定年・退職のお金/老後の生活費と家計管理

65歳以降の生活水準を今からイメージしておこう

老後生活に不安を抱いている50代の御同輩は少なくありません。なぜ不安なのか。恐らく、老後の生活がイメージできないからでしょう。そこで、あくまでも平均値ではありますが、公的なデータを用いて、老後の生活についてイメージしてみたいと思います。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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高齢無職世帯の収支は赤字

最近は65歳まで働ける会社が増えてきました。なので、定年後の生活は65歳以降をイメージすれば良いのだと思いますが、それまでいくら貯めれば良いのか、という話はさておき、高齢者の生活は、どれだけの収入があり、支出があるのかを「平成26年全国消費実態調査」のデータで見てみましょう。

定年退職後の生活をイメージしておこう

定年退職後の生活をイメージしておこう


2人以上世帯で世帯主の年齢が65歳以上の高齢無職世帯の1世帯当たり実収入は、実収入が23万9545円です。内訳は、厚生年金などの社会保障給付が20万512円、その他が3万9033円です。

これに対して支出は、消費支出が24万3310円、非消費支出が3万334円で、合計27万3644円なので、差し引きで3万4099円の赤字になります。この赤字分を、退職金を含めた貯蓄の取り崩しで賄うわけです。

ただし、あくまでもこれは平均値ですので、人によっては黒字になるかも知れませんし、赤字になるとしても、個々人の消費性向によって月々の不足分は違ってきます。当然、贅沢な生活を望んでいる人は、この程度の不足分で済むはずがないので、それだけ現役時代にしっかり資産形成する必要があります。ちなみに平均値で見れば、夫婦2人で90歳まで生きたとすると、65歳から25年ですから、不足額は合計で1022万9700円になります。

働けるうちは働くこと

これが高齢勤労者世帯になると、状況は大きく変わってきます。社会保障給付に加え、勤め先からの収入が加わりますから、実収入の平均値は39万9924円になります。一方、消費支出と非消費支出の合計額が33万3010円ですから、このケースだと6万6914円の黒字です。ちなみに、このケースにおける世帯主の平均年齢は68.4歳ですが、このままのペースで80歳、90歳まで働けるはずはないので、どこかの時点で勤め先からの収入が減ることは想定しておくべきでしょう。

さて、これからは高齢者の「おひとりさま」世帯が増えていきます。昨今の離婚率の上昇、未婚率の上昇を考えれば、至極当然の流れです。
では、おひとりさま世帯の収支はどうなっているのでしょうか。ここでは高齢無職単身者世帯の収支を、男女別に見てみます。

男性の場合、実収入が13万9385円、消費支出と非消費支出の合計額が16万9616円なので、差し引きで3万231円の赤字。

対して女性の場合、実収入が13万875円、消費支出と非消費支出の合計額が16万2867円なので、差し引きで3万1992円の赤字になります。

ここから言えることは、2人以上世帯であろうとも、単身者世帯であろうとも、働けるうちは働くということです。60歳で役職を降りた後、再雇用契約、もしくは転職で70歳くらいまで働いて、毎月の収支の黒字分を貯蓄に回せば、70歳以降の生活は各段に楽になるはずです。

もちろん、70歳まで働くためには、健康も大事になります。50歳以降は資産形成に加えて、70歳くらいまで働ける健康な身体づくりも大事になってきます。

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