ドイツ/ドイツのグルメ・ビール・レストラン

読めばドイツのビール通!その歴史からトレンドまで

おいしいビールの本場として有名なドイツ。ここではその歴史から種類や味の特徴、人気のビールやおすすめの場所、最新トレンドまで、ドイツビールの基礎情報やうんちくをまとめました。これだけおさえればあなたもドイツビール通。「オクトーバーフェスト」もさらに楽しくなりますよ!

坪井 由美子

執筆者:坪井 由美子

ドイツガイド

ドイツビールを知ってもっとおいしく飲もう!

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本場ドイツで多種多様なビールを味わおう!写真はミュンヘンを代表する有名ビールの広告

世界的に有名なビール大国ドイツには、醸造所の数が1350以上、銘柄はなんと5000種類もあるといわれています。近年はドイツワインの質がぐんと良くなったこともあってワイン党が増えたせいか、昔に比べて一人当たりの消費量は減っているものの、やっぱりビールはドイツの国民的飲み物。そのおいしさと人気に変わりはありません。

ここではビールの歴史から種類、現地で人気のビールや最新トレンドまで、ドイツビールの情報をまとめました。知識なんてなくても充分おいしいドイツビールですが、知れば知るほど味わい深く、さらに楽しく飲めるはず。ビールの祭典「オクトーバーフェスト」だってさらに楽しくなること間違いなし。これを読んで、ドイツビールをもっとおいしく味わってください!

ドイツビールの歴史と「ビール純粋令」

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中世の修道院からビール造りが広まった。写真は世界最古の修道院ビール「ヴェルテンブルク」

ドイツで初めてビールが造られたのは、カール大帝が活躍した8世紀頃といわれています。ビールの原料となるホップ栽培が始まったのもこの頃で、現在も世界最大の生産地として有名なバイエルンのハラタウ地域に最初のホップ農園ができたという記録が残っています。

その後ビール造りが本格的に広まったのは、中世の修道院で盛んに造られるようになってから。厳しそうなイメージのある修道院にビールなんてちょっと意外な組み合わせな気がしますが、当時のビールは修道院へ救いを求めてやってくる人々のお腹を満たしたり、断食中の貴重な栄養分として大きな役割を果たしていました。宗教改革を行ったかのマルティン・ルターも大のビール好きだったそうですよ。現在もドイツ各地に修道院併設の醸造所が残っていて、造りたてのビールを飲むことができます。

1516年には、バイエルン王がビールの品質を守るための法律「ビール純粋令Reinheitsgebot」を制定。「ビールは大麦、ホップ、水によってのみ造るべし」(※後に酵母が追加されました)とするこの純粋令は、食品関連の法令としては世界最古のもの。発令から500周年を迎えた2016年は、ドイツ各地で記念イベントが開かれています。

関連記事>>>創業1050年!世界最古の修道院ビールに大興奮/ドイツ

ドイツビールで定番の種類と特徴は?

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5000種類もあるドイツビール。写真はヴァイツェン(左)とへレス

ビールは製造方法によって上面発酵、下面発酵、自然発酵の3つに分類されます。とはいえ約5000種類もあるというドイツビールのテイストは多種多様。全部制覇するのは一生かかっても難しそうですが、ここではまず押さえておきたい定番のビールや有名なご当地ビールをご紹介します。

■ピルス Pils
ドイツで一番人気なのがピルスビール。ドイツ中どこでもある定番ビールで、国内消費量の半分以上を占めるほど多く飲まれています。明るい黄金色でホップの苦みがきいたすっきりした味わい。日本で造られているビールもピルスが主流です。

■ヴァイツェン Weizen
その色からヴァイスビア(白ビール)とも呼ばれる小麦(ヴァイツェン)を50%以上使用したビール。ほんのりバナナやスパイスの香りがあるのが特徴。もともとはバイエルン地方のビールですが、現在はドイツ中に広がりたいていのレストランで飲むことができます。飲食店では長くてくびれのある500mlのグラスで出されます。

詳細記事>>>ビール王国ドイツで飲みたい!爽やかなヴァイツェン

■へレス Helles
ヘレとはドイツ語で明るい、淡いという意味で、その名のとおり明るい黄金色でライトな味わいのビール。バイエルン地方でよく飲まれます。

■ドゥンケル Dunkel
ドゥンケルはヘルの反対で暗い、濃い色という意味。火で炙った小麦で造られるため色は濃い茶色。一見苦そうですがまろやかな味わいです。こちらもバイエルン名物。

