新しい世界遺産は21件、総計1073件へ!

世界遺産「歴史的万国租界、鼓浪嶼」

中国の福建省廈門市に誕生した新世界遺産「歴史的万国租界、鼓浪嶼」のノスタルジックな街並み (C)Jakob Montrasio

毎年開催されている世界遺産委員会。今年もポーランドのクラクフで開催され、新しい世界遺産が誕生した。

新登録の世界遺産は文化遺産18件、自然遺産3件、複合遺産0件の計21件。これで世界遺産の総数は1073件となり、文化遺産832件、自然遺産206件、複合遺産35件となった。

アフリカのアンゴラとエリトリアに初の世界遺産が誕生し、これにより世界遺産条約締約国193か国のうち、世界遺産を持たない国は26か国となった。

一方、最多保有国について、50件で2位だった中国が2件増やして52件に伸ばしたが、51件の首位イタリアも2件増で53件となり、首位を死守した。両国は来年2018年の世界遺産委員会にも2件ずつを推薦しており、首位争いが続きそうだ。

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世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」誕生!!

世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」

日本の21件目の世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の沖ノ島 (C)国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)

福岡県の「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群(登録基準:文化遺産(ii)(iii))」の登録が決まり、日本の21件目の世界遺産となった(文化遺産としては17件目)。

沖ノ島は九州本島の宗像大社の北西60kmに浮かぶ島で、中国や朝鮮半島に続く海道の要衝として重要な役割を果たし、4~9世紀にかけて聖地として崇められ、およそ8万点もの宝物が出土していることから「海の正倉院」の異名を持つ。現在でも女人禁制で、男性であっても年に一度、5月27日の大祭に約200人が上陸を認められるのみの聖域となっている。

中世以降は宗像大社の沖津宮として祀られ、九州本島-大島-沖ノ島にはそれぞれ市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)、湍津姫神(たぎつひめのかみ)、田心姫神(たごりひめのかみ)の宗像3女神を祀る辺津宮-中津宮-沖津宮が配され、広大な信仰空間を築き上げた。

沖ノ島(Googleマップ)

この物件、2017年5月上旬に文化遺産の調査・評価を行っているイコモス(国際記念物遺跡会議)から登録勧告を受けたが、8件の構成資産のうち沖ノ島と周辺の岩礁の4件の価値のみを認め、辺津宮や中津宮、新原(しんばる)・奴山(ぬやま)古墳群、沖津宮遙拝所を資産から外すよう提言した非常に厳しいものだった。

日本は地元や宗像大社の要望もあって全件の登録を求めて臨み、世界遺産委員会の理解を得て逆転に成功し、8件の登録が認められた。

■「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」構成資産
  1. 沖ノ島(宗像大社沖津宮)
  2. 小屋島
  3. 御門柱
  4. 天狗岩
  5. 宗像大社中津宮
  6. 沖津宮遙拝所
  7. 宗像大社辺津宮
  8. 新原・奴山古墳群

ただ、登録されはしたもののイコモスの指摘に対する合理的な反論や証拠の提示は弱く、世界遺産の在り方を考えさせる結果となった。また、今回の世界遺産委員会では情報照会や登録延期の勧告からの登録が相次ぎ、8件もの逆転が起こっている。近年、イコモスやIUCN(国際自然保護連合)といった諮問機関の軽視が大きな問題となっており、波紋を呼びそうだ。

なお、2018年の世界遺産委員会では文化遺産候補地「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」、自然遺産候補地「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の審議が予定されている。

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ジョージアのバグラティ大聖堂、世界遺産リストから抹消

バグラティ大聖堂

ジョージアの世界遺産「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」の構成資産からの抹消が決定し、元世界遺産となったバグラティ大聖堂

世界遺産「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」の範囲縮小が認められ、バグラティ大聖堂の構成資産からの抹消が決定した。これによりゲラティ修道院の単独登録となり、世界遺産名は「ゲラティ修道院」となった。

抹消の理由は、イコモスや世界遺産委員会の度重なる警告にも関わらず真正性(素材やデザイン・工法などが本物で伝統を正しく継承していること)を無視した修復・再建を強行したためで、鉄やコンクリートを多用し、推測で再建したことでその価値が失われたと判断された。

ドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」やオマーンの「アラビアオリックスの保護区」のように世界遺産がまるまる1件抹消されたわけではないが、抹消を覚悟されると国際社会にはなすすべがないという実情を見せつける結果となった。

[関連サイト]

危機遺産は2件増、3件減で54件へ

世界遺産「ウィーン歴史地区」、シュテファン寺院からの眺め

世界遺産「ウィーン歴史地区」、シュテファン寺院からの眺め。歴史地区の街並みは一定の高さに保たれているのがわかる (C)Roland Geider

これまで危機遺産リストには55件が登録されていたが、3件がリストから解除された一方、2件が追加され、計54件となった。

新たに危機遺産となったパレスチナの「ヘブロン/アル・ハリル旧市街」は、危機的な状況のため緊急的登録推薦という例外的な方法で推薦されており、イスラエルが調査団の入国を拒否するという異常事態の下での登録となった。

パレスチナはヘブロンを除いて2件の世界遺産を持つがいずれも緊急的登録推薦で、しかもイコモスが、緊急性がなく価値の証明も不十分として不登録を勧告したにも関わらず逆転で登録された。今回のヘブロンも緊急性が不明で、現地調査が行えないことから価値も不明確ということでイコモスは勧告を出さなかったが、みたび逆転登録となった。

イスラエルはこうした科学的根拠を欠く決議に対して「政治利用」として強く反発しており、ユネスコの活動から距離を置く声明を出している。

<危機遺産リストから削除された物件>

■シミエン国立公園
エチオピア、1978年、自然遺産(vii)(x)
エチオピア最高峰ラスタジャン山を中心に、驚異的な自然と多彩な動植物相を誇る世界遺産だが、公園内を横切る道路の開発や園内の違法放牧・野生動物の減少などを理由に1996年に危機遺産リスト入りしていた。影響の少ない代替道路の建設や放牧の管理計画が評価されて、今回リストからの削除が決定した。

■コモエ国立公園
コートジボアール、1983年、自然遺産(ix)(x)
コモエ川流域のサバンナや湿地帯に広がる公園で、ゾウやレイヨウなどの大型哺乳動物をはじめ多彩な動植物が見られるが、内戦により保護が進まず、密猟や不法滞在者による熱帯雨林の焼却、違法な農業や放牧活動による破壊などのため2003年に危機遺産リストに記載された。内戦の終結と保護活動の進展により危機が後退したことから削除が決定した。

■バグラティ大聖堂とゲラティ修道院→ゲラティ修道院
ジョージア、1994年、文化遺産(iv)
「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」の構成資産からバグラティ大聖堂が削除され、ゲラティ修道院の単独登録となったことで危機遺産リストから解除された。ジョージア政府と教会が真正性を無視した修復・再建を強行したため世界遺産委員会が政府に縮小を求めていたもので、今回縮小の申請が認められる形となった。

<危機遺産リスト入りした物件>

■ウィーン歴史地区
オーストリア、2001年、文化遺産(ii)(iv)(vi)
オーストリアや神聖ローマ帝国の首都として繁栄した帝都ウィーン。ウィーンでは現在、高層ビルの建設計画をはじめとする再開発計画が進められており、特にアイスステート・リンクやホテルを含んだ複合ビルがこれまでの高さ制限を超えることから歴史的都市景観に悪影響を与えるということで危機遺産リストに加えられた。

■ヘブロン/アル・ハリル旧市街
Hebron/Al-Khalil Old Town
パレスチナ、2017年、文化遺産(ii)(iv)(vi)
緊急的登録推薦が認められ、世界遺産リストへの登録と同時に危機遺産リストに掲載された。ヘブロンはエルサレムの南約30km、ヨルダン川西岸に位置する古都で、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教共通の聖地。ユダヤ人支配域とパレスチナ人支配域がモザイク状に連なっており、国際監視団が展開している。

