「サンクコスト」に惑わされて判断を誤っていませんか?

考える男性

「あれだけコストをかけてきたのだから、いまさら引き返せない」―その判断、本当に正しい選択ですか?

「この道を突き進むべきか、引き返すべきか?」――そんな問題に胃が痛くなるほど悩んでしまうことはありませんか? このような「究極の選択」の場面で、私たちが判断材料として使う概念の一つに、「サンクコスト」(埋没費用)があります。「サンクコスト」とは、「いままでに投入した費用」を意味する経済用語。既に消費してしまったお金であり、回収することのできないものです。

たとえば、設備投資の費用や学費は、一度使ってしまうと返ってきません。とはいえ、高い費用をかけても思ったほどの成果が出ないことは実際にたくさんありますし、せっかく受けた学びやサービスが自分に合っていないことなど、ごまんとあります。

お金だけではないそれまでのコストが、これからの判断を妨げる?

サンクコストは、本来は「費用」(お金)そのものを意味する言葉です。しかし、「人生」におけるサンクコストは、「お金」以外にも、もっとたくさんのものがあります。あることを始めようと思った「情熱」、それにかけてきた「労力」、他のことを犠牲にしてそれに費やした「時間」などは、その代表でしょう。

これら多くのサンクコストをかけるほど、人はそれに見合う「成果」を求めてしまうものです。しかし、思うような成果が見られず、今後の成功への不安が高まってきたとき、この執着が、今後への冷静な判断を狂わせてしまうことが少なくないのです。

成功の見込みがなければ、いさぎよく「撤退」を考える

考える女性

サンクコストにこだわらず、「これからの利益」に頭を集中させてみよう

一度高いコストを支払ってしまうと、「これだけのお金をかけてきたのだから、いまさら引き返せない」「今辞めてしまったら、今までの努力が水の泡になる」という思いが強くなるのが、人間の正直な気持ちです。しかし、こうしたサンクコストにこだわっていると、道を誤ってしまうことが少なくありません。

ビジネスにおいても、経営陣が過去に輝かしい成果を上げた分野にこだわり、その分野へのコストを投入し続けたあまり、経営本体が危機に陥ってしまった企業がたくさんあります。このように、「継続か撤退か」を考える際にサンクコストにとらわれてしまうと、進むべき道を間違えてしまいます。その結果、莫大な経費を投入し続けながら問題が倍々ゲームで蓄積していき、結局は破綻に突き進んでいくという悪循環が生まれてしまいます。

ビジネスの成功においては、投入したサンクコストにとらわれず、純粋に「今後の成功の可能性」だけを考えて、継続や撤退を判断するのが鉄則です。私たちも進む道に迷ったとき、このビジネスの鉄則にもっと学ぶべきなのではないでしょうか?

「痛み」を伴うことで、人は「大切なこと」に気づく

サンクコストは無駄ではなく、「意味のある出費」です。このコストをかけたことによって私たちはたくさんの気づきを得て、さまざまな人と出会い、たくさんの知識やノウハウをつかむことができたはずです。

サンクコストを「無駄」と考えると、「過去の失敗」になおさら執着してしまいます。「あんなにお金をかけた私はバカだった」「あれだけ情熱を注ぎ込んできたことに、何の意味があったのだろう」とぐるぐる考えてしまうものです。

実際、「本当に正しい選択」を手にするために、ある程度のサンクコストは必要な経費です。「痛み」を伴わなければ、「本当にたいせつなこと」には気づかないでしょう。サンクコストをめぐるショックや後悔も、本当にたいせつな何かに気づくための「必要な痛み」なのではないでしょうか。

「過去」に執着して「未来」を決めるのは、合理的な判断ではありません。交流分析の創始者、エリック・バーンは、「“他人”と“過去”は変えられない、変えられるのは“自分”と“未来”」と言いました。「これからの成功」「これからの充実」だけを考えて、前に進んでいきませんか?
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