第2週: 睡眠のスケジュールを作ろう
「早く起きなさい!」 なんて言われなくなります
第2週の初日には、前の週の睡眠日記をもとに、睡眠のスケジュールを立てます。また、睡眠の邪魔をする要因を知り、それを避ける工夫も考えます。先週の宿題でできなかったものは、その対策を考えたうえで今週も宿題にしましょう。
1週間の睡眠日記を見て、自分の睡眠を振り返ります。寝床で過ごす時間は、1日平均でどのくらいありますか? 寝床に少しでも長くいれば眠れるようになる、というのは勘違いです。寝床にいる時間が長いと、効率が低く質の悪い睡眠になるので要注意です。
では、睡眠のスケジュールを立てましょう。これは、不眠症の治療で用いられる「睡眠時間制限法」に基づいています。
まず、寝床の中にいてもよい時間【目標床上時間】を決めます。
- 目標床上時間:前の週の総睡眠時間の平均に30分を足した時間です。総睡眠時間とは、実際に眠っていた時間の合計です
次に起床時刻を決めます。起床時刻が決まったら、それから目標床上時間をひいて、寝床に入る時刻【就床時刻】を設定します。今週はこの就床時刻と起床時刻を守って、生活しましょう。
- 就床時刻:起床時刻から目標床上時間をひいた時刻
日中に眠くなるかもしれませんが、昼寝をしてはいけません。夜まで眠気を十分ためると、寝床に入るとすぐに眠れます。また、この短期睡眠行動療法を行っているあいだは、平日も休日もなるべく同じ時刻に起きてください。
第2週:目を覚ます刺激をコントロールする
思わぬことが、眠れない原因かもしれません
寝床では、眠ること以外やらないようにします。日中も含めて寝床に寝ころがって、本を読んだりテレビを見たり、電話したり飲み食いしたりしないでください。「寝床=睡眠」という考えが脳に定着すると、寝床に入ったときにすぐ眠れるようになります。
夜中に目が覚めても、時計を見てはいけません。時計を見て時間にこだわると緊張してしまい、目が覚めて眠れなくなるからです。
睡眠中に目が覚めて、しばらくしても眠れないなら、寝床や寝室から出てしまいましょう。雑誌を見たり音楽を聴いたりしてリラックスし、また眠くなったら寝床に戻ります。「睡眠時間がけずられる」と心配するかもしれませんが、寝床で眠れない時間を過ごすくらいなら、楽しいことをしたほうがお得です。
夜中に目が覚めたら起きるのがつらいかもしれませんが、起床時刻はかならず守ってください。起床時刻が一定になると、体内時計の働きがスムーズになり、睡眠と覚醒のリズムが良くなるからです。
第3週: 睡眠スケジュールを調整する
スケジュールの管理は、昼も夜も大切です
第3週には、睡眠日記を見ながら、前の週に立てた睡眠のスケジュールを調整していきます。
第2週の睡眠日記から、総臥床時間・総睡眠時間・睡眠効率を出します。
- 総臥床時間:【寝床から出た時刻】から【寝床に入った時刻】を引いて、分単位で表します
- 総睡眠時間:総臥床時間から、【寝つくのにかかった時間】と【寝ついてから寝床を出るまでに目覚めていた時間】を引きます
- 睡眠効率(%):総睡眠時間を総臥床時間で割って、100をかけた数字です
睡眠効率が85%以上のときは、寝床に入る時刻【就床時刻】を30分遅らせます。起床時刻は変えないでください。新しい【目標床上時間】は、前の週の時間に30分足すことになります。前の週に睡眠不足があれば、今週は睡眠時間が30分のびることになるので、体が少しずつ楽になってくるはずです。
睡眠効率が85%未満なら、今の睡眠スケジュールをもう1週間続けましょう。第1週で決めた寝室の環境や生活習慣の改善は、うまくいっていますか? 第2週で学んだ、寝床は眠るためだけに使う、夜中に目が覚めたら寝床から出る、というのは守れていますか?
もし、これらのことがうまくできないのであれば、それをやるための方法や工夫も考えてみてください。
第4週~: 睡眠スケジュールの調整を繰り返す
どうせやるなら、楽しくやりましょう
第4週よりあとの各週のはじめの日には、前の週の睡眠日記を見て、総臥床時間・総睡眠時間・睡眠効率を出します。睡眠効率が85%以上のときは、寝床に入る時刻【就床時刻】を30分遅らせます。睡眠効率が85%未満なら、睡眠スケジュールをもう1週間続けましょう。
寝室の環境や生活習慣の改善について、うまくいっていることはそのまま続けましょう。うまくいかないことがあれば、どうやったらうまくいくか、よく考えてみましょう。家族や友人に話すと、良いアドバイスがもらえるかもしれません。
やらされ気分では、うまくいかないかもしれません。8週間後にグッスリ眠れるようになった自分を想像すると、ワクワク感が高まって、睡眠行動療法に取り組むことが楽しくなるでしょう。
【関連サイト】
「自分でできる『不眠』克服ワークブック 短期睡眠行動療法自習帳」 渡辺範雄・著
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