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2017年新登録の世界遺産全リスト

世界遺産「イングランドの湖水地方」

ワーズワースやコールリッジといった詩人たちにも愛された「イングランドの湖水地方」。詩や絵画といった芸術活動にも大きな影響を与えた

それでは新たに登録された世界遺産と、重大な範囲変更が行われた世界遺産の概要を紹介しよう。

リストは文化遺産→自然遺産の順番で(複合遺産はなし)、各遺産内はヨーロッパ→アジア→オセアニア→北アメリカ→南アメリカ→アフリカ、さらにその内部は国名五十音順で記載した。なお、世界遺産の日本語名はガイドによる適当な訳で、正式名称は英語名となる。また、世界遺産の内容は推薦時のもので、その後の審議で若干変更されている可能性がある。

<文化遺産18件、重大な範囲変更3件>

■イングランドの湖水地方
The English Lake District
イギリス、文化遺産(ii)(v)(vi)
イングランド北西部に位置し、U字谷や氷河湖をはじめとするダイナミックな氷河地形や草原が広がる風光明媚な土地で、古くからこうした自然を利用して放牧や農業が行われてきた。ラングデールやウィンダミア、コニストン、ダッドン、エスケルなど12の景観と13の渓谷が、自然と人間が生み出した文化的景観として登録された。

■15~17世紀におけるベネチアの防衛施設:スタート・ダ・テラ-西スタート・ダ・マル
Venetian Works of Defence between 15th and 17th centuries: Stato da Terra – western Stato da Mar
イタリア/クロアチア/モンテネグロ共通、文化遺産(iii)(iv)
15~17世紀にベネチア共和国が外洋からの侵略に備えて築いた城壁や城塞・地下トンネルなど15件を構成資産とする遺産。主な構成資産は、ベネチアやサダル、フヴァル島、コルチュラ島の防衛システム、パルマノヴァやフォルテ・マーレ、ヘルツェグ・ノヴィの要塞、城塞都市であるベルガモやペスキエーラ・デル・ガル、ウルツィニ、コトル市など。
世界遺産「ゲラティ修道院」

「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」の範囲縮小により単独登録となった「ゲラティ修道院」。内部のフレスコ画がすばらしい

■ゲラティ修道院(範囲変更)
Gelati Monastery
ジョージア、文化遺産(iv)
1994年に登録された「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」の縮小で、バグラティ大聖堂の登録が抹消され、ゲラティ修道院の単独登録となった。キリスト教を国教とするグルジア王国の首都クタイシ郊外に建設されたキリスト教神学の総本山で、周辺がイスラム教化していく中で正教会の聖地として多くの僧や巡礼者を集めた。

■クヤータ・グリーンランド:氷帽末端におけるノース人とイヌイットの農業景観
Kujataa Greenland: Norse and Inuit Farming at the Edge of the Ice Cap
デンマーク、文化遺産(v)
グリーンランド南部の亜北極圏にあり、厳しい環境にも関わらず10世紀以降、イヌイットらによって農業や放牧、海洋ほ乳類の狩猟などが行われてきた。カシャスルスクやイグリクをはじめ5件の集落からなるシリアルノミネーション・サイトで、それぞれの資産には住居や農業施設・教会・農地・灌漑設備・埋葬地などが含まれている。

■シュヴァーベン・ジュラにおける洞窟群と氷河時代の芸術
Caves and Ice Age Art in the Swabian Jura
ドイツ、文化遺産(iii)
約43000年前の最終氷期にヨーロッパに到達した初期人類が築いたオーリニャック文化の洞窟群を中心とした遺跡で、アッシュバレーとローンリバーの6つの洞窟群で構成されている。動物の骨や牙から作られた人形や楽器・装飾品・宗教用具などが多数出土しており、初期人類の生活の様子をいまに伝えている。
「ワイマール、デッサウ、ベルナウのバウハウスとその関連遺産群」に登録されたデッサウのバルコニー・アクセス・ハウス

「ワイマール、デッサウ、ベルナウのバウハウスとその関連遺産群」に登録されたデッサウのバルコニー・アクセス・ハウス (C)M_H

■ワイマール、デッサウ、ベルナウのバウハウスとその関連遺産群(範囲変更)
Bauhaus and its Sites in Weimar, Dessau and Bernau
ドイツ、文化遺産(ii)(iv)(vi)
1996年に登録された「ワイマールとデッサウのバウハウスとその関連遺産群」の拡大。近代建築の四大巨匠のひとり、ヴァルター・グロピウスが設計したワイマールとデッサウのバウハウスに、後継者ハンネス・マイヤーが設計したデッサウのバルコニー・アクセス・ハウスやベルナウのADGB労働組合学校が追加された。

