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ピント&ポラック『DUST-ダスト』インタビュー!(3ページ目)

インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンス・カンパニーが、2013年12月にイスラエルで初演を迎えた『DUST-ダスト』をもって来日を実現。本公演ではカンパニーメンバーに加え、当時文化庁文化交流使として彼らのもとに留学していた森山未來がダンサーとして出演するのも話題のひとつ。ここでは、振付家・芸術監督のインバル・ピント&アヴシャロム・ポラックにインタビュー。作品についてお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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自筆のイラストをダンサーに見せ、インプロヴィゼーション(即興)から生まれたものをまた発展させていくなど、独特のクリエイション法を行っているとお聞きしました。その手法に行き着いたのは? またその手法だからこそ生まれてくるものとは?

ピント&ポラック>「手法」という言葉が何を意味するのか、そしてそれが私たちの創作方法に相応しい言葉なのか、私たちにはわかりません。作品創作時は常に新しいものを探し求め、何も無いところからスタートし、何かを見つけるためにあえて道に迷うこともあります。即興をしたり、スケッチを見せたりすることもありますが、それだけではありません。


ピントとポラック、おふたりの作業の棲み分けは? 意見の相違があった場合、どのように寄り添っていくのでしょう。

ピント&ポラック>これは説明するのが難しいですね。もしかしたら説明する言葉が存在しないからかもしれません。創作のいかなる過程も常に共有しています。そのプロセスのなかで積み重ねてきた時間もありますし、必要に応じて別々の手法を取ります。意見の相違もその過程の一部であって、解決方法はさまざまです。お互いベストな意見を出し合うなか、ときに生じる意見の不一致によって、どちらかが相手を信じて身を引いたり、新たな解決策が生まれます。

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(C)Daniel Tchetchik


本作ではアニメーション作家とのコラボレーションにも挑戦していますね。

ピント&ポラック>『DUST』はロニ・ファヒマとシムリット・エルカナティとの二度目のコラボレーションになります。彼らと初めてコラボレートしたのは、チェコスロバキアの作曲家レオシュ・ヤナーチェクによるオペラ『利口な女狐の物語』の演出・デザインをノルウェーで手掛けたときでした。このオペラでは、作品が新聞の漫画から飛び出したかのように、ビジュアルとセオリー上のコンセプトの一部となるアニメーションをつくってもらいました。『DUST』ではロニとシムリットのふたりとさらに深く関わりたいと考え、クリエイションの最初の段階から共に世界観をつくり上げていきました。


社会的緊張状態にあるイスラエルで創作活動をしていく上で、作品に影響を与えられる部分、テーマの要素となることはありますか?

ピント&ポラック>それはあります。ただ私たちは世界のあちこちの国で創作していて、その関わってきた全ての場所と向き合い、影響を受けています。イスラエルは私たちが暮らし、創造する場所です。そこではさまざまなことが起きていて、自分たちのやるべきことを続けてゆくために、ときにそれらを無視し、抗い、乗り越える能力を持たなければならないこともあります。イスラエルをテーマとして扱うことはありませんが、間違いなく私たちの行動や人格の一部ですね。

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(C)Daniel Tchetchik


ミュージカル『100万回生きたねこ』を手がけるなど、日本のダンサーともたびたび仕事をしています。イスラエルと日本のダンス事情の違い、ダンサーの違いをどう感じますか?

ピント&ポラック>メンタリティ、伝統、そして文化に違いはありますが、根底にはみんな同じ可能性と心を持っていると私たちは信じています。


世界中で幅広い舞台を手がけています。ご自身にとって魅力を感じる作品、今後取り組んでいきたい作品とは?

ピント&ポラック>私たちが今やっていることを続け、学び、新たな人々や場所と出会い、創作の新たな可能性を模索したいと考えています。


日本公演に向け、メッセージをお願いいたします。

ピント&ポラック>日本ツアーは私たちの大切な季節行事のひとつになっています。日本に行くのを楽しみにしています。

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(C)Daniel Tchetchik





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