2016年、第40回世界遺産委員会速報!

毎年開催されている世界遺産委員会。今年は7月10~20日にかけてトルコのイスタンブールで開催される予定だったが、クーデターの影響を受けて17日で終了となり、残りの審議は10月に持ち越された。しかしながら危機遺産リストや世界遺産リストの更新は終了し、今年も新たな世界遺産が誕生している。

今回は新登録の世界遺産の一覧表とその内容、危機遺産リストの変更点をはじめ、7月開催分の第40回世界遺産委員会の概要をお伝えする。なお、本記事はユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の公式サイトの情報を参考に編集した。

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第40回世界遺産委員会は異例の夏と秋、分散開催へ

世界遺産「ル・コルビュジエの建築作品」のひとつ、フランス・パリのサヴォワ邸

世界遺産「ル・コルビュジエの建築作品」のひとつ、フランス・パリ近郊のサヴォワ邸。近代建築の五原則(ピロティ・屋上庭園・水平連続窓・自由な平面・自由なファサード)による機能美を特徴としている

昨年2015年の第39回世界遺産委員会では、過激派組織による世界遺産に対する相次ぐ破壊行為を強く非難し、破壊の停止と世界の協調・修復を呼び掛けるボン宣言を採択した。

ところが1年を経ても状況は改善されておらず、イラクやシリア、イエメン、リビアなどでは相変わらず数々の世界遺産が危機的状況にある。第40回世界遺産委員会のホスト国であるトルコでもISIL(イスラム国)やクルド系・アルメニア系等々の武装組織によるテロ事件が頻発しており、世界遺産委員会開幕の直前、6月28日にもイスタンブールのアタチュルク国際空港で48人の死者と200人以上の負傷者を出す自爆テロ事件が勃発し、開催が懸念されていた。

ユネスコのイリーナ・ ボコバ事務局長は開幕にあたって、「(世界遺産条約に示された)顕著な普遍的価値の前に、すべての文化や信仰はひとつになることができるのです。たとえそれが他の地域・時代・文化のものであったとしても、ある世界遺産が破壊されることによって私たちの全員が苦しみ、全員が傷つくのです。危機的状況にある世界遺産を救うことは新たな世界遺産を登録することよりも重要です。それは人間の価値・権利を確認することに他ならず、傷ついた記憶を癒すことであり、自信を回復することであり、未来を探り、そして取り戻すことなのです」と述べ、世界遺産の価値を全人類で守り、保護・保全・修復を迅速に行うことを確認した。

しかしながら6月15日、トルコでクーデターが起き、軍の一部がイスタンブールやアンカラで戦車やヘリを展開して議会や空港を閉鎖した。クーデターはまもなく鎮圧されたが混乱は続いており、世界遺産委員会は17日をもっていったん終了し、残りの審議は10月にパリで再開されることとなった。

クーデターとは武力で政権奪取を試みることで、一般の市民や文化遺産を対象としていない点でテロとは異なっている。しかしながら民主的なプロセスを否定している点で、大きな非難が巻き起こっている。


新世界遺産21件誕生! 世界遺産の総数は1052件に!!

世界遺産「フィリッピの古代遺跡」円形劇場

ギリシアの世界遺産「フィリッピの古代遺跡」の円形劇場。均整の取れた姿が美しい (C) MrPanyGoff

17日までの会議において、新たに21件の世界遺産が誕生した。このうち文化遺産が12件、自然遺産が6件、複合遺産が3件となっている。

これにより世界遺産の総数は1052件となり、文化遺産814件、自然遺産203件、複合遺産35件となった。

これまで世界遺産を保有していなかったミクロネシアとアンティグア・バーブーダに初の世界遺産が誕生した。これで世界遺産条約締約国192か国のうち、世界遺産を保有していない国は27か国となった。

日本は世界遺産を1件増やして20件となった。中国は2件増やして50件となり、最多保有国であるイタリア(51件)についに1件差まで詰め寄った。