海外に留学する日本人学生が減少
経済のグローバル化により、国際感覚を身につけた人材の育成が求められる一方、経済的な影響で、2004年の8万3000人をピークに海外に留学する日本人学生が減少し続けています。そのため、文部科学省では海外留学の促進を狙い「トビタテ!留学JAPAN」プロジェクトを立ち上げ、返済不要の奨学金を支給するなど経済面での支援に力を注いでいます。
また、独自の努力で国際交流に力を入れる大学が増える傾向にあるなか、立教大学では、すべての留学プログラムに返済不要の奨学金を支給する「立教大学グローバル奨学金」を2016年度から新設し注目を浴びています。
立教大学 グローバル奨学金
<対象>派遣留学、学部間交流プログラム、認定校留学、その他単位認定をおこなう留学プログラムに参加する学部学生、大学院学生、正規の外国人留学生
<給付額>
留学プログラムに応じ10万円から40万円を給付
注目すべきはその募集規模です。初年度の2016年度では500名以上もの学生数を想定しています。
立教大学では、グローバル奨学金を通して在学生の留学経験比率を2019年度に50%、2024年度には100%を目指しているので、今後さらに留学支援制度が充実される可能性があるでしょう。
ミッションスクールとして140年の歴史を持つ立教大学では、海外留学以外にも多くの奨学金制度が整えられています。
立教大学 セントポール奨学金
<給付年額>文系学部(40万円)/理学部(60万円) ※原則4年間支給。継続審査あり。
<対象者>
1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)の高校出身者
一般入試または大学入試センター試験利用入試の受験者
<採用候補者数>
250名
「立教大学セントポール奨学金」は、入学前に採用の可否が決まる予約型の奨学金であり、年間の授業料と教育充実費の半額程度が給付される仕組みです。
立教大学では、2014年度から首都圏以外の出身者を対象に自由の学府奨学金という入学前予約型奨学金を実施してきましたが、家計状況の厳しい世帯の進学率向上を目指すという社会の要請に応える形で首都圏出身者に対する制度として新設されました。
学ぶ意欲と能力を持ちながらも、経済的な問題で進学を躊躇せざるを得ない受験者や保護者にとってはとても魅力的な制度です。
立教大学 自由の学府奨学金
<給付年額>文系学部(50万円)/理学部(70万円) ※原則4年間支給。継続審査あり
<対象者>
1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)以外の高校出身者
一般入試または大学入試センター試験利用入試の受験者
<採用枠数>
500名
「立教大学自由の学府奨学金」も、入学前に採用の可否が決まる予約型の奨学金であり、年間の授業料と教育充実費の半額程度が給付される仕組みです。
本当は東京に大学に進学したいけれど、経済的な問題で諦めようと考えている地方の受験生や保護者にとっては魅力的な制度です。
立教大学では、その他にも数多くの奨学金制度が用意されています。
立教大学独自の奨学金
<学部生対象の奨学金と年間給付額>・学部給与奨学金/文系学部(40万円/30万円)、理学部(60万円/30万円)
・大柴利信記念奨学金/40万円
・永岡ツナ子奨学金/文系学部40万円、理学部60万円
・ひとり暮らし応援奨学金/10万円
・緊急給与奨学金/30万円
・高松孝治記念奨学金/5万円
・鳥洞奨学金/45万円(2年間継続支給)
・野口定男記念奨学金/5万円以内
・吉原奨学金/5万円
・松崎半三郎記念奨学金/40万円
・経済学部開設100周年記念奨学金/30万円または20万円
・ポール・ラッシュ博士記念奨学金/50万円以内
・立教大学理学部創立30周年記念奨学金/10万円、20万円、30万円のいずれか
・田中啓允奨学金/40万円以内
・立教大学学業奨励奨学金/20万円
・校友会奨学金/50万円
・TN国際貢献奨励奨学金/40万円
・TN賞奨学金/5万円
・文学部100周年海外留学奨学金/10万円
・ロザリー・レナード・ミッチェル奨学金/論文5万円または10万円、活動・研究奨励金
20万円以内
・大川又三郎記念奨学金/30万円
・立教大学法学部櫛引賞/10万円
これらは大学が独自に設けた奨学金ですが、その他20を超える奨学財団や企業による給付型奨学金の募集枠も設けられています。
奨学金の充実度は、大学の歴史と実績の証といえますが、もうひとつ注目したいのが、ハンディキャップを持った学生を支援する奨学金が設けられている点です。
これは立教大学の理念、創立の経緯に由来しているのかもしれません。
児童養護施設出身、障がいを持つ学生を奨学金で支援
立教大学しょうがいしゃ学業奨励奨学金・障がい、傷病等のある学生の学業を奨励することを目的とした奨学金
・年間給付額/20万円
立教大学コミュニティ福祉学部田中孝奨学金
・児童養護施設出身学生を対象にした奨学金
・給付内容/学費・その他の納入金相当額
現在、高校生の75%が大学や専門学校に進学しています。一方、児童養護施設で育った若者の進学率は20%と極端に低いうえ、進学しても3人にひとりが中退するという厳しい現実があります。
児童養護施設出身者の進学率の低さと中退率の高さの原因が、経済的問題にあることはいうまでもありません。
「立教大学コミュニティ福祉学部『田中孝奨学金』」に採用されると、学費が実質ほぼ無料で進学できるので、日本学生支援機構の奨学金と併用することで自力進学が可能になります。
厳しい環境で育った若者に勇気を与える制度であり、意欲のある学生にはぜひ知ってもらいたい奨学金です。
キリスト教の精神に基づくリベラルアーツ教育
2014年に創立140周年を迎えた立教大学の歴史は、1874年(明治7年)に、アメリカ聖公会の宣教師、チャニング・ムーア・ウィリアムズ主教が英学と聖書を教えるために開いた私塾にはじまります。創立以来、実利主義とは一線を画し、キリスト教に基づくリベラルアーツ教育に力を注いできました。その結果、多くの卒業生が社会の様々な分野において活躍しています。
立教大学の池袋キャンパスといえば、ツタに覆われた西洋風の赤レンガ校舎が有名です。本館校舎の前にそびえ立つ2本のヒマラヤ杉は、毎年クリスマスシーズンになると幾色ものイルミネーションでライトアップされ、幻想的な風景を映しだしています。 立教大学には、長い歴史のなかで培った教育環境、キャンパスの雰囲気、そして自由の学府奨学金、グローバル奨学金、セントポール奨学金など充実した支援制度が用意されています。
首都圏の学生はもちろんのこと、意欲のある地方の受験生にはぜひチャレンジしてほしいと思います。