不眠・睡眠障害/その他の睡眠障害

睡眠中のこむら返りの原因は?足がつる・ふくらはぎが痛いときの対処法

【医師が解説】「寝ている時に足がつる」「ふくらはぎが痛くて眠れない」など、こむら返りは心地よい眠りを妨げる原因になることがあります。突然の激痛だけでなく、痛みが長く続くことも。健康な人にも起こるこむら返りの原因、予防法、効果的な治し方について解説します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

「こむら返り」とは……睡眠中のふくらはぎのつり

睡眠中のこむら返りの原因は?足がつる・ふくらはぎが痛いときの対処法

ふくらはぎの筋肉は、「こむら」ともいいます。

気持ちよく眠っていたのに、急にふくらはぎの筋肉(=こむら)がつって、目が覚めてしまったことはありませんか? 睡眠医学では「睡眠関連下肢こむら返り」と呼ばれるこの現象は多くの人が経験しています。

これまでの調査では、一般人では16%以上、50歳以上になるとほぼ全員が一生のうちに一度はこむら返りを経験すると報告されています。また、2カ月に1回こむら返りを経験している人は、60歳以上で33%、80歳以上になると50%、つまり半分の人が2カ月に1回は睡眠中にこむら返りが起こっているのです。そのうち60歳以上の6%は、毎晩こむら返りに襲われていると言います。
 

こむら返りの症状・なぜ起こるのか

こむら返りは、睡眠中でも目覚めているときでも、同じようにして起こります。何らかの原因で2~3秒から数分間、ふくらはぎや足の筋肉が収縮して起こります。そのあとにも30分くらい、つったところの痛みや不快な感じが残ります。

睡眠中にこむら返りが起こると目覚めたり、意識の上では目覚めなくても脳波上の覚醒反応が起こったりします。そのため、睡眠が分断されて睡眠時間が短くなります。また、慢性的にこむら返りが起こる人に睡眠時ポリグラフ検査をしてみると、普通では見られない筋肉の活動が記録されます。つまり、筋肉がつりやすい状態になっているということです。
 

こむら返りの原因となる病気・薬の副作用

健康な人でも日中に脚の筋肉を使いすぎると、眠っている間にこむら返りを起こすことがあります。激しい運動や長時間の歩行、水泳のあとになるのはそのためです。

■こむら返りの原因になる神経や筋肉の病気
神経や筋肉を傷める病気にかかると、こむら返りが起こりやすくなります。たとえば、以下のような病気です。

・糖尿病
・肝硬変
・副甲状腺機能低下症
・甲状腺機能低下症
・筋萎縮性側索硬化症
・関節炎
・腰椎の病気
・体液や電解質の異常

女性の場合は妊娠するとこむら返りが起こりやすくなりますが、多くの人は出産すると治ります。

■副作用で睡眠中のこむら返りを起こすことがある薬剤
下記に示す薬剤の副作用として、睡眠中にこむら返りが起こることがあります。
・降圧薬:利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウム拮抗薬、β遮断薬
・フィブラート系の高脂血症治療薬
・女性および男性ホルモン
・インスリン(インシュリン)注射

また、アルコールも飲みすぎると危険ですから注意が必要です。
 

こむら返りの予防法・対策法……寝る姿勢・ツボ押しも有効

脚の筋肉を使いすぎたと思ったら、眠る前に十分、アキレス腱のストレッチングをしておきましょう。丁寧にマッサージするだけでも違いますよ。

毎年冬になるとこむら返りを繰り返す人は、ぬるめのお風呂にゆっくり入ったり、湯たんぽなどで足元を温めたりすると予防になります。また、仰向けで重い掛け布団で寝ると、足首が伸びてふくらはぎの筋肉が緩み、こむら返りが起きやすくなります。そんなときは、横向きで眠るか、軽い掛け布団に替えてみましょう。冷え症解消法は、「冷え性と睡眠障害……上手な冷え対策で快眠体質に」を併せてご覧下さい。

人によっては、ツボ押しも効果的です。こむら返りに効くツボとしては、「承山」や「承筋」などが知られています。承山はアキレス腱の真ん中を膝のほうに上がってきて、硬い腱が柔らかい筋に変わるところにあります。承筋のツボはふくらはぎの筋肉の一番太いところの真ん中にあります。これらのツボはこむら返りの予防だけでなく、起こっているときの対処法にもなります。
 

こむら返りの効果的な治し方&治療法

こむら返りが起こってしまったら、硬くなっている筋肉を伸ばすようにやさしくストレッチします。ふくらはぎのこむら返りなら、膝が伸びるように片手で押さえて座り、もう一方の手で足首をそらすように起こします。足の先にタオルなどをかけて引っ張ったり、ベッドパートナーに足の裏を押してもらってもよいでしょう。立ってアキレス腱伸ばしの姿勢をとることでも、ふくらはぎの筋肉を伸ばせます。こむら返りが治ったら、筋肉をやさしくマッサージすると、痛みが早く軽くなります。

こむら返りが慢性的に起こるようになったら、早めに医師に相談しましょう。保険適用はありませんが、筋弛緩薬や抗てんかん薬、芍薬甘草湯などの漢方薬がよく処方されます。マグネシウムや亜鉛、ビタミンEが効くこともあります。

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