生納付特例は4月)でした。それが2014年4月から申請時点から2年1か月前までについてもさかのぼり、また失業や災害などを理由とする特例免除は、過去の分については2年1か月前までさかのぼり、現在の災害や失業などは、その前月から翌々年6月までの期間について免除申請できるように拡大されました。これはもう無年金者を減らす救済措置としか思えません。

※「国民年金保険料の免除等申請期間の拡大」について詳しくはこちらで確認してください

国民年金は将来のためだけのものではない

若者の中には「年金制度に将来はないから保険料は納めない」という人も見受けられますが、国民年金は老後のためだけではありません。生命保険のように、いま現在の障害や死亡への備えでもあります。

未納を続けていると将来やっぱり年金が欲しいと思った時には時既に遅しで、「受給資格期間の25年(消費税が10%に引き上げられた場合、2015年10月から10年に短縮予定)を満たすことが難しい」ということになりかねません。

過去2年間に保険料の未納期間がある人も、これらの免除・猶予・特例制度が利用できないかどうか、とりあえず年金事務所に問い合わせてみませんか? 
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