社会保険への加入義務がある社員とは?

社会保険の未加入問題

社会保険の未加入問題に対しては、年々対策が強化されています。

まずは、会社ではどのような人が社会保険に加入しなければいけないのか、整理してみましょう。役員や正社員は全員加入義務があります。パートやアルバイトはちょっと複雑です。1週間の労働時間が正社員の4分の3以上、かつ1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上あれば加入させる必要があります。(平成28年9月30日までは、1週間の代わりに1日当たりで判定することもできます。)

さらに、上記基準を満たさないパートやアルバイトでも、平成28年10月1日からは以下の基準を満たしていれば被保険者となります。いわゆる「106万円の壁」と呼ばれるものです。

1.週の労働時間が20時間以上であること。
2.雇用期間が継続して1年以上見込まれること。
3.月給が8.8万円以上であること。
4.学生でないこと。
5.常時500人を超える被保険者を使用する会社に勤めていること。


1から4の要件を満たすケースは結構あると思いますので、5の要件を満たすかどうかが加入の分かれ道となります。加入者が500人を超える会社はそれほど多くないので、106万円の壁は、それなりの規模の会社のみ意識しなければならないということになります。

こうして加入義務を見てみると、社長1人(もしくは、それに加えて上記の要件を満たさないパートやアルバイトのみ)の会社で、社長が自分に給料を出していないといった例外的なケースを除けばすべての会社にとって、社員の社会保険の加入は義務ということになります。

未加入問題はなぜ生じるの?

要件を満たす従業員がいる限り、会社は社会保険へ加入させる義務があります。しかし、中には会社全体として加入の手続きを取っていない会社や、特定の従業員について加入させていない会社があります。いわゆる社会保険の未加入問題です。

未加入問題が発生する原因は、会社側にあるケースと従業員側にあるケースの2パターンです。会社は、従業員を社会保険に加入させると、給与天引きする社会保険料と同額の保険料負担が発生します。この負担から逃れるために、従業員を雇用しても加入手続きを取らないのです。

もう一つのケースは、会社としては加入しているけど、従業員が個人的に加入したくないために、会社に加入しないよう申し出るケースです。大きな会社であれば、このような申し出が受け入れられることはあまり考えられませんが、小さな会社では人員確保のために、こういった個別の要望にも対応してしまうことがあります。

加入させないとどうなるの?

加入義務がある従業員を加入させないことは違法です。とはいっても、中小企業を中心に、加入義務があるのに社会保険に未加入の人は相当数いるといわれています。

未加入の場合、どうなるのでしょうか?まず将来の年金額に影響してきます。厚生年金保険は国民年金よりも手厚いので、厚生年金保険に加入している方が国民年金よりも将来の受取額は多くなります。ただ、これは将来のことですので、保険料を納めている時点ではなかなか意識しにくい点かもしれません。

未加入者にとって、もっと気になるのは保険料のことでしょう。本来加入しなければいけない期間に加入しておらず、とある時点でいきなり加入すると、未加入だった期間の保険料はどうなるのでしょうか?法律上は、2年間はさかのぼって保険料を徴収できるということになっています。とはいっても、自主的な加入や、年金事務所の書面の指導後に会社側が加入手続きをとるならば、さかのぼって適用はされない取扱いになっています。実際に遡及して保険料を徴収されるケースというのは、再三の指導にも関わらず加入手続きを取らず、ついに立ち入り検査にまで発展してしまったような悪質なケースです。

未加入の会社は自主的に加入手続きを

法人番号やマイナンバーの導入によって、今後は省庁間の連携がますます進んでいきます。例えば、源泉徴収票で給与の支払いが確認できるのに、社会保険に未加入の人を調べることも、マイナンバーを使えばこれまでよりも簡単に行うことが可能です。また、年金財政が不安視されている中で、国も未加入問題対策の予算を増額するなど、本腰を入れて未加入問題に取り組む姿勢を打ち出しています。

会社にせよ個人にせよ、未加入の理由は、保険料負担が増加するからということがほとんどです。しかし、加入が法律の義務である以上、加入の指導があれば加入する必要があります。今後未加入者に対する取り締まりが厳しくなると予想される中、言われる前に加入手続きを取ることが最善でしょう。特に、会社として加入していないケースでは、会社側が保険料負担のコスト増を勘案しながら、経費を見直すなど加入に向けて対応する必要があります。




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