ネットワークオーディオとNAS
ESOTERIC社の高級ネットワークオーディオプレーヤーN-05 (同社のHPより引用)
音質の良さ、CDのセット/イジェクトといった面倒な操作をしなくてもよい点、そして音楽ファイルの管理のしやすさなど、これまでのオーディオシステムにはなかった数々の利点がある。
ネットワークオーディオで利用するネットワーク上のHDDをNAS(Network Attached Storage)という。NAS上では、たとえばtwonky serverといったミュージックサーバーが作動しており、音楽ファイルの配信を司っている。
音楽マニア向けに各地で行われているオーディオフェアーでは、NASによる音質の違いをアピールするデモンストレーションが行われることがよくある。筆者も何回か参加した経験がある。
デモンストレーションでは、以下のような高級オーディオ用NASが評価機として取り上げられ、一般のNASと音質がどう違うのかを体感できるようになっている。
Buffalo HA-N1ZS10BK 販売価格(税込): 734,400 円 (同社のHPより引用)
IO DATA fidata HFAS1-S10 標準価格 \399,600 (同社のHPより引用)
実際に試聴してみると、確かに音は変わる。これは、オーディオファンであれば、多くの方が体感されているだろう。一方で「デジタルデータをやり取りしているNASで音質が変わることは理論上有り得ない」という主張もある。
前置きが長くなったが今回の記事では、現実にNASの機種によって音質が変わるのはなぜかを考えていこうと思う。
なお、本記事では、確定的な回答は提唱しない。デジタル分野でなぜ音質が変わるのかを具体的にそして明確に解明している理論は現状無いと思う。あくまでも、可能性としての話になる。
オーディオの世界は、感覚の世界なので、なぜ音質が変わるのかが解明されていないことはよくある。話はそれるが、電源ケーブルを交換すると音質が変わる。ところが、電柱からの電源ラインで、ごく一部のケーブルを変更しても、電気的にはほとんど変化はない。しかし、現実には音質が変化している。この例もオーディオファンの方であれば、よくご存じのことであろう。
さて、次のページではNASのデータを実際に転送して、デジタルデータが変化してしまうのかどうかを検証してみたい。