セクシュアルマイノリティ・同性愛/LGBT

2016年、いい年にしましょう! 今年のLGBT展望(2ページ目)

2016年最初の記事は、この1年がどんな年になるかを占うような内容でお届けします。と言っても預言者ではないので、こうなったらいいな、という希望的観測です。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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2016年のLGBTシーンはどうなる?

東京レインボープライド

昨年の東京レインボープライドで行われた結婚式のブーケトスの瞬間。次に幸せな結婚式を挙げるのはどなたでしょう?

昨年は、渋谷区・世田谷区の同性パートナーシップ証明の施行が歴史的な画期となりました。すごい!素晴らしい!と賞賛の声が上がった一方、ますます独り身がいたたまれなくなる…とか、なんか自分とは遠い世界に思える(そこには入れない感)…といった反応もありました。2015年は「光」が一気に強くなった一方で、「影」も色濃く見えてきた、そんな印象があります(「影」の部分について、最後の章に書いてみました。ずっと書けずにいたことをようやく言葉にできた感じです)。そうした状況を象徴する流行語が「シャイニーゲイ」ですよね。

では、今年はどんな年になるんでしょうか?

すでに兵庫県宝塚市や沖縄県那覇市、三重県伊賀市などが同性パートナーシップ証明を採用することを表明し、千葉市なども検討に入るとしています。この動きは各地の地方自治体にますます波及していき、ひとつ、またひとつと増えていくことと思います。おそらく、渋谷区型の条例よりも、世田谷区型の要綱での実現のほうが広く採用されるのではないでしょうか。あるいはまた、新しいタイプの同性パートナーシップ証明が生み出されるのかもしれません。大阪市淀川区や那覇市のようにLGBT支援宣言を行う地方自治体も増えていくのではないでしょうか。

お隣りの台湾では、1月16日に行われた総統選挙で民進党の蔡英文氏が当選しましたが、彼女は台湾初の女性総統を務めるとともに、同性婚を支援する人物でもあり、アジア初の同性婚承認は台湾になるのでは?との見方が濃厚になってきました(早ければ今年中にも動きがあるかも?)。そうなると日本にもいい影響が及びそうです。

日本では同性パートナー法や同性婚法の実現はまだ先のことでしょうが、LGBT差別禁止法の成立は現実味を帯びてきました(政権与党内で、セクシュアルマイノリティへの差別を解消するための対策を検討する新たな組織が設けられることになったそうです)

昨年、生命保険会社が多数、受取人に同性パートナーを指定できるようにすると発表し、「積年の悲願が……」と感動を覚えた方も多かったと思います。今年も企業のLGBTフレンドリー化、職場環境の改善がいっそう進むと思います。そう言う根拠のひとつには、アメリカで実施されている企業のLGBTフレンドリー度格付け「Corporate Equality Index」が、本国だけでなくその海外支社なども含めたかたちでチェックされることになったということがあります。外資系企業はもちろん、アメリカに進出している大企業(トヨタや日産など)も、日本での待遇改善に動きだすのではないかと見られています。すでにLGBT学生向けの就職説明会なども実施されていますが、OUTして(=公にして)のびのびと働ける人が増えてくると思います。そういえばつい先日も、渋谷でお仕事してた日、ランチで隣りの席にいた女性(に見える方)が「トランスジェンダー」という言葉を発していて、もう当たり前になってきてるんだなあと感慨を覚えました。

企業の活動がプラスに作用するというところで言うと、旅行業(インバウンド)に意義を感じます。国内だけだとどうしても限界が…でも、海外のLGBTが突破口を開く可能性もあるよね、と。昨年、奈良市が自治体として初めてIGLTA(国際ゲイ&レズビアン旅行協会)に加盟するというニュースがありましたが、海外のLGBTのみなさん、ウェルカムですよ! と宣言する自治体がほかにも出てくると思います。ホテルグランヴィア京都&春光院が和風の同性結婚式を海外向けにプランニングしたことが大きく報じられたためでもあるでしょうが、ウェディング産業も活発化しています。要注目です。

コミュニティ関連では、今年も各地でパレードやフェスが開催され、盛り上がりを見せそうです。

ざっくりと紹介すると、まず、冬のレインボー祭りが2月7日(日)に開催されます。4月24日(日)には北九州の小倉で初めてレインボーパレードが開催されるそうです(小倉でレインボーパレードするっちゃ!)。それから、例年4月末に開催されていた東京レインボープライドですが、今年のパレード&フェスタは5月7日(土)、8日(日)となるそうです。また、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が今年、記念すべき第25回を迎えます。楽しみです(映画といえば、今年は3月までLGBT関連映画の公開ラッシュです。のちほど詳しくお伝えします)。

夏以降のイベントはまだ未定ですが、また随時、お知らせしていきたいと思います。

クラブを中心としたゲイシーンに関して言うと、1年前に書いた「ゲイシーンはさらに豊かに発展しそう」と「そこらじゅうにLOVEがあふれてる」という記事がそのまま当てはまるというか、今年もいろんな名場面、素敵な光景が見れそう♪ と期待しています。まずは2月13日(土)開催のShangri-La 52 “EXTRAVAGANZA”がマスト。マドンナの来日公演の夜でもあり、中華圏の春節(旧正月)にもあたる時期ということで、台湾辺りからたくさんのゲイが訪れ、Specialな盛り上がりを見せそうです!

ゲイの出会いとか恋愛についてはどうなんでしょう(いちばん大事かも)。

行政がパートナーシップ証明書を発行してくれる時代になり、「(結婚には程遠いかもしれないけど)二人の愛を証明してもらえるなら」と、恋活に奮起する人も増えるかもしれません。「ゲイは結婚とか関係ないし」と思ってた人があせりはじめたりもするかもしれません。いずれにせよ、恋愛やパートナーシップからみんなが離れていくということは考えづらく、ゴトウは決して悲観していません。どんどん出会って、どんどんつきあってみたらいいと思います。たとえ長続きしなくても、たとえ泣くほどつらい別れになったとしても、その経験は決して無駄にはなりません(経験者は語る)。しないほうがいい恋なんてないのです。2016年、もしかしたら運命の人と出会えるかも……と、いつでも臨戦態勢にしておく(セレンディピティを高める)ことで、きっとあなたの恋愛運は上向くはず。GOOD LUCK!! 

>>次ページは、LGBT関連映画情報です。
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