身近なスイカも生薬? 覚えておきたい夏の漢方養生法

スイカが生薬?と思われるかもしれませんが、すみやかに熱を下げ、水分補給にも役立つスイカは、「天然の白虎湯」とも呼ばれています。アウトドアでも便利です
そして休んでも疲労感が取れないなどの夏バテの症状で、いつもの調子が出なくて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。まずは熱中症や夏バテなどの夏のトラブル対策法と中医学的な見解をご紹介しましょう。
熱中症対策にも!夏の健康管理の中医学的ポイント
■熱を上手に逃がす
すみやかに熱を下げ、水分補給するスイカ。アウトドアでも重宝される
なお、中医学では夏特有の邪気を暑邪(しょじゃ)と呼び、体温を冷ます清熱薬などを利用します。身近な食材では、天然の白虎湯と呼ばれるスイカが鉄板薬。実はスイカの果肉や果汁は熱を冷ます生薬で、皮はむくみなどに用いられる利尿効果の高い生薬です。
■水分を補給する

夏は大いに活用したい南国のフルーツ
汗で失った水分やミネラル分を補うのに最適なのは、フルーツです。南国のフルーツは体を冷やすといいますが、甘酸っぱいものは酸甘化陰(さんかんかいん)といって、カラダに必要な水分をすばやく補給してくれるので、この時期は大活躍です。ただし、冷たすぎると胃腸に負担がかかるので、食べる30分前には冷蔵庫から出しておくとベスト。
■元気のもとをチャージする

夏バテに豚肉は中医学的にも理にかなっている
補気できる代表薬としては補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や、消化機能の低下がある場合は六君子湯(りっくんしとう)があります。身近な食材では豚肉、うなぎ、長いも、なつめ、穀物類、イモ類、豆類など。つまりあっさりとした冷たい素麺ばかりではなく、お肉やご飯も食べるのが中医学的にも正解なんですね。
熱中症と夏バテの漢方薬
■熱感と口の渇きに「白虎加人参湯」
白虎は西を守る守護神。石膏の色が白虎とかさなる
■倦怠感とほてりに「生脈散」
もともと虚弱体質や高齢者などで夏の暑さによる消耗が激しいうえに、暑さによるほてりや口の渇きがある場合、生脈散(しょうみゃくさん)が合います。汗で失われた水分とエネルギー=気を両方補い、強心作用もあります。また、だらだら出る汗を止める生薬も配合されています。清暑益気湯(せいしょえっきとう)も似たような働きがあり、夏やせするタイプにも用いられます。
■いわゆる暑気あたりには「五苓散」

冷たいものを食べすぎてお腹が痛くなるときにも
■夏冷えや消化機能の低下に「人参湯」
夏冷えで一番ダメージを受けるのは消化器系です。冷たい飲み物や食べ物の影響と、カラダを冷やす薄着や冷房などの外からのダブル効果で、もともと胃腸が弱い人だけでなくても、おなかが冷えやすい環境になるのです。カラダを温め胃腸から元気をつける人参湯、冷えやむくみがひどい場合は真武湯(しんぶとう)が代表的です。
漢方の知恵を上手に活用しつつ、健康に夏を乗り切りましょう!