ひそかなブーム「投資用ワンルームマンション」
読者の皆さんは、「ワンルームマンション」という言葉を耳にすると、果たしてどんな事を頭に思い浮かべるだろう? 昭和バブル期をご存知の方なら「専有5坪程度(約16.5m2)の手狭な空間」「一口電気コンロのキッチン」「職場等への電話セールス」「空室対策に苦労」「資産価値の目減り」等々。地価高騰が招いた弊害は様々な場面に及んだ。だが、今では随分と様子が異なるようだ。「専有面積は20m2半ば」「二口ガスコンロ」「シックな内装インテリア」とファミリータイプで培った分譲ノウハウが商品企画にいかされ、実用性も兼ね備える。販売集客面でも「初心者にもわかりやすいセミナー形式」で「安定した利回り商品」として提供。満席続きが多いと聞くから、まさにこの市場は「様変わりした」といえる。
首都圏は人口が増え(「東京の地価は上がり続けるのか」参照)、世帯は少人数化しているため、コンパクトマンションの需要は当面減らないとみる。実際、都心の少人数世帯向けハイグレード賃貸物件は高稼働で安定。ボラティリティの高い為替や株式市場での資産運用は何かと予測しにくいが、ワンルームマンションの家賃相場はどの国がEUを離脱しようと他国の大統領が誰になろうと変わることはない。無論、超低金利という追い風が背景にあるのだが。
三菱地所レジデンスが「ザ・パークワンズ」発足
2016年12月、マンションデベロッパー大手の三菱地所レジデンスが資産形成を目的としたワンルームマンションブランド「ザ・パークワンズ」を発足。会員組織「ザ・パークワンズクラブ」を立ち上げ、千代田区に常設モデルルーム「ザ・パークワンズ 丸の内サロン」も開設した。第一弾物件は「ザ・パークワンズ 千代田区佐久間町」と「ザ・パークワンズ 品川戸越」。「ザ・パークワンズ 千代田佐久間町」は日比谷線「秋葉原」駅より徒歩5分。地上11階建て、住戸数27戸。「ザ・パークワンズ 品川戸越」は都営浅草線「戸越」駅より徒歩6分。地上13階建て、住戸数84戸。一般集客を2017年1月から開始する。
「ザ・パークワンズクラブ」は現時点で約1,300名が入会。同社分譲マンションシリーズ「ザ・パークハウス」会員向けの募集告知をきっかけに入会した人の割合が高い。自己居住用の他に「もうひとつ分譲マンションを持ちたい」と考えるオーナーが増えてきたようだ。「ザ・パークワンズ 丸の内サロン」では「ザ・パークワンズ 品川戸越」Bタイプのモデルルームを設営。同施設内のインテリアコーディネートはサザビー社が手掛けた。
三井不動産レジデンシャル「パークリュクスmono」は
首都圏で約800戸の実績
前回の不動産ブーム「ミニバブル」(2006年-2007年)では、その直後(2009年)に三井不動産レジデンシャルがコンパクトマンション「パークリュクスmono」を立ち上げている。供給実績は首都圏で13棟・約800戸。同じコンパクトでも実需向け、とくにシングル世帯を対象に展開している「パークリュクス」の姉妹ブランドである。多様化するオーナーの意図に応えるべく、「マルチパーパスコンパクトマンション」をテーマに掲げる。「パークリュクスmono」と「パークリュクス」の境界は、「地域特性等により顧客の各種ニーズの割合を想定。より市場にマッチした商品企画を行うよう心掛けている」(同社)。
今後供給は、ファミリーと混在するハイブリッド型物件も増えるよう。「ファミリー世帯と単身・少人数世帯とのコミュニケーションをより促進できるような物件企画を考案中。首都圏を中心に“ハイブリッド型”も含めると年間で3~5棟程度の供給を予定している」(同社)。
【参考記事】
失敗しないワンルームマンション投資