“どん底”から這い上がれる人は、どこが違うの?
絶望に打ちひしがれる瞬間は、誰にでも訪れる。そこからどうなるかは、その人次第。
深刻な事態に直面しても、心身のバランスを保ち、適応力を維持できる能力を「レジリエンス」と呼びます。どん底に陥り、抜け出せなくなってしまうのはレジリエンスの低さ、もがき苦しんでも、そこから復活できるのはレジリエンスの高さによるものとも説明できます。
では、レジリエンスの高い人には、具体的にどのような特徴があるのでしょう?
レジリエンスの4つの力とは?
広島大学の森敏昭ら(2002)の研究によると、レジリエンスが高い人には、4つの心理特性があるとされています。それを森らは、「I am」「I have」「I can」「I will」という4つのキーワードでまとめています。それぞれの定義を簡単に紹介すると、次のようになります。「I am」とは、本当の自分を理解すること。自分の良いところも悪いところもすべて理解し、受け入れることです。ダメな部分にも目をそらさず、自分のすべてを直視できる力です。
「I have」とは、人とつながる力を持つこと。本音を他者にさらけだし、胸襟を開いて他者と信頼関係を築ける力です。
「I can」とは、問題を解決できる力があること。困難な課題にも集中して粘り強く取り組み、あきらめずにやり遂げる力があることです。
「I will」とは、目標に向かって前進する力があること。困難な状況でも希望を失わず、他人と協働しながら困難を乗り越える力があることです。
『しくじり先生』はレジリエンスの教科書!?
「しくじり先生」が語るレジリエンスの軌跡に、何を学びますか?
この番組で教壇に立った“先生”たちの中に、レジリエンスを見ることができます。
例えばライブドア元代表取締役社長CEOの堀江貴文(ホリエモン)さんは、数々の買収騒動と逮捕、獄中生活を経て、財界に復帰しました。彼はそのしくじりの原因を、自分自身が他者に「負け顔」を見せられなかったことにあると説明しました。そして、「10の信用で100の金は買えるが、100の金で10の信用は買えない」という名言を残しました。
子役タレント「内山君」で活躍した内山信二さんは、成長と共に仕事を失い、1億を超える貯金を使い果たし、引っ越しバイトで生活をしていた自分史を明かしました。彼はしくじりの原因を、子役の人気で“天狗”になり、自分の能力を過信していたためだと明かしました。そして、「人間の全盛期は常に未来にある」という名言を残しました。
このように自分自身の良いところも悪いところも理解し、すべてを受け入れる「I am」の力、自分の弱さをさらけ出して他者の共感を呼び、信頼関係の大切さを知る「I have」の力、どん底にあっても諦めずに再起に向けて動き出す「I can」の力、絶望の渦中でも希望を捨てずに前進する「I will」の力。これらレジリエンスの力を持ってこそ、どん底から這い上がることができるのです。
「しくじり先生」の登場者たちのエピソードには、これらの要素がぎっしり詰まっています。困難に直面し、希望を失っている人は、この番組でレジリエンスを学んでみるといいかもしれません。自分自身のレジリエンスを育てるヒントが見つかるかもしれませんよ。
参考サイト:『しくじり先生 俺みたいになるな!!』公式サイト