定年・退職のお金/老後の生活費と家計管理

生涯医療費は2600万円!70歳以上に集中!

大病か小病かケガかどうかは別にして、病院に行けば医療費がかかります。その医療費は、積もり積もって、一生の間では1人あたり2600万円だそうです。そのうち半分は70歳以上の高齢期に集中しています。医療費の大部分は公的健康保険から出ていますが、自己負担がないわけではありません。高齢期の医療費の備えをしておきましょう。

執筆者:小川 千尋

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医療費の半分は70歳以上で使う!

年齢の上昇とともに、かかる医療費も上がっていく。

年齢の上昇とともに、かかる医療費も上がっていく。

国民1人あたりが一生涯でかかる医療費を「生涯医療費」といい、年々、増加傾向にあるそうです。

厚生労働省の調べをもとに、生命保険文化センターが推計したところ、生涯医療費は2600万円でした。中には、ほとんど病院に行くことなく、つまり、医療費をかけずに亡くなる人もいるとは思いますが、平均するとこれくらいかかっているということです。

この金額は、平成26年度のデータをもとにした推計なので、現在はもっとかかっているかもしれません。医療技術の進歩で検査や治療は高額化していますし、高い薬も登場していますから。

それはさておき、年齢層別に見ると、医療費は0~4歳の乳幼児期にちょっとかかり、その後は成長にともなって減っていき、20歳から徐々に右肩上がりになっています。そして、半分を使う分岐年齢を見てみると70歳です。つまり、医療費の半分は70歳以上の高齢期に集中するということです。

高齢者の負担増は避けられない!?自助努力を!

前段で触れた金額は、公的健康保険が使われた医療費です。ありがたいことに、国民皆保険制度のおかげで、私たちは医療費の一部しか負担していません。自己負担割合は、70歳から2割(現役並み所得者は3割)、75歳以上は1割(同)に下がります。

つまり、医療費のうち、半分以上を使う70歳以上は自己負担が少なくてすむわけですが、残りは保険料と税金で賄われています。保険料も税金も現役世代が多く負担していますから、ほとんどを現役世代に出してもらっているということですね。

今の高齢者は、自分たちが現役世代だったころはそのときの高齢者の医療費を出してやっていたのだから、自分たちが出してもらう番になったと思っているでしょう。確かに、その通りではありますが、高齢化の進展に伴って、公的健康保険制度に限らず、高齢者に優しい制度を維持する余裕はなくなっているのも確かです。

ですから、高齢者の負担を増やす制度改革が徐々に行われていますし、今後も行われるでしょう。すると、今の高齢者は逃げ切れるかもしれませんが、これから高齢者になる世代は医療費の負担増を覚悟しなければなりません。

医療保険への加入でも貯蓄でもかまいませんので、自助努力で医療費の備えをしておきたいものです。

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