教育はお金がかかる!?
子どもの教育にはお金がかかる、といわれます。それは紛れもない事実ですが、教育費を「負担」と感じている人は、原点に立ち戻ってみませんか? 見方を変えてみると、月1万円の積立で子どもを大学まで行かせることも可能なのです!
教育費貯められないのはナゼ?
教育費はかかる? かけている?
教育費は、オール国公立でも約1,000万円、中学から私立なら2,000万円以上かかります。でも、よく考えると、子どもの教育は「かかる」以上に「かけている」のではないでしょうか。塾に行かせるのも、習い事をさせるのも、そのご家庭あるいは本人の「選択」で行っているはずです。
学歴よりも実力や才能の時代になってきたとはいえ、親としては、できれば子どもの最終学歴を大卒に、しかも名の通った大学を卒業させて就職に有利になるようにしてあげたい。そう考えるのは自然なことでしょう。
あるいは、子どもの秘められた才能を見出そうと、早くから幼児教育に通わせたり、たくさんのスポーツや習い事をさせたくなるのも、親の気持ちとして特別なことではないかもしれません。
教育費は、厳密にいえば「かかる」以上に「かけている」といわれます。他の支出を削ってでも、教育にお金を回したい。回してあげなくてはならない。それが親の「義務」だと思い込む人もいるようです。
発想を変えてみる
実は、ちょっと発想を変えるだけで、気持ちがラクになるかもしれません。「月1万円だけ貯め続ければ大学まで行かせることができます」
などと聞いたら、どう思いますか?
「1,000万円かかる」
「2,000万円かかる」
といわれた印象と全く違いませんか?
大学での費用に備えるだけなら、それでも何とかなる可能性があるのです。具体的に見てみましょう。
まず、子どもが産まれてから18歳まで、毎月1万円を貯蓄し続けたとします。すると、元金だけで216万円になります(18年間で試算)。
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月1万円×12カ月×18年=216万円
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中学校卒業まで児童手当(3歳未満は月1万5,000円、小学校修了まで1万円、第3子以降1万5,000円、中学生は一律月1万円。所得が一定以上の世帯では1人5,000円)が支給されるので、受け取れる人はこの分を充て、不足分を家計から出すイメージです。
このほか、お年玉やお祝い、親戚からのおこづかいなど子どもがもらった分の一定割合も貯蓄に回しましょう。たとえば、お祝いやお年玉で年平均3万円を18年間いただいたと仮定すると、累計で54万円になります。仮にその半分をお祝返しや子どもに使わせたとしても、残り27万円は貯蓄に回せます。
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平均3万円×18年÷2=27万円
216万円+27万円=243万円
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何で運用するかにもよりますが、利息や配当がつけば、250万円はほぼいただいたお金で貯められるのではないでしょうか。
月1万円貯め続けるには……
「月1万円を貯め続ける」と書きましたが、子どもの学齢や進路、あるいは親の年収、家計の収支の状態によっては、貯めるのが厳しい時期や、逆にもっと貯められる時期もあります。その場合、貯められない時期を貯めやすい時期で補えばいいのです。もちろん、もっと貯められる人は、ペースを上げて貯めるにこしたことはありません。教育資金を「貯めすぎ」た場合は、そのまま自分たちの老後資金に回すこともできます。
また、進路が中学から私立になる場合も、中長期の資金を準備する必要があります。
しかし、収入が安定的に高く、子ども1人につき年120万~150万円の教育資金を捻出し続けられる場合は、私立の期間も乗り越えられます。
教育資金は250万円で足りる?
何とか大学の教育資金として月1万円を貯め続けることができたとして、本当に250万円で足りるかどうかも確認しなくてはなりません。それにはまず、大学で年度ごとにいくらかかるかを把握する必要があります。
下記は、日本政策金融公庫「令和2年度 教育費負担の実態調査結果」を元にガイド豊田が作成したもの。大学でかかる学費などのほか、生活費まで含めたものです。
大学の年度ごとにかかる目安額(自宅通学)
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■国公立(自宅)
1年目 192.0万円
2~4年目 115.0万円
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<合計> 約537.0万円
■私立文系(自宅)
1年目 247.2万円
2~4年目 152.1万円
―――――――――――
<合計> 約703.5万円
■私立理系(自宅)
1年目 286.4万円
2~4年目 192.2万円
―――――――――――
<合計> 約863.0万円
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国公立ですら自宅通学でも4年間で約537万円かかります。私立の学費負担はさらに大きく、家計を圧迫します。
しかも、上記の金額は「自宅通学」のものです。「自宅外通学」の場合は、
・自宅外通学を始める費用約39.3万円
・仕送りが年約90.3万円
などがかかるため、さらに膨らみます。
不足分は子どものバイトや奨学金で補う
子どもの教育資金として準備してきたお金で、明らかに不足してしまうことが分かったときは、どうしたらいいのでしょう?国立大学(自宅通学)では537万円かかるため、250万円を貯められるするとほぼ半分です。さらなる不足分を埋めるには、次のような方法が挙げられます。
<1>(大学在学中に)家計から捻出
<2>子ども自身のバイト
<3>奨学金を借りる
<4>教育ローンなどを借りる
といった4つの方法があります。
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■国立(自宅通学)
537.0万円-貯蓄(約250万円)=約287.0万円
足りない約287.0万円は、たとえば次のようにまかなえばすみます。
<1>(大学在学中に)家計から捻出
月3.5万円×12カ月×4年=168.0万円
<2>子ども自身のバイト
月2.5万円×12カ月×4年間=120.0万円
<3>奨学金<4>教育ローン⇒利用せず
*バイトができない場合は<3>奨学金を利用
<1>+<2>=288.0万円
⇒これでクリアです!
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次に、私立文系(自宅通学)で試算してみます。
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■私立文系(自宅)
703.5万円-貯蓄(250万円)=453.5万円
不足する453.5万円はどうする?
<1>(大学在学中に)家計から捻出
月4万円×12カ月×4年間=192万円
<2>子ども自身のバイト
月2.5万円×12カ月×4年間=120万円
<3>奨学金を借りる(1種の無利子奨学金)
月3万円×12カ月×4年=144万円
<1>+<2>+<3>=456万円
これでクリアです!
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自宅通学なら、最低でも月1万円の積立を続けることができれば、どうにかなることが確認できます。不足分を奨学金などで補えば、子どもの教育の選択肢も広がります。
なお、児童手当が給付される世帯では、0歳から全額キープしておけば1人につき200万円弱になります。児童手当とは別に月1万円貯蓄やお年玉・お盆玉キープを行えば、250万円+200万円=450万円近く貯められることになります。これができれば学費はかなり軽減できそうですね。
自宅外なら積立額を月2万円に
自宅外の可能性が高い人は、児童手当+毎月2万円ペースで貯めるなど、目標額を上げる必要はあります。ですが、細く長くコツコツと貯めていけば、後がラクです。親自身の老後にツケを回すことがないようしっかり準備して、奨学金も最小限に抑えられるようにしたいですね。
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