■アフロディシアス
Aphrodisias
トルコ、文化遺産(ii)(iii)(iv)(vi)
豊穣の女神アフロディーテの名を冠し、紀元前3世紀頃に築かれたた都市で、大理石の採石場が近いことから芸術文化が栄え、街は美しい彫刻やレリーフで彩られている。アフロディーテ神殿を中心にローマ劇場やハドリアヌス帝の公衆浴場、アゴラ、スタジアムなどが連なり、ヘレニズムからローマ時代にかけての文化を伝えている。

■タプタプアテア
Taputapuatea
フランス、文化遺産(iii)(iv)(vi)
フランス領ポリネシアのソシエテ諸島、タヒチ島の西約200kmに浮かぶライアテア島に位置し、サンゴ礁に囲まれたラグーンの近くにはマラエと呼ばれるピラミッド型の石造宗教施設が建設されている。ポリネシア最大級を誇るタプタプアテアのマラエは60×40mの大きさで、現世と神の世界をつなぐ聖域と考えられている。
世界遺産「ストラスブール:グラン・ディルからノイシュタットにかけてのヨーロッパ都市景観」のストラスブール国立大学図書館

「ストラスブール:グラン・ディルからノイシュタットにかけてのヨーロッパ都市景観」のストラスブール国立大学図書館 (C)Claude Truong Ngoc / Wikimedia Commons

■ストラスブール:グラン・ディルからノイシュタットにかけてのヨーロッパ都市景観(範囲変更)
Strasbourg: from Grande-île to Neustadt, a European urban scene
フランス、文化遺産(ii)(iv)
1988年に登録された「ストラスブールのグラン・ディル」の拡大。新市街=ノイシュタットのレピュブリック広場周辺のカイザープラッツ、カイザー・ヴィルヘルム等を含むエリアが拡大され、半木造のハーフティンバー様式を特徴とするこれまでの129棟の歴史的建造物に41棟が加えられ、計170棟が保護対象となった。

■タルノフスキェ・グルィの鉛・銀・亜鉛鉱山とその地下水管理システム
Tarnowskie Góry Lead-Silver-Zinc Mine and its Underground Water Management System
ポーランド、文化遺産(i)(ii)(iv)
16~19世紀にかけて地下資源の採掘が行われたフリードリッヒ鉱山の鉱床は地下10~50m、50平方kmにわたって広がっており、石炭や鉛・銀・亜鉛などの鉱石を産出した。採掘のためのさまざまな施設・設備が残る産業遺産で、特に蒸気機関によって地下水を汲み上げて給水・排水するシステムがユニークだ。

■スヴィヤズスク島の被昇天大聖堂と修道院
Assumption Cathedral and Monastery of the town-island of Sviyazhsk
ロシア、文化遺産(ii)(iv)
ヴォルガ川、スヴィヤガ川、シュチュカ川の合流地点に位置する要衝スヴィヤズスクは1551年にカザン・ハン国によって建設され、聖母マリアを祀る被昇天大聖堂はキリスト教布教の拠点として活動を行った。ビザンツ様式をベースにバロックをはじめ種々の様式で修復されており、内部は旧約聖書や新約聖書、聖人たちの壁画で覆われている。

■古都ヤズド
Historic City of Yazd
イラン、文化遺産(iii)(v)
シルクロードの要衝で、絹や香辛料などを運ぶ隊商貿易によって繁栄した。周囲を砂漠に囲まれたイラン高原の中央に位置し、山地から地中を通って水を引く水利システム・カナートによって水を確保し、厚い土壁によって気温差が激しい気候に対応するなど、独自の文化を築き上げた。イスラム教・ゾロアスター教・ユダヤ教等々、宗教の混在も特徴的だ。

