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気持ちの切り替えが遅い子と早い子の違い・親ができる対処法

気持ちの切り替えが遅い子・早い子の特徴、親の関わり方などについてまとめていきます。子供たちが日々を過ごす中で、時には辛い思いをしたり、苦い体験をしたりすることもあるでしょう。そんなアップダウンに耐えうる、立ち直りが早い子の特徴とは何でしょうか?

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

失敗や困難からの立ち直りを早くするにはどうしたらいい?

立ち直りや切り替えが早い子と遅い子の違い・親ができる対処法

その子の立ち直りの早さに影響を及ぼしやすい親のある力とは?


日々を過ごす中で、子供たちは様々な変化、新たな出来事を経験します。その過程で、辛い思いをしたり、苦い体験をしたりすることもあるでしょう。しかし、その受け止め方はそれぞれ異なり、同じような失敗をしても、そこからすぐに立ち直れる子、いつまでも引きずってしまう子がいます。

今回は、両者の違いがどこから生まれるのか、そして親は子供の立ち直りを早くするためにどんな働きかけができるのかについてお伝えしていきます。

<目次>
 

気持ちの切り替えが遅い子、早い子、どこが違うの?

世の中には、どんな逆境に置かれても、何とかそこから回復できる強い心の持ち主がいます。一方、ちょっとした壁でも、へこたれてしまう人がいます。子供も同様で、逆境や失敗への耐性には大きな違いがあります。

この違いを、心理学では、「レジリエンス」という言葉で説明します。

気持ちがへこむ経験をした後、
  • すぐに立ち直れる子 ⇒ レジリエンスが高い
  • いつまでも立ち直れない子 ⇒ レジリエンスが低い
となります。レジリエンスの高さが、その子の回復力を左右しているのです。
 

気持ちの切り替えが早い子に共通する特徴とは?

立ち直りが早い子というと、何でも器用にこなす「できる子」をイメージするかもしれません。しかし、私たちは、いつもいつも成功し続けられるわけではありません。むしろ、世間でいう「成功者」といわれる人は、どん底から這い上がる経験をしていることが多いものです。

レジリエンスは、いったん落ち込んだ心を回復させる力。心の筋肉のようなもの。常に成功し続ける力を指すものではありません。立ち直りが早い子が、何でもできるイメージがあるのは、多くの失敗を経験しても、あきらめないで食らいつけるからなのです。

では、なぜあきらめずに逆境に立ち向かえるのでしょうか?

立ち直りが早い子の特徴として挙げられるのが、その楽観性です。同じことが起こっても、
「あぁ、もうダメだ」
「いつもこんな調子だ」
「先が思いやられる」
と、逆境をいつまでもどこまでも続くものと感じてしまう子と、

「今回はついていないな」
「ま、こんなこともあるか」
「ボクなら何とかなるだろう」
と、一時的な不幸と思える子では、次の一歩が違うのは明らかです。

逆境や不幸がずっと続くのなら、だれだってあきらめたくなりますし、一時的なものなら、頑張れる確率は格段に高まります。要は、逆境後の見通しが明るいか暗いかが、立ち直りの早さに大きく影響を及ぼすのです。
 

子どもの立ち直りや切り替えを早くするレジリエンス改善法

子供の先々の見通しが明るいか暗いかまで、親が関与することなんて、できないような気がするかもしれません。でも実はそんなことはなく、むしろ子供は、親から「どうやって見通すか」を学んでいるケースが非常に多いことが、これまでの心理学研究で分かっています。

子供の楽観度は、ある程度、生まれついた気質で決まっています。それを土台にして、生まれてからの数年間で、「どうやって物事を見るか」を固定化していきます。その際に、大きな影響を与えるのが、親の言葉です。特に、子供と過ごす時間が長いママほど、大きな影響を及ぼします。

もしママが困難な状況に陥ったとき、

「あ~あ、もう私って、いつもいつも貧乏くじを引くのよね」
「もう最悪!!! これじゃどうしようもない」
「こんなの100%無理!」
「もう絶対立ち直れない」

こんな言葉ばかり漏らしていたら、横で聞いている子供は、

「ついていないと、ずっとついていないんだな」
「もう何をやっても100%無理なんだ」
「イヤなことが続くってイヤだなぁ、サイアク」

のように解釈し、そのまま飲み込んでしまうのです。ママの言葉と一緒に、ママの考え方まで吸収してしまうのですね。

逆に、ママが、

「あ~ショック、だけど何とかしなくちゃね」
「ま、ママなら大丈夫。何とかしてみせるわ」
「さて、どこから手をつけようかな」

のように、落ち込みつつも、解決に目を向ける発言をすると、子供は、

「そっか、何とかなりそうだぞ」
「ママってすごい」
「イヤなことでも、何かはできる」

と先行きの明るい解釈を学ぶことができます。このようなパターンが日々の会話で繰り返されることで、その子の楽観性として定着し、失敗や困難に遭遇したときに、レジリエンスとなって力を発揮してくれるのです。

なお、子供に影響を及ぼすママの言葉は、母子間の直接の会話だけではありません。ママが1人でぼやいたり、ママ友に愚痴ったりなど、自分以外に向けられた言葉でも同様に吸収していきます。お子さんの年齢が小さければ小さいほど、その影響力は高くなります。日々、自分がどんなタイプの言葉を発しているか、これを機会に振り返ってみてください。

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