ある日突然、「パワハラ」加害者として呼び出されたら…

頭を抱える男性

パワハラ行為者とみなされたとき、一体どうする?

もしもある日突然、上司や人事担当者に呼び出され、「あなたの言動が、ハラスメント(パワハラ、セクハラ)にあたる可能性がある」と言われたら、どうしますか?

その場ですぐに謝罪し、反省の意を示す方はあまりいないでしょう。多くの人が、「そんなはずはない!」と否定し、自分の言動の正当性を主張するのではないでしょうか。実際、謝罪するのではなく、パワハラ被害を訴えた人を非難するケースも多いようです。

このように懸命に抗弁するのは、そもそもの行為についてパワハラという意識がなかったからでしょう。多くの場合、「パワハラ」とみなされた行為は「指導の範疇」であり、セクハラとみなされた行為は「コミュニケーションの範疇」や「合意の元での行動」と捉えているため、自己の正当性を信じて強く主張するのではないかと思います。

しかし、前回の記事でもお伝えしたように、部下は上司に本音を伝えにくく、上司は自己の言動を客観的に振り返りにくい立場にあります。そのため、「指導」がいつの間にか暴言に発展していても、上司自身はそれに気づかず、部下は静かに屈辱感を味わっている場合があります。「コミュニケーション」のつもりで言っている卑猥な口ぐせを、部下は愛想笑いで応じながら必死に耐えている場合もあるのです。

抵抗すればするほど、「やっぱりあやしい」と思われてしまう

「パワハラ」の疑いをかけられた人が抗弁に執着すると、明らかに自分の立場を不利にしてしまいます。自己正当化を繰り返し、被害者を非難する姿は、第三者の立場からは「ここまで抵抗するのは、何かやましい点があるからではないか」と疑わしく感じられてしまうからです。

ハラスメントの疑いをかけられて、動揺しない人はいないでしょう。しかし、「私は悪くない」と主張し、被害者の非を指摘しても、自分の立場を悪くするだけです。逆に淡々と事実確認を進めるのも、「慣れた対応」と見られがちです。まずは真摯に、「相手の言い分を聞きたい」「なぜそのように思われたのかを確認したい」という態度で臨むのがベストです。

 自分の主張を完全否定されたら、被害者はどうなる?

会議の席

行為を指摘された後、どのように対処するかが肝心

一方、被害者の気持ちはどうでしょう? まず、嫌いな上司を貶めようとして、事実無根な話を作ってハラスメント相談窓口の扉を叩く人は、現実にはそういないものです。さまざまな努力や我慢を試みてもどうにもならず、「ここに相談しなければ、自分がどうにかなってしまいそう」というギリギリの心境に追いつめられ、相談窓口に駆け込む場合が多いと考えられます。

部下がそうした心境にあるなか、上司が自己正当化の抗弁ばかりを繰り広げ、部下を一方的に非難していることを知ったとしたら……。部下の気持ちは、ますます追いつめられ、怒りの感情に火がついてしまいます。その結果、全面対決へと発展していく例は少なくありません。

したがって、パワハラ行為者とみなされた場合は、まずは被害者の言い分を聞き、どんなことをパワハラだと感じたのかを理解しようとすることが必要です。そのうえで、反省するべき点はきちんと謝罪し、明らかに誤解だと感じられる部分があるなら、その部分はきちんと自分の言い分を伝え、理解してもらうことです。

問題への対処によって、人間としての真価が問われる

多様な年齢、多様な価値観の人が共に働く職場では、他者の気持ちを理解しにくいと感じたり、思わぬ誤解を受けてしまうことなど、日常茶飯事です。そうした場合、早めに相手の感情に気づき、お互いの感情と思考をすり合わせて信頼関係を取り戻すのがベストです。

ハラスメント問題も、他者が仲裁に入る前に自分で相手の感情に気づき、早めに信頼関係を取り戻すのがいちばんです。しかし、他者が仲裁に入った後でも、この問題をきっかけに相手の気持ちを理解したい、問題に前向きに対処したいという気持ちで臨むことで、信頼関係や名誉を取り戻せる可能性はあります。

仕事でも人間関係でも、問題の発生を未然に防ぐだけでなく、問題が生じたときに逃げずに対処する姿勢こそ重要です。「パワハラ行為者」とみなされても、その人の名誉は、その時点で完全に失墜しているわけではありません。その時点からどのような行動をとるかによって、人間としての真価が問われているのです。
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