タバコ・禁煙/タバコの害・病気・禁煙のメリット

最悪は手足切断…若い喫煙男性を襲うバージャー病とは

慢性的な呼吸不全になってしまい、死亡率も高いCOPDに次ぐタバコ病・バージャー病。20~40才の比較的若い年齢層の喫煙男性に起こりやすく、最悪の場合は手足の切断手術が必要になります。意外とあまり知られていないようですが、難病指定されている怖い病気です。わかっている効果のある予防方法は禁煙のみ。あなたはこの事実を知っても喫煙を続けますか?

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

喫煙者が知っておくべきタバコ病…バージャー病とは

慢性的な呼吸不全を引き起こす
タバコ

慢性の呼吸不全を起こすCOPDに次ぐタバコ病である「バージャー病」。わかっている予防法は禁煙しかありません

慢性閉塞性呼吸障害(COPD)
を第一のタバコ病とするならば、バージャー病は第二のタバコ病というべき病気です。

耳慣れない病名かもしれませんが、日本にも1万人ほどの患者さんがいるといわれている難病ですが、COPDと異なり、男女比は10:1で男性に圧倒的に多いのが特徴。

20~40才の比較的若い喫煙男性に発症します。動脈硬化による他の血管の病気と異なる点です。

ごく簡単にいうと、喫煙の影響で手足(特に足)に血液を送る動脈が詰まってしまう病気で、重症化すると手足の切断手術が必要になります。多くのバージャー病の患者さんやご家族の方が大変な日常生活を送られていることは、意外とあまり知られていないようです。

バージャー病の症状

バージャー病は動脈の病気として考えられます。特に四肢(特に下肢)の太い動脈に炎症が起きます。

主な症状は、神経症状、血行不良による障害、下肢の痛みの3つ。最悪の場合、手足の切断手術が必要になります。

■バージャー病の主な症状
  • 神経症状…指趾の冷感、しびれ感、安静時疼痛
  • 血行不良…皮膚の蒼白化、皮膚の潰瘍(皮膚の欠損)、指の壊死。最悪の場合、手足の切断手術が必要となる
  • 下肢…安静時とは別に、歩行と関連した痛みの発生。長い距離を歩くと足が痛くなり、ひと休みすると再び痛みが軽くなるのが特徴
動脈に炎症が起きることでその部位で血液が固まったり、動脈の壁が厚くなったりして、結果的に血液の流れが悪くなります。これを閉塞性動脈炎と呼びます。静脈でも走行にそって炎症が起きることがあります。

方法は禁煙のみ! バージャー病の予防・症状改善

バージャー病は公費負担のある難病指定を受けています。手足の切断という重大な事態を招く病気ですが、難病指定されていることからもお分かりの通り、この病気の本当の原因やメカニズムはまだはっきりとわかっていないのです。

とはいえ、喫煙がバージャー病を悪化させ、進行させる増悪因子であることは明らかです。タバコを吸わない人に起きることはほぼない、喫煙者の病気と言えます。禁煙がバージャー病のもっともよい予防方法という事になります。

そして医師の立場から言わせていただくと、バージャー病の進行を止めるには禁煙が絶対的に必要です。また、本人が禁煙しても周囲の喫煙による受動喫煙も症状を悪化させてしまいます。受動喫煙の予防にはもちろん周囲の人の理解が必要ですね。

愛煙家の方、このバージャー病慢性閉塞性呼吸障害(COPD)について知ってもまだ喫煙を続けますか? 続くタバコの値上がりを良い機会に、ご自身の健康と、愛するご家族や、恋人のために禁煙を考えてみてはいかがでしょうか。
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