■ボックビール Bockbier
シュタルク(強い)ビールとも呼ばれる、アルコール度数が普通のビールよりも高い(7%~)ビール。期間限定で造られるスペシャルビールで、毎年この解禁を心待ちにしているビールファンがたくさんいます。

ご当地ビールとしてとくに有名なのは次の2種。

■ケルシュ Kölsch
ドイツ西部の都市ケルンと周辺でのみ造られるホップがきいたキレのあるビール。地元愛の強いケルンっ子たちにとって、ビールといえばケルシュのこと。「シュタンゲ」とよばれる細長い専用グラスで飲むのがお約束です。

■アルト Alt
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デュッセルドルフ名物アルトビア

ケルンの隣町デュッセルドルフと周辺で造られる銅色のビール。アルト(古い)という名は、醸造方法が古いということから。「世界で一番長いバーカウンター」と異名をもつ旧市街でいろいろと飲み比べるのも楽しいですよ。

詳細記事>>>デュッセルドルフ名物 アルトビール

このほか、バンベルク名物の燻製ビア「ラオホビア」(ほんとうに燻製の香りと味がします)やベルリンの「ベルリーナ・ヴァイセ」、ニュルンベルクの赤ビールなど、その町でしか飲めないご当地ビールがたくさん。ビール好きの間では、地方のビールを飲み歩く旅「ビアライゼ」が人気です。

関連記事>>>ドイツでビール三昧の旅。おすすめルートはこれだ!

ドイツでおいしいビールが飲める場所は?

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夏ならだんぜんビアガーデンがおすすめ。緑に囲まれて飲むビールは格別の味

ドイツでビールを飲むなら、まずはブラウハウス(ビール醸造所兼居酒屋)へ行ってみましょう。これぞドイツ! という雰囲気のなか、造りたてのおいしいビールが味わえます。夏場ならだんぜんビアガーデンがおすすめ。青空の下、緑に囲まれて飲むビールは格別の味です。

また、どこの街にもあるクナイペ(居酒屋)では、たいていその土地の生ビールが飲めます。常連さんたちが多く、ローカル気分が味わえるのも魅力。最近は小規模醸造所が増えていて、こじんまりとしたクナイペやバーの奥に醸造設備があったりもします。街の人におすすめを聞いてみるのもいいでしょう。みんな喜んでお気に入りの1軒をおしえてくれるはずですよ。

お祭り好きなら、飲んで歌って踊って楽しめる「オクトーバーフェスト」も一度は体験してみたいですね。
参考記事はこちら>>>オクトーバーフェスト

ノンアルコールビールやフルーツビールが人気急上昇

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人気すぎてスーパーでは売り切れの事も多いエアディンガー社のノンアルコール・ヴァイツェン

ガイドがドイツに来て驚いたことのひとつが、ノンアルコール(ドイツ語ではアルコールフライ)ビールさえもおいしいということ。ピルスはもちろん、ここ数年はヴァイツェンのアルコールフライが人気で国内の消費量が増えています。

カフェやレストランでは、ビールにジュースなどを加えたドリンクもポピュラー。レモネード(多くはスプライトやファンタ)で割ったラードラーやアルスターヴァッサーなどドイツ全土で飲める定番のほか、コーラで割ったコーラ・ヴァイツェン(南ドイツに多い)、赤または緑色のシロップで割ったベルリーナ・ヴァイセ(ベルリン名物)などご当地名物のビールカクテルもあります。

ここ数年の傾向として、店頭で販売される瓶ビールもアルコール軽めのミックス系が人気。レモンやライム、グレープフルーツなど各社こぞって様々なフレーバービールを発売中です。苦みがなく飲みやすいのでビールが苦手な人にもおすすめですよ。

クラフトビールが空前のブーム

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クラフトビールがアツい!ビール・フェスティバルも頻繁に開催され大人気

ドイツでは今も多くの醸造所でビール純粋令を守ったこだわりのビール造りが続けられていますが、その一方、ここ数年で新たなブームを巻き起こしているのが「クラフトビール」。日本でも大流行中ですが、ドイツでもベルリンを中心にマイクロブルワリー(小規模なビール醸造所)が続々と生まれてクラフトビールの専門店ができ、ビール・フェスが開催されるなどその勢いは留まるところを知りません。

詳細記事>>>空前のブーム!今、ベルリンのクラフトビールがすごい

ドイツビールの世界はますますバラエティに富んで進化中。みなさんもぜひ、ドイツでいろんなビールを味わってみてくださいね!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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