平成29年度(2017年度)宅建士試験の改正点をまとめました。法律が改正されたところは、実際の不動産取引実務で問題視されていたことなので、しっかりと改正点を整理して覚えておきましょう。

平成29年度宅建士試験用の法改正資料

営業保証金と弁済業務保証金の還付請求権者から宅建業者が除かれました。



宅地建物取引業法の改正

平成28年6月3日に、宅地建物取引業法の一部を改正する法律が公布されました。一部を除き、平成29年4月1日から施行されます。なお、その一部とは「既存の建物の取引における情報提供の充実」に関する部分で、平成30年4月1日に施行されます。
今回の宅建業法の改正は、宅建士試験にとても重要な影響を与えます。過去問の一部は答えが逆になることもあるので、過去問学習の際は注意して下さい。


媒介業者は遅滞なく依頼者に報告義務が

媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、その媒介契約の目的物である宅地や建物の売買・交換の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告する義務が課せられました(宅地建物取引業法 34 条の2第8項)。この規定に反する特約は、無効となります(宅地建物取引業法34 条の2第 10 項)。

予想問題
宅地建物取引業者Aが、B所有の甲宅地の売却の媒介を依頼され、Bと専任媒介契約を締結した。AがBに対して、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を5日に1回報告するという特約を締結しているのであれば、甲土地について購入の申込みがあった場合でも、AはBにその旨を遅滞なく報告する必要がない。

答え:誤り。5日に1回以上の報告を特約で定めても、遅滞なく報告する義務があります。


宅建業者に対しては重要事項説明が不要に

宅地や建物の取得者または借主となる者が宅地建物取引業者である場合における重要事項の説明については、説明を要せず、重要事項を記載した書面の交付のみで足りるようになりました(宅建業法第 35 条第6項)。

また、同様に、宅地や建物の取得者または借主となる者が宅地建物取引業者である場合おいては、営業保証金を供託した供託所等についての説明も不要となりました(宅建業法第 35 条の2関係)。

宅建士試験では頻出分野の改正だけに、とても重要です。

予想問題
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買について売主となる場合、買主が宅地建物取引業着であっても、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明は行わなければならないが、同条の規定により交付すべき書面の交付は省略してよい。

答え:誤り。交付は省略できませんが、説明は省略することができます。


保証金の還付請求権者から宅建業者が除外された

宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をし、その取引により生じた債権に関し、営業保証金又は弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する者から、宅地建物取引業者が除外されました(宅建業法第 27 条第1項及び第 64 条の8第1項)。

予想問題
宅地建物取引業者Aとの取引により生じた宅地建物取引業者Bの手付金返還債権について、Bは、営業継続中のAが供託している営業保証金から、その弁済を受ける権利を有する。

答え:誤りです。宅建業者は還付請求できません。


宅地建物取引士等に対する研修が充実

宅地建物取引業保証協会は、全国の宅地建物取引業者を直接または間接の社員とする一般社団法人に対して、宅地建物取引士等に対する研修の実施に要する費用の助成をすることができるようになりました(宅建業法第 64 条の3第2項第3号関係)。

また、宅地建物取引業者を直接または間接の社員とする一般社団法人は、宅地建物取引士等がその職務に関し必要な知識及び能力を効果的かつ効率的に習得できるよう、体系的な研修を実施する努力義務が課せられました(宅建業法第 75 条の2)。

従業者名簿から住所欄が削除された

宅地建物取引業者が事務所ごとに備えるべき従業者名簿の記載事項から、住所が削除されました(宅建業法第 48 条第3項)。
従業者名簿は関係者から請求があれば閲覧させなければならないものなので、従業者のプライバシーを保護する観点から改正されました。


登録免許税の特例措置が延長

人口減少下においても土地に対する需要を喚起し、土地の流動化を通じた有効利用等の促進を図るため、土地の所有権移転登記と信託登記に係る登録免許税の特例措置が2年間(平成29年4月1日~平成31年3月31日)延長されました。

土地の所有権移転登記等に係る税率を軽減とは?
・所有権移転登記・・・2%⇒1.5%
・信託登記・・・0.4%⇒0.3%

買取再版の不動産取得税の特例が延長

既存住宅流通・リフォーム市場を活性化するため、買取再販事業者が既存住宅を買い取って一定の質の向上を図る改修工事を行い、再販売する場合に、買取再販事業者に課される不動産取得税の特例措置が2年間(平成29年4月1日~平成31年3月31日)延長されました。

買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置とは?
買取再販事業者が既存住宅を買い取って一定の質の向上を図るための改修工事を行った後、その住宅を再販売する場合に、築年数に応じて以下の金額に税率を乗じた額を減額する特例措置です。

高齢者向け住宅供給促進税制が延長

高齢者が安心して暮らせる住宅ストックが不足していることから、在宅医療・介護の場となるサービス付き高齢者向け住宅の供給を促進するため、新築のサービス付き高齢者向け住宅に係る特例措置が2年間(平成29年4月1日~平成31年3月31日)延長されました。

サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制とは?
【固定資産税】
5年間、税額を1/2~5/6の範囲内で市町村が条例で定める割合を軽減する制度
【不動産取得税】
家屋:課税標準から1,200万円控除/戸
土地:税額から一定額(家屋の床面積の2倍に当たる土地面積相当分の価額等に税率を乗じて得た額)が軽減される。

住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置が延長

住宅取得に係る負担の軽減、良質な住宅ストックの形成・流通の促進を図るため、住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置が3年間(平成29年4月1日~平成32年3月31日)延長されました。

住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置(登録免許税)とは?
・所有権の保存登記・・・0.4%⇒0.15%
・所有権の移転登記・・・2%⇒0.3%
・抵当権の設定登記・・・0.4%⇒0.1%


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