■古都アフマダーバード
Historic City of Ahmadabad
インド、文化遺産(ii)(v)
15世紀以降、グジャラート州の主要都市として栄え、イスラム教・ジャイナ教・ヒンドゥー教を中心に多彩な宗教・多様な民族が共存する異文化融合都市を築き上げた。モスクや寺院等、それぞれの宗教の施設が点在するほか、スルタンの宮殿にもインドの伝統的なヒンドゥー建築とペルシア等の影響を受けたイスラム建築の融合が見られる。
世界遺産「古代イーシャナプラの考古遺跡、サンボー・プレイ・クック寺院地帯」

「古代イーシャナプラの考古遺跡、サンボー・プレイ・クック寺院地帯」南エリアの遺跡、プラサート・イェイ・ポアンの門

■古代イーシャナプラの考古遺跡、サンボー・プレイ・クック寺院地帯
Temple Zone of Sambor Prei Kuk, Archaeological Site of Ancient Ishanapura
カンボジア、文化遺産(ii)(iii)(vi)
6~7世紀に繁栄したアンコール朝の前身であるクメール人の王国・真臘(しんろう)の首都イーシャナプラの都市遺跡で、サンボー・プレイ・クックは「豊かな森の寺院」の意味。スターンセン川、オクロー川といった河川の流域に数々のダムや堤防・貯水池を築き、高度な治水・利水システムを完成させて広大な都市空間を築き上げた。

■歴史的万国租界、鼓浪嶼
Kulangsu: a historic international settlement
中国、文化遺産(ii)(iv)
鼓浪嶼(ころうしょ、コロンス島)は福建省廈門(アモイ)市沖に浮かぶ島で、18世紀頃からスペインやポルトガルの商人たちが住みはじめ、アヘン戦争後に締結された南京条約で開港されると外国人居留地として発展した。20世紀に入ると海外に渡った華僑や華人が定着し、アモイ・デコ様式をはじめ中国と西洋の建築様式が入り交じる独特の街並みを完成させた。

■「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群
Sacred Island of Okinoshima and Associated Sites in the Munakata Region
日本、文化遺産(ii)(iii)
先述、世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」誕生!!参照

■ヘブロン/アル・ハリル旧市街
Hebron/Al-Khalil Old Town
パレスチナ、文化遺産(ii)(iv)(vi)
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教のいわゆる「啓典の民」の始祖であるアブラハム(イブラヒム)の墓があることから3教の聖地とされる町で、ユダヤ人の入植やそれに反発するテロが続いており、国際監視団が展開するパレスチナ問題の最前線でもある。パレスチナの3件の世界遺産はすべて緊急的登録推薦で、いずれもイコモスの不登録勧告や勧告なしからの逆転登録となっている。

■ヴァロンゴ埠頭考古遺跡
Valongo Wharf Archaeological Site
ブラジル、文化遺産(vi)
リオデジャネイロに位置する奴隷貿易のための港湾施設で、1811年に建造が開始されると、以後数十年で90万人もの奴隷がアフリカから運び込まれた。1843年に突堤、1904年には新埠頭が建設され、近隣のヴァロンゴ墓地には2万~3万人の奴隷が眠っている。奴隷貿易が禁止された1888年以降はアフロ・ブラジル文化の中心地となった。

■ムバンザ・コンゴ、コンゴ王国の首都の痕跡
Mbanza Kongo, vestiges of the capital of the former Kingdom of Kongo
アンゴラ、文化遺産(iii)(iv)(vi)
アンゴラ初の世界遺産。ムバンザ・コンゴは14~19世紀にコンゴ王国の首都として繁栄した都市で、15世紀にポルトガル人が訪れて王に貿易や居住・キリスト教の布教を許されると西洋風のコロニアル住宅街が誕生した。ポルトガルの陶磁器とアフリカの金を交換する貿易のほか奴隷貿易の拠点となり、アメリカ大陸に多くの奴隷を送り出した。
「アフリカの近代都市アスマラ」

「アフリカの近代都市アスマラ」のアスマラ市街。長らくエチオピアの支配下にあり、1990年代はじめまで独立戦争を戦っていた (C)Charles Fred

■アフリカの近代都市アスマラ
Asmara: a Modernist City of Africa
エリトリア、文化遺産(ii)(iv)
エリトリア初の世界遺産。標高2300mに位置する農村にすぎなかったが、マラリアを媒介するハマダラカがいないということで1883年にイタリアの軍事基地が建設され、1900年にはイタリア領エリトリアの首都となって繁栄した。イタリア風コロニアル建築が立ち並ぶほか、エリトリア人地区にはアフリカの伝統的な家並みも残されている。

