PSVRに全編対応したバイオハザード7
一部対応タイトルはよくありますが、全編VR対応してくれる大作ソフトは非常に珍しいです
VRとホラーゲームは非常に相性がいいと言われています。しかもバイオハザード程の大作が全編VR対応となると、どれ程その体験に変化があるのか、気になる方も多いんじゃないでしょうか? というわけで、今回はバイオ7がVR化したことでゲーム体験にどんなインパクトがあるのかというご紹介をしてみたいと思います。
なお、今回のご紹介はバイオ7をクリアまでプレイしてのご紹介ではありません。というのも、実はバイオ7のVRモードはプレイする人によっては車酔いに似た状態になることがあります。「VR酔い」なんて言い方をしますね。これは個人差があるのですが、ガイドはそれなりにVR酔いをする人間でした。
ですので、長時間の連続プレイができませんので、1日に少しずつしか進めることができていません。というわけで、あくまでバイオ7全体の評価に関わる話ではなく、序盤を進めて、VRでプレイした時と、通常のモードをプレイした時の変化などについてお話できればと思います。
またあわせて、VR酔いについても、少しお話したいと思います。なお、ストーリー的なネタバレはありませんが、ご紹介する都合上、序盤で起きる出来事についていくつか触れる部分はありますので、何も情報を入れずにプレイしたいという方はお気をつけください。
VRで入ったゲームの世界は、朽ちかけた廃屋だった
VRはまるでゲームの世界に行けるような体験が楽しめます。女子高生の部屋に行けるゲームもありますが、バイオ7ではそんな楽し気な場所には行けません
バイオ7は、従来のシリーズからの大きな変化として、視点が変更されました。これまでのバイオハザードシリーズでは、キャラクターの姿が画面に見えていましたが、今回は自分の目線とキャラクターの目線が一致している、いわゆる主観視点となりました。これを公式では、主観視点と「孤立」「分離」と言った言葉をあわせた用語で「アイソレートビュー」と呼んでいます。
主観視点はVRと非常に相性がいいんですね。VRヘッドセットを装着すると、視界のすべてがゲームの世界で覆われます。そしてそれは立体視で表現され、しかも主人公の視点です。ヘッドトラッキングによって、頭の動きと視点が完全に一致し、周りを見渡せばゲームの世界が広がっています。
耳にはヘッドフォンやイヤホンをしますが、PSVRのサウンドプロセッサがこれを3D音響にしてくれるので、遠くで聞こえる音や、耳元で囁く音など、立体的に音が聞こえます。
こうなると、臨場感とか、没入感という言葉すら生ぬるく、ゲームの世界に入ってしまったような錯覚に襲われます。ただし、入るのは夢あふれる素敵な世界ではありません。バイオハザードですから、例えば真夜中の廃屋に放り込まれるわけです。自分自身が。台所で何気なく鍋の蓋を取ると、ゴキブリがワサワサッと手にはってきて、思わずコントローラーを落としそうになります。
「目の前」の惨劇
目の前に刃物をつきつけられる恐ろしさといったら…!
