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『ブリッジ・オブ・スパイ』とスピルバーグ監督特集(3ページ目)

スティーブン・スピルバーグの新作『ブリッジ・オブ・スパイ』(2016年1月8日公開)は社会派サスペンスであり、実話の映画化でもあります。スピルバーグはエンタメの帝王のように言われていますが、社会派作品もけっこうあり。そこで、今回はスティーブン・スピルバーグ監督が描く社会派映画にスポットをあててみました!

斎藤 香

執筆者:斎藤 香

映画ガイド

戦争を二つの側面から描いた力作!

『太陽の帝国』(1987年度作品)
日本の零戦に憧れる少年ジミー(クリスチャン・ベイル)が、戦時中の混乱の中で両親とはぐれて日本軍の捕虜に。やがて収容所に送られ、厳しい環境で辛い経験をしつつも、収容所で知り合った人々との交流の中で生きる知恵や勇気を育んで行く物語。

スピルバーグの戦争映画の中でも戦争の苦悩や狂気よりも人間の感情や心の動きにフォーカスした作品。戦争が人生を狂わせるのは真実だけれど、そこからどう生きるかを見出すのは自分の力。ジミーは成長過程でそれを学んでいくのです。いまやベテランの演技派となったクリスチャン・ベイルは少年時代からいい役者だったんだなあとしみじみ。

日本人俳優もキャスティングされており、ガッツ石松という意外なキャスティング!(そして役に合っている)。ハリウッド映画、それもスピルバーグ作品ゆえに、日本映画と違って日本でのネームバリューが通用せず、個性で選ばれたところが、この驚きのキャスティングに繋がっているのかも。

戦争映画としては少しインパクトが弱くセンチメンタルゆえに、スピルバーグ作品の中でも地味な扱いだけど佳作です。

監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:クリスチャン・ベイル、ジョン・マルコヴィッチ、ミランダ・リチャードソン、ナイジェル・ヘイヴァース、ジョー・パントリアーノ、ベン・スティラー、伊武雅刀、ガッツ石松、山田隆夫ほか


『プライベート・ライアン』(1998年度作品)
第二次世界大戦、ノルマンディ上陸作戦中、秘密裏に行われていたライアン二等兵(マット・デイモン)救出作戦。故国へ帰還させるための8人の兵士が、生死が判明しないライアン二等兵を探し出すことに。そこで彼らが見た戦争の真実とは……。

本作は、ライアン二等兵のモデルとなった兄弟の実話をもとにしたフィクション映画です。スピルバーグにとっては、『太陽の帝国』『シンドラーのリスト』に続く、戦争映画の3作目にあたります。

ライアン二等兵は3人兄弟。戦地に残された二等兵が亡くなると1週間で3兄弟が全員死亡という悲劇になってしまいます。これを阻止すべく計画されたのが、ライアン二等兵救出作戦。これだけ大きな戦争で、たったひとりの兵士のために兵士たちが命を懸ける。自主的に行くのならいいのですが、それが軍の命令というのが解せない。助けるべき人は二等兵だけではないからです。

でも、そういう狂ったことが起こるのが戦争なのでしょう。作戦も戦地の恐ろしさも、スピルバーグはできるだけ戦争=恐怖、戦争=狂気を植え付けようとしていたのかも。残酷描写は目を背けるほどですが、監督は真正面から戦争と向き合っています。

監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:トム・ハンクス、トム・サイズモア、エドワード・バーンズ、バリー・ペッパー、アダム・ゴールドバーグ、ヴィン・ディーゼル、ジョヴァンニ・リビシ、マット・デイモンほか
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