ストレス
自律訓練法は、睡眠薬が苦手な人にオススメです
薬を使わない不眠症の治療で、高い効果が実証されているものに、自律訓練法があります。今回から3回にわたって、この自律訓練法をご紹介します。

自分に催眠術をかける?

催眠と聞くと、どういうイメージが浮かびますか? 催眠術師の意のままに人形のように操られ、普通では考えられない行動をとる……。テレビ番組で見る催眠術は「舞台催眠」と言いますが、なにやら妖しげな印象を受けるかもしれません。

しかし、心理学や精神医学の分野で、催眠は重要な役割を果たしてきました。精神分析を始めたフロイトも、一時期は催眠を使った治療を行い効果を挙げています。

ここで取り上げる自律訓練法は、決められた言葉(=公式)を心の中で繰り返すことによって、自分に軽い催眠術をかけます。その状態で、心と体にさりげない注意を払うことで、筋肉を緩め落ち着いた気分になる方法です。

これをマスターすれば短時間で心身ともにリラックスできるので、ストレスが原因の不眠に悩む人だけでなく、睡眠の質をよくして睡眠時間を短縮したい人にもお勧めです。

催眠術から自律訓練法へ

Sigmund Freud
フロイトも、一時、催眠を使って治療していました
ヨーロッパでは19世紀の終わり頃、催眠を用いた治療が神経症や心身症の人に行われていました。

ベルリンの大脳生理学者、オスカー・フォークトは、催眠に何度もかけられていると、ただそれだけで病気が治ったり、健康感が増すことに気付きます。

20世紀に入ると、催眠状態に入ったときの特徴が明らかにされ、効果的に催眠状態になる方法が研究されました。

ヨーロッパの心身医学の草分けであるドイツの精神医学者、ヨハネス・ハインリッヒ・シュルツは、1926年に自己暗示訓練法を考案し、1932年には「自律訓練法」を出版しました。

この本の初めの部分には、「自律訓練法というのは、催眠をかけられたときと同じ状態になるように、合理的に組み立てられている生理学的訓練法である」とあります。これにより催眠療法をもとに、ヨーガや禅も取り入れた自己訓練法が確立しました。自律訓練法はその成り立ちから、自己催眠法あるいは自己弛緩訓練法とも呼ばれています。