食と健康

体内時計にも関連か―マグネシウムの上手な摂り方(2ページ目)

「にがり」の成分として一時話題になったマグネシウム。体の調子を整えるのに必要なミネラルです。通常は不足しにくくあまり目立たない存在でしたが、体内時計の調整にも関わっているのではないかという研究報告がありました。マグネシウムの可能性と、適正な摂取量と摂り方について解説します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド


マグネシウムの適切な摂取量と摂り方

では、私たちはマグネシウムをどれくらい摂れば良いのでしょう。日本人の食事摂取基準では、マグネシウムの摂取量について、下記のように示しています。
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日本人の食事摂取基準(2015年版)


マグネシウムは、糠や胚芽など未精製穀類、アーモンドなどのナッツ類やゴマなどの種子類、ホウレンソウなど野菜、昆布やワカメ、海苔、ヒジキなどの海藻類、イワシなどの魚類、アサリやハマグリなどの貝類、カキやエビなどにも豊富に含まれています

日本人の1日の平均摂取量は、次の表をご覧ください。平均値というのは、極端な数字に引っ張られますから、積極的に多く摂っている人、あまり摂っていない人がいるはずですから、あくまで目安として、上のような食品をよく撮っているのか、ほとんど食べていないかなど、ちよっと振り返ってみましょう。若い人ほど摂取量は少ない傾向が見られます。

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「海のミルク」と言われる牡蠣をはじめ、貝類にもマグシウムは豊富に含まれています。

マグネシウムが不足すると、骨粗鬆症、神経疾患、抑うつ感、不整脈、心疾患、筋肉収縮異常などが起こることが知られていますが、健康な人が通常の食事をしていれば、不足することはほとんどありません 。

マグネシウムは、汗や尿と一緒に体外に排泄されやすいので、通常の食品から摂取しても、過剰摂取による健康被害などは見られません。

しかしサプリメントなど濃縮した製品ですと、簡単に取り過ぎてしまうので、一定以上を摂取すると下痢になります。

また腎機能が低下している場合、高齢者や便秘症、長期間の酸化マグネシウム製剤の経口摂取により、高マグネシウム血症を起こすことがあり、国内でも酸化マグネ シウム使用に関連する死亡を含む副作用症例が複数報告されています。このような条件では注意が必要です (健康食品の安全性・有効性情報より)。

マグネシウムは、「栄養機能食品」としても販売されています。日本人の食事摂取基準(2015年版)では、通常の食品からのマグネシウム摂取量については耐容上限量を設定していませんが、医薬品やサプリメントなどを大量に摂取した場合、過剰摂取により下痢)が起こる可能性があるため、通常の食品以外からの摂取量については耐容上限量 (成人350 mg/日、小児5 mg/kg体重/日) が設けられています 。

近年機能性表示食品などが登場し、さらに食品の機能性がルールを逸脱して表示されるケースも見られます。マグネシウムの栄養機能表示は、
「マグネシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」
「マグネシウムは、多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、血液循環を正常に保つのに必要な栄養素です。」
といった内容であり、あくまでマグネシウムの作用についての解説で、その製品を摂取すれば病気が治る、というような過大な効果を期待しないようにしましょう。

さらに、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。多量に摂取すると軟便 (下痢) になることがあります。1日の摂取目安量を守ってください。乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。」といった注意喚起の表示も必要です。

マグネシウムをはじめ様々な栄養素や成分は、まだまだ未知の働きが今後明らかになるでしょう。偏ることなく、多様な食品から幅広い栄養成分を摂取することが、健康的な食事につながると思います。

■参考文献
・マグネシウム(日本人の食事摂取基準(2015年版))
・平成26年度国民健康・栄養調査(厚生労働省)
・LINK de DIET(国立健康・栄養研究所)
・マグネシウム(e-ヘルスネット/厚生労働省)
・その他

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