悪夢に悩む人は多い

EMDR

悪夢の治療法のひとつ、EMDR。指の動きを見ていると、気持ちが落ち着きます

子どものころに怖い夢を見ていても、多くの人は成長とともにあまり見なくなります。ところが大人でも、100人のうち2~8人は悪夢に悩まされているといわれています。また男性に比べて女性の方がよく悪夢について悩まされており、これは女性特有の精神的・心理的な特徴によるためと考えられます。

悪夢の治療法には、薬とそれ以外のものに分けられます。薬を使わない治療としては、認知行動療法やEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)、IRT(イメージ・リハーサル療法)などがあります。

認知行動療法では、悪夢の原因となるストレスへの対処法や、悪夢を見たときの反応の仕方を学びます。EMDR は、患者さんに悪夢を見る原因と思われることを考えてもらいながら、治療者が動かす指を見てもらうものです。IRT では、悪夢のストーリーを変えるように、イメージ・トレーニングを繰り返します。

アメリカ睡眠医学会が最もおすすめの薬「プラゾシン」

プラゾシン・ミニプレス

おすすめ度「A」の薬が、日本にもあります

アメリカ睡眠医学会がまとめた悪夢の治療ガイドでは、悪夢障害に用いる薬を3つあげています。その薬は、プラゾシンとレボメプロマジン、ナビロンです。このうちナビロンは、日本では未承認なので使えません。

アメリカ睡眠医学会の治療ガイドでプラゾシンは、科学的根拠のもっとも高い「Aレベル」に分類されています。プラゾシンは、日本では「ミニプレス」などの名前で販売され、高血圧や前立腺肥大症の治療に使われています。

プラゾシンは、交感神経を刺激するアドレナリンの働きを抑えます。それにより悪夢を起こすレム睡眠が安定化し、グッスリ眠れるようになります。アメリカではプラゾシンを、戦争からの帰還兵の治療などに用いられています。

残念なことに日本の健康保険では、プラゾシンを悪夢の治療薬と認めていません。どうしても飲みたい方は、主治医とよく相談し、低血圧やめまい、フラツキなどの副作用に注意しながら試してください。

眠れないほどの悪夢には「レボメプロマジン」

レボメプロマジン・ヒルナミン・レボトミン

うつ病や統合失調症に伴う悪夢には、この薬です

アメリカ睡眠医学会による治療ガイドによると、レボメプロマジンは「レベルB」です。プラゾシンよりやや科学的根拠が弱いですが、治療効果が弱いというわけではありません。

レボメプロマジンは、統合失調症やうつ病の治療に使われます。日本では、「ヒルナミン」「レボトミン」などの商品名で販売されています。残念ながらこの薬も日本では、悪夢治療に健康保険が使えません。

しかし、レボメプロマジンは強力な鎮静作用を持つので、ふつうの睡眠薬でも眠れない人や、不安・恐怖症状が強いときには、試してみる価値があります。レボメプロマジンを飲みたいときには、主治医とよく相談して、日中の眠気や立ちくらみ、便秘などに十分注意してください。


【関連サイト】
「悪夢障害」 西多昌規・著 幻冬舎
悪夢が怖くて眠れない……悪夢障害の原因と対処法
日本 EMDR 学会
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