半分以上の人が悩む? 悪夢障害の傾向・特徴

悪夢

男性より女性のほうが、悪夢よくを見ます

嫌なことや悲しいことも多い現実世界を離れ、眠っているときくらいは楽しい夢を見たいと願う人は多いもの。ところが、夢の世界でも心が乱され、強い恐怖や不安のために目を覚ましてしまうことがあります。

悪夢が続いて睡眠障害を起こす状態は、「悪夢障害」と診断されます。悪夢障害で辛いのは、目覚めたあとに少し落ち着いたのでもう一度眠ろうとしても、「また、あの悪夢を見るのではないか」という恐怖心が起こり、なかなか寝つけなくなってしまうことです。

悪夢は、大人よりも子どものほうが多く見ます。悪夢を見るピークは6~10歳で、成長とともに頻度は減りますが、生涯にわたって悪夢が続くこともあります。親を悩ますほどの悪夢は、3~5歳児の10~50%にみられます。成人でも、時々悪夢を見る人が5~8割もいて、一般人口の2~8%が、悪夢による問題を抱えているとも言われています。

小さな子どもの場合、悪夢を見る頻度に男女差はありませんが、思春期以降になると女性のほうが悪夢を自発的に訴えることが多くなります。これは、女性特有の精神的・心理的な特徴によるためと考えられます。

悪夢の原因……ストレスや薬が悪夢を増やす

悪夢を起こす薬

思わぬ薬が悪夢引き起こすことがあります

悪夢を見る主な原因として、性格や心の傷、精神疾患、薬剤が知られています。性格としては、敏感な人や寛大な人、芸術的あるいは創造的な人が見やすいといわれています。

生命が危険にさらされるほどの事故や事件によって起きる心的外傷後ストレス障害では、8割の人がその出来事に関連した悪夢を3ヶ月以内に見るようになります。そして、半数はその後3ヶ月以内に悪夢を見なくなりますが、なかには悪夢に一生悩まされる人もいます。精神の病気では、統合失調症やそれに近い状態の人に悪夢を見やすい傾向があります。

副作用的に、悪夢を起こしやすい薬もあります。血圧に作用する薬(カテコールアミン作動性薬剤やβ遮断薬)や、抗うつ薬(パロキセチンやフルボキサミン、フルオキセチン)、睡眠薬、アルコールなどです。また、禁煙補助薬のチャンピックスでも、奇妙な夢や悪夢を見ることがあります。さらに、抗うつ薬や睡眠薬、アルコールを長期間連用した後に急に止めると、離脱症状として悪夢を見ることがよくあるので、薬をやめる前に医師とよく相談してください。

悪夢退治は医療や心理の専門機関で

悪夢の治療

悪夢で日常生活に支障がきたすようなら、医師やカウンセラーからの治療を受けましょう

悪夢障害の治療としては、認知行動療法や EMDR(眼球運動脱感作療法)、IRT(心像リハーサル療法)などが行われています。認知行動療法では、悪夢の原因となるストレスへの対処法を学んだり、悪夢を見ても必要以上に強く反応しない方法を学びます。

心的外傷後ストレス症候群の治療で注目を集めている EMDR では、患者さんに悪夢を見る原因と思われる出来事を考えてもらいながら、治療者が動かす指を患者さんに眼だけで追いかけてもらいます。この一見単純なことが、脳の情報処理プロセスを活性化して、悪夢の原因となる出来事と折り合いをつけていくのです。

夢のストーリーは、すべて頭の中にある記憶情報から作られています。それを利用して、目覚めているときに悪夢の筋書きを変えようというのが IRT です。悪夢に代わって自分が見たいと思う夢をイメージするトレーニングを繰り返すことで、悪夢の回数が減っていきます。

病院へ行ったりカウンセリングを受けたりするのがためらわれる人は、まずは昔から伝わっている方法を真似てみるのはいかがでしょう。

中国から伝わった「獏(バク)」という想像上の動物は、人の夢を食べて生きると考えられています。ですから、悪夢を見たときに「この夢をバクにあげます」と2回唱えると、その悪夢を2度と見ないという言い伝えがあります。また、「夢は逆夢」と言って悪い夢を笑い飛ばしたり、神社やお寺へ「夢納め」に行ったりすると、気持ちが軽くなるかもしれません。

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