学費・教育費/教育資金の貯め方

マイナス金利時代の教育資金

現在も続く、マイナス金利政策と長期金利コントロール。そんな中、教育資金の準備はどうすべきか、注意すべき点は何か、考えてみましょう。

豊田 眞弓

執筆者:豊田 眞弓

教育費 ・ 奨学金ガイド

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超低金利時代には教育資金の準備はどうする?

今も続くマイナス金利と長期金利コントロール。教育資金の準備にどのような影響があったのか、あるいは注意すべき点は何か、考えてみましょう。
 
低金利時代に教育資金の準備はどうする?

低金利時代に教育資金の準備はどうする?

 

マイナス金利政策とは?

「物価上昇率2%」を実現するための手段の1つとして、日銀による「マイナス金利政策」がスタートしたのが2016年2月のこと。

マイナス金利が適用されたのは、銀行が中央銀行である日銀に資金を預ける際の「当座預金」の金利で、新規に預ける分が▲0.1%になり、現在も続いています。

銀行は日銀に預けると金利を支払わないといけないため、預けずに企業や個人への融資を増やそうとします。そうなると貸出金利も下がり、企業が設備投資をしやすくなったり、個人がローンで住宅などを買いやすくなることが期待されます。マイナス金利政策によって世の中にお金が回り、景気回復や物価上昇につなげることが狙いでした。

さらにその後、長期金利(10年物国債の利回り)を±0.1%に誘導する政策もとられましたが、2018年7月末に微調整がなされ±0.2%にコントロールされています。
 

金融商品への影響は?

すっかり慣れてしまっていますが、マイナス金利政策と長期金利0%誘導により、金融商品には大きな影響が表れました。

1つは預金金利。一時期は、多くの銀行が普通預金の金利を0.001%、定期預金金利も0.01%へと下げた銀行もあります。

その後はやや戻した金融機関もあり、2018年10月現在は、普通預金で0.001~0.003%、定期預金で0.03%程度で落ち着いています。

金利だけでなく、ATMの時間外引出しやコンビニATM無料の回数が減ったり、振込手数料無料の回数が減るなど、サービスが低下した銀行もあります。また、銀行から外貨預金や保険商品、投資信託などの営業を受ける機会も増えました。これらもマイナス金利政策の影響といえそうです。

長期金利を0%に誘導する施策によって、長期国債(10年物)の金利も低く抑えられた状態が続いています。これによって、学資保険や終身保険をはじめ国債中心に運用されている貯蓄型保険は大きな影響を受けました。2017年4月には予定利率の参考になる標準利率の引下げも行われ、売り止めや保険料の値上げ、商品改定(学資保険の短期払化など)が相次ぎました。
 

教育資金用の金融商品への影響は?

教育資金を準備するための金融商品にはどのような影響があったのか、確認しておきましょう。
 

定期預金(自動積立定期など) 

マイナス金利の影響で、変わらず金利は低いままです。
しかし、流動性ある資金としての役割は大きいといえます。今後、金利が上がると予想するなら、預入期間は短めに設定しておいた方がいいかもしれません。
 

学資保険 

国債等で運用されている学資保険は、長期金利のコントロールの影響で貯蓄性が低下しました。さらには標準利率引下げの影響で、ほとんどの商品が15年、10年等の短期払いになっています。利用する際は、元本割れがないことを確認して加入しましょう。長期固定金利商品のため、本来は低金利期は加入どきではありません。
 

低解約返戻金型終身保険 

長期金利低下の影響と標準利率引下げの影響で、多くの商品が売り止めに。オリックス生命など一部の商品は返戻率が高めのものもあり、学資保険代わりに利用できるものはあります。
 

財形貯蓄(財形住宅・一般財形) 

財形貯蓄もマイナス金利の影響を受けています。しかし、給与からの天引きによる積立は教育資金準備の重要なポイント。金利が低くても、確実に貯める方法として利用価値はあります。
 

個人向け国債 

最低金利が0.05%と設定されていて、預金金利を上回るため、教育資金の運用先としても利用が広がっています。特に、「変動10」なら金利が上がれば適用金利も上がるため、10年程度置くなら候補に。
 

つみたてNISA 

価格変動リスクのある投資信託はリターンも狙える半面、元本が目減りするリスクもあります。リスクを軽減するには、時間を分散させて積立をすることが1つの方法。金融庁のお墨付きがある投資信託で積立投資ができる「つみたてNISA」を上手に活用したいもの。
 

外貨建保険 

学資保険の代わりに、保険会社や銀行が販売に力を入れているのが外貨建保険。日本より予定利率が高いのはいいですが、為替コストがかかることや、円高になったときには差損が発生するリスクがあることも頭に置いて利用すべきです。将来、留学に行く可能性があって外貨のまま使う前提ならリスクは軽減されます。外貨預金の積立も同様です。
 

リスクのある商品は3割以内に!

学資保険や低解約返戻金型終身保険の魅力が薄れる中、教育資金用商品として、外貨建商品や変額年金なども勧められる機会が増えているはずです。また、ジュニアNISAにしてもつみたてNISAにしても、投資型商品が中心です。

リスクのある商品を利用する場合は、教育資金を「自分で運用している」という覚悟とともにリテラシーが必要です。例えば、外貨建保険が満期で円高になっていたら、ドルのまま受け取って留学で使う、あるいは円安になるタイミングを待つ、といった判断が自分できるのがベターです。

また、投資性のものは、割合としては教育資金全体の3割以内に抑えたいもの。月3万円の教育資金積立をするなら、うち1万円に抑える形です。3万円全部をつみたてNISAや外貨建保険にするのは避けた方が、リスクは分散できます。
 

超低金利時代の教育資金

物価上昇2%はまだ達成できていませんが、ひょっとすると段階的に正常化に向けて辞めていくと思いますが、マイナス金利時代の教育資金の貯め方の例として次のようなものはいかがでしょう。金利が今後上がっても対応できるプランです。

600万円コースでは留学が視野に入っていることになっていることから、その分は外貨のまま使用する前提になっています。留学費用を抜いた400万円のうちの3割をつみたてNISAで運用するプランです。

<教育資金300万円コース>
・積立定期か財形貯蓄 100万円
・個人向け国債 100万円
・つみたてNISA 100万円

<教育資金600万円コース(留学も行かせたい)>
・積立定期か財形貯蓄 140万円
・個人向け国債 140万円
・つみたてNISA 120万円
・外貨建て保険 200万円


もちろん、投資が苦手な人や理解ができない人はリスク性のあるものには手を出さない判断も大事です。投資をするのもしないのも自己責任です。

*投資の判断は自己責任で行ってくださいね!

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