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子育て心理学から見た「一人寝」と「自立心」の関係

お子さんがある程度の年齢になってくると、「いつから一人寝をスタートさせるか」と考えます。新学年が始まる4月をそのスタート時期に据えているご家庭もあるのではないでしょうか? そこで今日は、一人寝と自立心の関係を子育て心理学の側面から見ていきたいと思います。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

一人寝と自立心の関係を子育て心理学で見てみると……

一人寝は子供の自立心を育むのか?

一人寝は子供の自立心を育むのか?


学年区切りのこの時期、新学年からの育児目標を立てている方も多いと思います。中には、「4月からは1人で寝ようね」と決めているご家庭もあるでしょう。

そこでこの記事では、一人寝と添い寝の比較をしながら、自立心との関係を見ていきたいと思います。

 
<目次>
 

一人寝、添い寝、その一番の違いとは?

パパやママに「おやすみ」と言って、1人で布団に入り、寝入るのが一人寝。一方、添い寝は、ママと一緒に布団に入り、眠りにつきます。この状況を見ると、明らかな違いはその人数にあるように思えます。一人寝は1人。添い寝は2人。

しかし、そこにはさらに大きな違いがあります。それは、子供の行動の方向性です。添い寝だと、ママに寝かしてもらいます。一人寝だと、自分で自分を寝かしつけなくてはいけません。子供の心理発達において、この”行動の方向性”はとても大事な項目になります。

 

能動的な行動と受動的な行動

行動の方向性は、「能動的か」「受動的か」に分けられます。この2つの違いは、自分からの働きかけがあるか、ないかです。

添い寝の子は、ママに寝かせてもらうので、受け身の体制。受動的な行動です。一方の一人寝の子は、自分から寝るので、能動的な行動です。

離乳食時代、ママに食べさせてもらっている時期は受動的ですが、手づかみ食べがスタートすると、その子の動きは能動的になり、フォークやスプーンの使い方をマスターしていきますね。あれと同じです。

これで分かるように、育児には、受動的な行動 ⇒ 能動的な行動というプロセスがたくさん含まれています。子育ての使命の1つと言ってもいいでしょう。

 

自立が先か、一人寝が先か、一人寝は自立している証拠なの?

これで行くと、睡眠に関しても、添い寝 ⇒ 一人寝という流れを取りそうなものですが、実は必ずしもそうではありません。

欧米の例を見れば明らかですが、人間は、生まれてすぐの時期から、実質的には1人で眠ることができます。海外のドラマや映画などで、小さな赤ちゃんが、ママやパパに「おやすみ」とキスされて、ベッドにゴロンとしているシーンを見たことはありませんか? 欧米には添い寝の習慣がありませんので、子供は生まれてすぐに、自分の部屋で一人寝することを覚えます。完全に親に依存している時期でも可能ということを考えると、自立していないと一人寝はできないというわけではないのですね。

「うちもそろそろ一人寝をはじめようかな」というとき、ママの心には、「もう5歳だから」「だいぶ自立してきたから」という思いがありますが、むしろ、自立はその後にやってきます。一人寝をマスターする過程の試行錯誤が、その子を大きく成長させるのです。

 

一人寝の子には自分流の入眠儀式がある

”試行錯誤”と書きましたが、一人寝マスターの道は、平たんではありません。子供たちは、「1人で寝るコツ」を自ら見つけ出さなくてはいけないからです。そのコツをつかむ過程で、「どうやったら1人で眠れるのか……」とたくさんの試行錯誤をしていきます。

やがて、子供たちは、一人寝をするための「自分流の入眠儀式」を確立するようになります。たとえば、
  • 目をつぶり、ぬいぐるみを抱っこする
  • 鼻歌を歌う(大きい声で歌うと眠れないこともすでに知っている)
  • ぬいぐるみにその日あったことを話しかける
  • リビングの話し声が遠くに聞こえるように少しドアを開けておく
  • 左側を下にして、壁に向かって目を閉じる
など、自分がこれをすれば眠れるという「習慣」を作り出すのです。すごいことですね。

親は、「一人寝ができるか、否か」ということに目が行ってしまうので、「一人寝=すごい!」ということになりがちですが、一人寝はあくまで努力の結果であり、それが確立されるまでのプロセスの方がずっとずっとすごいのです。だから、「自分で寝ようとしている努力」の方をしっかりとほめてあげてください。たとえスムーズにいかなくてもです。

この「自己流の習慣」を作る能動的な作業は、その子を精神的に大きく成長させます。本人はただ、自分で何とかしなくてはいけないから頑張るのですが、その能動的なプロセスこそ、自立心の卵なのです。

 

能動的な行動の1つ1つが自立心へとつながっていく

「自立」というと、なんとなく精神的な意味合いが強いと思います。しかし実際は、このような能動的な行動の集まりがその子の自立心へとむすびついていきます。
  • 「食べさせてもらう」から、「自分でスプーンで食べる」へ
  • 「着替えさせてもらう」から、「自分で靴下を履く」へ
このような1つ1つの能動性が、その子を自立した人間へと導きます。その点で言えば、一人寝への移行期間は、大事な自立心の育みステージと言えます。

すでに書いたように、一人寝に関しては、「何歳から」という区切りはありません。周りが一人寝をはじめると、なんとなく焦ってしまう気持ちもありますが、そのタイミングは、ご家庭ごと、環境ごとに違っていいのだと思います。とくにご夫婦で働いているご家庭などは、寝る時間も大切なスキンシップタイムだと思いますので、「一人寝」はひとまず横に置き、それ以外の能動的な行動を増やす働きかけをすることで、子供たちの自立心を育むのもいい方法だと思います。

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