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一瞬で消えた予約枠 PS VRの熱狂と不安(2ページ目)

2016年6月18日、PlayStation4用バーチャルリアリティシステム、PS VRの予約が解禁されました。大変な人気であっという間になくなってしまったのですが、予約が困難だった理由はただ人気だというだけではありません。過熱したPS VR予約争奪戦は、熱狂的な人気と共に、難しい状況も露わにしていました。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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人気はあるけど、それ以上に出荷が少ない?

RIGSの図

ロボットを操るFPS「RIGS」は素晴らしい迫力です

どうしても手に入れたいという熱狂的なユーザーによって大変な盛り上がりとなったわけですが、予約が困難な理由は、人気があったというだけではありません。というのも、全体の予約枠が非常に少なかったんですね。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下SIE)が提供するPS VR公式サイトでは、予約取り扱い店舗のリストを掲載していますが、そこ載っている店舗数はなんとたったの33店舗。全国で33店舗しか取り扱っていないというのです。その中でも最大級の規模とみられる秋葉原のヨドバシAkibaでも約500セットという予約数だったようです。1店舗の扱う商品数としては大変なものですが、実店舗での予約受付が33しかないということを考慮にいれると、決して多い数字ではありません。これは10万台とか、20万台とかいう形で出荷する規模の予約の取り方ではないんですね。

今後の2次予約などの状況も考える必要がありますが、現状からは、相当出荷が少ないことが予想されます。結果、ユーザーが殺到して、あっという間に無くなってしまいました。

チグハグな状態

THE PLAYROOM VRの図

とにかく少しでも多くの人に遊んでもらう必要がありますが、同時に、欲しい人にいきわたる数を用意する必要があります

PS VRはその魅力が伝わりにくい商品です。体験した人とそうでない人では、全く印象が違います。体験して、気に入って、欲しくなった人は、こんなすごいものが2016年中に、しかも5万円程度で手に入るなんて夢のようだ、びっくりだ、と思う人もいます。ガイドもその1人で、技術の素晴らしい進歩に感動を覚えます。

しかし体験していない人からすると、良く分からないけどそれは本当にそんなにすごいものなのか、と思う人も当然います。というより、現状はすごいすごいって聞くけど本当のところはどうなんだろう、と思っている人の方が多いでしょう。

PS VRが成功していく為には、地道に体験者を増やしていくしかなく、SIEもそこは心得ていて、銀座・名古屋・大阪・福岡天神の直営ソニーストアの体験会など、PS VRの体験機会を積極的に設けています。

そうやってどんどん体験を増やして、欲しいと思う人を増やしていかなければいけないんですが、一方で、現状既に欲しいと思ってくれている人にも、予約枠が行き届かないという状況があります。つまり、欲しい人に行き届かないのに、欲しい人をもっともっと増やしていく、というちょっとチグハグな状態です。

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