タバコをやめると太る? 禁煙とダイエットの両立は可能か
禁煙しようとすると、自然に食欲が湧いてきませんか?
太りやすくなる理由の1つは、タバコに含まれるニコチンです。ニコチンには、食欲を抑制する作用と基礎代謝を上げる作用があるといわれています。禁煙をはじめると、2~3日でニコチンは体から抜けていきます。すると、ニコチンによる食欲抑制作用も基礎代謝を上げる作用もなくなり、食欲は出るのに基礎代謝が落ちて体重増加につながるというわけです。
2つめの理由は、嗅覚と味覚が戻ってくるため、食べものが美味しく感じるようになることです。そのため食べ過ぎて、カロリーオーバーになってしまう人が多いようです。
3つめは、タバコが吸えない口寂しさとストレスから、スナック菓子や甘いものについ手が伸びてしまいがちということ。何も考えずに高カロリーのお菓子を食べつづければ、当然体重は増えてしまいます。
こうした理由から、禁煙と同時に急激なダイエットをはじめる人もいますが、それは禁煙にもダイエットにも逆効果。禁煙当初は、依存性のあるニコチンが体から抜けることで、「イライラして集中できない」などの離脱症状が起こります。これにダイエットによるストレスが加わると、結局、どちらも継続できず失敗してしまうことになりがちです。
食欲を抑えるコツ…よく噛んで満腹感を増すのが有効!
では、禁煙とダイエットは両立できないのかといえば、必ずしもそうではありません。禁煙を継続させる方法にダイエットの要素を上手に組み込むことで、大幅な体重増加を抑えるとともに、健康的な体をつくることができます。体が健康になれば、禁煙後に本格的なダイエットを行う際に、より高い効果が期待できるでしょう。禁煙による食欲増進への対処としては、食事の習慣を変えてみることです。食事の量は「腹八分目」が基本ですが、人が満腹だと感じるのは脳の満腹中枢が刺激されるからです。食べ物をあまり噛まずに早食いになっていると、満腹中枢へ刺激が届く前に食べ過ぎてしまいます。食事は、1口につき20回以上噛むことを意識して、ゆっくり味わいながら食べましょう。
口寂しさで何か食べたくなったら、低カロリーの食べ物を選んでください。たとえば干し昆布や干し梅、低カロリーのガムやキャンディーなどがおすすめです。また、空腹感を感じたら、とりあえず一口飲み物を飲むというのも、食欲に歯止めをかけてくれます。もちろん糖分が入っているものは避け、温かいお茶や白湯などにすれば、胃に負担をかけずに空腹感を抑えることができるでしょう。
禁煙で食欲が増しているのに、太るから食べられないというのは、本人にとってはかなり大きなストレスです。しかし、この増進された食欲も、禁煙から3カ月もすれば落ち着きます。まずは禁煙を成功させて健康的な体をつくること。それから本格的なダイエットに進んでも遅くはありません。
禁煙とダイエットの両方に効くのは適度な運動
禁煙継続の方法に、タバコが吸いたい欲求を別のことに置き換えるやり方があります。これは同時に、食欲を抑える方法でもあります。両方に効果を期待できるのが、適度な運動です。運動には禁断症状を抑える効果があり、体を動かすことでカロリー消費やストレス発散も期待できます。たとえば、ウォーキングやジョギング、ストレッチなどは、少しの時間で行えて継続もしやすいものです。電車通勤なら最寄り駅の1駅手前で下車して歩く、自転車通勤にしてみる、エレベーターを使わず階段を利用するなど、日常でできることはいろいろあります。時間が取れるのならばフィットネスジムに通うのもいいでしょう。ジムにいるあいだはタバコを吸えないので、禁煙継続にも役立つでしょう。簡単にできるものとしては「30秒でイライラをリセット! 禁煙成功ストレッチ」といったスキマ時間にできそうなストレッチもあります。
禁煙もダイエットも、「吸いたい」「食べたい」というストレスにどう対処するかが継続のコツ。また、禁煙中に多少体重が増えても、気にしすぎないことです。きちんと禁煙できているのなら、「太ったのではなく本来の体重に戻った」のだということ。タバコに含まれる有害物質のせいで「やつれていた」体が、健康を取り戻そうとしているのです。禁煙とダイエットはポジティブシンキングでいきましょう! (監修:今村 甲彦)