メンタルが原因のストレス性の吐き気・対処法
吐き気などが起こるほどのメンタル不振には適切な対処が必要です
仕事や人間関係は日常そのものともいえます。そのため、仕事や人間関係でストレスを感じていると、程度によってはかなり深刻な心身の不調を引き起こします。
たとえば仕事の納期が迫れば、その重圧から吐き気を覚えやすくなる……といった場合もあるかもしれません。
今回は、ストレスが原因の身体症状の中でも、「吐き気」のメカニズムや対処法などを詳しく解説します。
<目次>
- ストレスは心の病気を引き起こす可能性も
- ストレス性症状は、自律神経系への影響から
- 吐き気とともに別の症状が出ている場合、身体的問題が原因の可能性も
- 吐き気が心因性であるかどうかの判断基準は
- 吐き気の度合いや要因によっては病院を受診
- ストレスによる吐き気に対処するには、リラックスを意識しよう
ストレスは心の病気を引き起こす可能性も
ストレスという言葉は医学用語でもありますが、日常的にも広く使われます。その意味するところは、心の重圧や、緊張感を生み出す日常の状況・出来事でしょう。具体的にストレスというと、まずは日常、まわりとの関わりから、思わずうめきたくなるような場面が思い浮かぶかもしれません。また、人生では思いがけず苦難に直面する時もあるものです。とくに「親族が亡くなる」「家族の一員が深刻な病気を発症する」……といった時は心身にかなりの負荷が掛かります。それはしばしば心の病気の引き金にもなります。
ストレス性の症状は、自律神経系への影響から
こうしたストレスは心身の健康に大きく影響します。体の生理機能はかなりの部分を脳がコントロールします。そのときの状況に応じて、末梢の器官や組織に脳から信号が送られて、生理機能は調節されます。例えば、何かの場面で心臓の鼓動をはっきり自覚するほど緊張した時は。脳がその状況に、いわば臨戦態勢で応じるために、交感神経系を通じて心拍数を増加させたのです。
通常、こうした反応はまったく正常な生理的反応です。しかし、ストレスが慢性的に続けば、こうした生理機能の調節が過剰になる、あるいは不十分になる、といったような問題が出やすくなります。その結果、何らかのストレス症状が現れてくる可能性があります。今回取り上げている「吐き気」もその一つです。
吐き気とともに別の症状も出ている場合、何か医学的な問題が原因の可能性も
吐き気は、さまざまな疾患で、その症状の一部として現れる可能性があります。日常のストレスが吐き気の原因だと思える場合も、まずは医学的な問題が原因の可能性には十分注意する必要があります。【参考】吐き気・嘔吐が起こる仕組み
吐き気の原因が医学的な場合、基本的にはその問題を解決しない限り、その症状が続く可能性があります。その間、その吐き気のレベルにはストレスなど心理的要因もかなり影響します。たとえば対人関係に悩む時は「吐き気」がふだんより、はっきり強まるかもしれません。
また、場合によっては、ストレス自体が、吐き気をもたらす、医学的な問題の原因になっていたりします。たとえば細菌やウイルス感染などで、吐き気を覚える場合、ストレスフルな日常で免疫力がかなり低下していたことが、こうした感染につながった可能性もあります。
また、吐き気が何らかの身体疾患が原因で現われている場合、吐き気とともに現われている、他の症状の内容で、その疾患に見当がつくものです。たとえば、メニエール病は女性に多い、内耳の疾患です。吐き気はその症状のひとつ。もし吐き気の原因がこの疾患ならば、この疾患特有の回転性のめまいが、それまでに現われているはずです。
【参考】吐き気・嘔吐の原因となる病気
吐き気が心因性であるかどうかの判断基準は
一方、ストレスから吐き気がくる場合、症状のレベルは一般にストレスの度合いに相関します。たとえば、「家でリラックスしている時はほとんど問題がない。でも仕事で気を抜けなくなると、はっきり症状が現われてくる」場合、吐き気の原因は心理的要因の可能性が高いです。また、医学的な問題が特に無いにも関わらず、吐き気を覚えやすい場合、何らかの、日常的なレベルで時に現れる、身体的な違和感に対して、たとえば、胃腸の何らかの不快感に対して、場合によっては、その人の体質的な要因から、あるいはその時の心理的な要因から、かなり敏感になっている可能性もあります。そうした、体の違和感が、「吐き気」につながっている可能性にも注意してみてください。
吐き気の度合いや要因によっては病院受診が必要です
もし日常的に吐き気に悩まされているなら、安易な判断や薬の服用は避けて、まず病院受診を第1にお考えください
吐き気自体は誰でも時に覚えるもの。しかし、吐き気が日常的に気になるレベルになっていれば要注意です。もし吐き気から嘔吐するような事が頻回になっていれば、治療が必要な可能性もあります。病院受診が望ましいです。
受診すべき診療科は、もし吐き気の原因がはっきりしていれば、その治療を行う診療科ですが、その状況にマッチしそうな原因は、それほど分かりやすいとは限りません。それで、もしそうした状況ならば、複数の診療科が揃う総合病院が良いかと思います。そしてその中の診療科に関しては、内科や消化器内科といった、胃腸症状に関連する診療科が無難だと思います。
ストレスによる吐き気に対処するには、「リラックス」がキーワードです
もしストレスから吐き気が来ていれば、ストレスへの対処は必須です。まずは、ストレスの原因自体を取り除きたいですが、一般にそれには、なかなかの難易度があります。場合によっては、自分では、まるで解決策が見えない状況かもしれません。それでも、他人から見れば意外に、その状況からの出口がはっきりしている場合もあります。それで、ここで言いたい事は、まずは自分が信頼する誰かに相談してみて!、ということです。そして、ストレスへの抵抗力を高めるためには、栄養のバランスの取れた食事、定期的な運動は、その土台!と、まず頭において、実際にリラックスする手段としては、よく言われていることですが、「深呼吸」「座禅」「ストレッチ」……などの中から、ご自分に合うものを何か用意しておきたいところです。
また、実際に吐き気が現われてきた時、それを過剰に意識すれば、その感覚は強まりやすくなります。何か他のことに注意をそらす…といったことは、こうした問題に対する基本的なテクニックです。もし吐き気が現われて来たら、それを意識しないように何か別のことを考えてみる、といったことも、意外に効くかもしれません。
最後にもう1つ指摘しておきたいことがあります。ここで述べている「吐き気」もそうですが、一般にストレス症状は、個人差はかなりありますが、飲酒でのアルコール、喫煙でのニコチンなど、中枢神経系に作用する薬物は、たとえ気持ちを一時的に楽にしても、その量が増えれば、それに応じて、依存症のリスクが増すだけでなく、そのストレス症状も一般に、より深刻化しやすいことにはご注意ください。
以上、今回はストレスからの吐き気を詳しく解説しました。実際に吐き気から嘔吐することが多くなれば、それまでの嘔吐の際に胃酸が食道粘膜にダメージを与えた可能性もあります。場合によっては、それへの処方薬が必要な可能性もあり、その際もぜひ病院受診を検討してみてください。
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