■コマニの文化的景観
Khomani Cultural Landscape
南アフリカ、文化遺産(iii)(iv)(v)(vi)
南アフリカ北部、ボツワナ・ナミビア国境に広がるカラハリ・ゲムズボック国立公園を構成資産とする世界遺産。砂漠やサバンナを中心とした過酷な自然で狩猟採取生活を送ってきたサン人(かつてブッシュマンと呼ばれた人々)の石器時代以来の生活の様子を伝える遺跡や文化的景観が広がっており、美的価値の高い岩絵や彫刻が確認できる。
世界遺産「青海フフシル」

世界でもっとも大きく、もっとも高い高原といわれるチベット高原に広がる「青海フフシル」 (C)始見

<自然遺産3件、重大な範囲変更2件>

■カルパチア山地とヨーロッパ他地域のブナ原生林(範囲変更)
Primeval Beech Forests of the Carpathians and Other Regions of Europe
アルバニア/イタリア/ウクライナ/オーストリア/クロアチア/スペイン/スロバキア/スロベニア/ドイツ/ブルガリア/ベルギー/ルーマニア共通、自然遺産(ix)
2007年にウクライナ/スロバキアの世界遺産として登録され、2011年にドイツに拡大されて「カルパチア山地のブナ原生林とドイツの古代ブナ林」となった。今回はさらに12か国に拡大するもので、もっとも多くの国にまたがる世界遺産となった。最終氷期以降に広がったブナ林を登録するものだが、ヨーロッパのブナ林のほとんどは伐採されており、数少ない生育地となっている。

■ダウリアの景観群
Landscapes of Dauria
モンゴル/ロシア共通、自然遺産(ix)(x)
モンゴルとロシアにまたがるステップ(半砂漠の草原地帯)を登録したもので、標高100~200mの低地に広がる草原を中心に砂漠や湿地・森林等々、多彩な生態系が広がっている。温度差が激しく、年間で約90度、1日で15~20度もの差があり、雨季と乾季が明確に分かれている点も特徴だ。生物多様性に富み、蒙古ガゼルやダウリアハリネズミなど固有種や絶滅危惧種も多い。

■青海フフシル
Qinghai Hoh Xil
中国、自然遺産(vii)(x)
チベット高原の北東、青海省に広がる青海可可西里国立自然保護区と三江源国立自然保護区からなり、標高4500mを超える土地に草原や砂漠・湖・氷河をはじめとするダイナミックな景観が広がっており、長江の水源にもなっている。平均気温が氷点下で、冬は-45度に達する過酷な気候に対応した珍しい種が多く、植物の1/3以上、ほ乳類の3/5は固有種だ。

■ロス・アレルセス国立公園
Los Alerces National Park
アルゼンチン、自然遺産(vii)(x)
アンデス山脈南部、パタゴニア北部に位置する国立公園で、活発な活動を続ける火山地帯にあり、資産の3/4はブナやヒノキなどからなる深い温帯林が占めている。特徴的な植物に固有種コリウエ竹があり、40~70年に1度いっせいに開花して生態系が刷新される。南米大陸に住む珍しい有袋類チロエオポッサムをはじめ、多彩な動植物が見られる。
世界遺産「W=アルリ=ペンジャリ国立公園複合体」

「W=アルリ=ペンジャリ国立公園複合体」のペンジャリ国立公園で群れをなすアフリカゾウ (C)Marc Auer

■W=アルリ=ペンジャリ国立公園複合体(範囲変更)
W-Arly-Pendjari Complex
ニジェール/ブルキナファソ/ベナン共通、自然遺産(ix)(x)
1996年登録のニジェール「W国立公園」を3か国に拡大した物件。一帯にはニジェール川、ペンジャリ川、メクロー川、アリボリ川という4河川が流れており、川・湿地・サバンナがモザイク状に広がる複雑な地形が多彩な動植物を育んでいる。ゾウやライオン、チーターをはじめ、生息地を追われた西アフリカの野生動物が逃げ込む避難所になっている。


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