ナイフを持った女性が、髪を振り乱しながら全力でこちらを刺しに来ます。防ごうと思って思わず出た手にナイフが刺さります。自分の手が刺されているようで寒気が走り、頭の中は「マズイマズイマズイマズイ」と連呼しています。
さらに振りかぶって何度も刺そうとしてきます、全力で、顔面を。ギリギリ押さえつけた刃が目と鼻の先でブルブルと震えます。本当に、目の前に、血まみれのナイフがあるというのが、これほど恐ろしいことだとは知りませんでした。
「殺される」そう思って必死にその女性を殴り、拾った斧で滅多刺しにして、自分も刺されながら、血まみれになって倒します。攻撃をするR2ボタンを無我夢中で押している自分にはっと気がつきます。
アイソレートビューを意識して、そしてVRを意識して、今回のバイオはプレイヤーの顔にめがけて恐ろしいことが起こる、という演出がたびたび出てきます。そしてVRモードで遊んでいた場合、それは文字通り「目の前」で起こるのです。
指がすくむ
人影が見えるとドキーッとします
しかし、あまりに恐ろしい体験をすると、恐怖の方が先にたって、思わず後ずさりします。まさに後ずさりですね、視線を外して動くのも怖いので、後ろを向かず、そのまま後退してしまいます。
あまりの恐ろしさにしばらく物陰に隠れてやり過ごすんですが、どうにもこうにもその場でじっとしていてもゲームは進みません。意を決して歩こうとするも、指がすくみます。しばらくドキドキしながら立ち尽くしている自分に気がついて、ゲームの世界の中で怯えていることに驚きます。
初めてプレイしたバイオを超えるバイオ
バイオ7は、解決すべき問題点もありつつ、PS4やPSVRの可能性を見せてくれます(イラスト 橋本モチチ)
逆に言うと、PSVRでプレイしている時は、頭では自宅の部屋でプレイしていると分かっていても、体が危険を感じて指がすくむようなことがあるということです。我が身にふりかかるようなこの恐怖は、ゲームに限らず、他のホラーコンテンツでもなかなか味わえません。
さて、別次元の恐怖を体験させてくれるPSVRのバイオ7ですが、1つ大きな問題があります。VR酔いですね。最後にVR酔いについても少しお話したいと思います。
「右スティック問題」と言われることがあるんですが、VRのゲームを遊ぶ時に、自分の足で動いたり、ヘッドトラッキングで顔を動かして視点変更したり、あるいは自動でレールのようなものの上を動いていく場合には酔いにくいのですが、右スティックを使って視点を動かすと、途端に酔いやすくなります。
バイオ7ではVR酔いを軽減する為に工夫がされていて、その1つが視点変更です。バイオ7では、左スティックで動く時は他のゲームと変わらないんですが、左スティックで体の向きを変える際には、通常通りスムーズに動かす操作と、30度ごとに瞬時に向いている方向を変える操作の2つを用意しています。
途中を省いてガクッと動かす方が酔いが軽減されるんですね。同様にしゃがむ操作も、通常のプレイではスムーズにしゃがみますが、VRモードでは途中を省いて視点が一気に下に下がります。
それでも、VR酔いが完全になくなるわけではありません。ただ、勘違いしないでいただきたいのは、すべての人がみんな酔うというわけではありません。人によっては、通常通りのスムーズな動きでも全く酔わない人もいますし、大変な酔いでプレイできない、という人もいます。
ですから、もしPSVRでバイオ7を遊んでみたいという人は、ぜひ体験版を先にプレイすることをオススメします。自分がどの程度酔うのか、というのを把握してから購入した方がいいでしょう。
恐ろしさが本当に別次元なので、その恐怖に耐えられるかという意味でも、体験版をプレイした方がいいかもしれません。怖いのが好きという人はいいんですが、最近のバイオハザードシリーズと同じ程度の怖さだと思っていると、大変な目にあいます。
また、あくまでガイドが実際に試した個人の経験としてお話しておくと、車酔いの時と同じようにガムを噛んだり、市販の車酔いの薬を服用してもVR酔いに対してかなり効果がありました。繰り返しになりますが、あくまでガイド個人の体験ですので、読んでいる方に当てはまるとは限りませんが、試した限りでは、車酔いの対策がある程度VR酔いにも当てはまると実感しました。
バイオ7は原点回帰ということで、シューティングよりになっていたゲーム性を初代に近いホラーゲームよりに戻しています。最も怖いバイオハザードはどれか、と言われれば、多くの人は「自分が初めてプレイしたバイオハザード」ではないかと思います。
ガイドも実際にそう思っていました。しかし今回のバイオ7はVRのテクノロジーによって恐怖をテレビの向こうから引きずりだして自身の体験にまで置き換え、「自分が初めてプレイしたバイオハザード」をも超える恐怖を提示しています。
それは、バイオハザードというゲームが世の中に出た時に、ゲームとホラーの組み合わせで作り出せる新しい恐怖があったのと同様に、VRとホラーの組み合わせによってそれまで体験したことの恐怖を創造しているからかもしれません。
VR酔いなどの解決しなければいけない問題点はあるものの、VRという技術によってゲーム体験が一変するそのすごさは、未来を感じさせるものです。PSVRをお持ちの方で興味を持たれましたら、ぜひまずは体験版で試してみていただければと思います。
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