定年・退職のお金/老後の生活設計・ライフプラン

雇用者の4割近くが非正規雇用!老後のお金不足に悩まないためには?

会社などに雇用されている人のうち、約37%はパートなどの非正規雇用です(総務省「令和3年・労働力調査年報」)。非正規雇用の人は収入も厳しいですが、老後にもらえる年金についても少なくなりがちです。今から老後のお金について、よく考えておく必要があります。

執筆者:小川 千尋

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非正規雇用でも厚生年金へ加入することができれば、将来の年金を増やすことができる

非正規雇用は、老後が大変!

非正規雇用は、老後が大変!

会社などに雇用されている人のうち、約37%はパートなどの非正規雇用です(総務省「令和3年・労働力調査年報」)。非正規雇用の人は現役時代の収入も、正社員と比べて厳しいですが、老後にもらえる年金についても少なくなりがちです。働いているうちから、老後のお金について、よく考えておく必要があります。

非正規雇用でも、
 
  1. 年収130万円以上の人
  2. 週の所定労働時間または月の所定労働日数が正社員の4分の3以上の人
  3. 上記の1、2を満たさなくとも、一定の要件(厚生年金被保険者数が常時501人以上(※)の企業・適用事務所に勤務している、雇用期間が1年以上見込まれる、労働時間が週20時間以上など)を満たす人で、かつ、年収106万円(月収8万8000円)以上の人
 
であれば、勤務先の厚生年金保険(他に健康保険など)へ加入することになり、老後に受給できる公的年金を積み増す(老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金をもらえる)ことができます。

20歳から60歳までの国民が加入しなければならない「国民年金保険」では、上記の要件を満たして厚生年金保険にも加入している人(会社員や公務員も含む)を、「第2号被保険者」と区分しています。

(※)501人未満であっても労使合意に基づき申し出があれば要件として満たされる。また、令和4年10月から順次、短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用が拡大されます。また、2022年10月以降は「厚生年金被保険者数が常時101人以上に勤務している」「雇用期間が2カ月以上見込まれる」と拡大されます

対して、同じ非正規雇用でも、これら要件を満たさないと勤務先の厚生年金保険に加入できません。しかし、第2号被保険者である配偶者に扶養されている非正規雇用の人であれば、国民年金保険の第3号被保険者に区分されるため、本人が国民年金保険料を納めなくても老後に老齢基礎年金がもらえる決まりになっています。第2号にも、第3号にもなれない非正規雇用の人は第1号被保険者として、自営・自由業者と同様に国民年金に加入することになります。

第2号は、厚生年金保険料の半分を会社が負担してくれ、本人負担分の保険料は給料から天引きしてくれるので納付漏れはありません。一方、第1号は国民年金は月1万6590円(令和4年度)の国民年金保険料を自分で納めます。少ない給料の中から国民年金保険料を負担するのは、けっこうきついですよね。国民年金には、生活が苦しいときは国民年金保険料を免除してくれる制度があるのですが、手続きをせず、つい未納にしてしまうこともあるでしょう。
 

これから厚生年金に加入できても、厳しい老後が待っていることには変わりない

国民年金は、20歳から60歳までの40年間きちんと国民年金保険料を納めると、65歳から月約6万5000円(令和4年度)の老齢基礎年金がもらえるようになります。しかし、国民年金保険料の免除などを受けたままだと、その免除された期間分の老齢基礎年金が減額されてしまいます。

特に、非正規雇用者がシングルのまま老後に突入すると、老齢基礎年金だけでは生活費が不足するでしょう(そもそも、公的年金だけで老後の暮らしが成り立つような制度設計にはなっていないのです)。

少子高齢化で公的年金の支え手が減り続けている昨今、支え手を増やすため、また、将来の低年金者・無年金者を減らすため、今後も社会保険の適用者を増やす政策が打たれていくと思います。しかし、これから厚生年金に加入できても、将来もらえる年金額が劇的に増えるわけではありません。厳しい老後が待っていることに変わりはないので、今から少しずつでも老後貯金を始めるなど、準備をしていきましょう。

【参考資料】
・日本年金機構HP
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

・総務省統計局「令和3年・労働力調査年報」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/youyaku.pdf

※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆

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