「ラグビーに奇跡はない」の言葉が示す意味とは?
その成功は奇跡ですか?それとも必然ですか?
勝利を勝ち取った人は、よく「いやぁ、まぐれだよ」「運がよかっただけ」などと口にします。多くは謙遜して言っているのかもしれませんが、もし本気でそう思っているとしたら、その人のその後の成長は危ういかもしれません。
たとえば、2015年のラグビーW杯で、弱小と言われていた日本チームが世界の強豪南アフリカに勝利した試合。これを見て日本中が「奇跡の勝利」と歓喜しましたが、日本代表の五郎丸歩選手は「奇跡じゃなく必然です。ラグビーに奇跡なんてありません」と断言しました。名将エディ・ジョーンズヘッドコーチの元、3年半もの間「世界一厳しい練習」を積んできた日本代表選手たち。そんな彼らは、自分たちの努力の結果、「必ず南アに勝てる」と確信していたのだそうです。
このように、相当の努力を積んで勝利を勝ち取った人は、めったに「運」や「奇跡」を口にしないものです。
成功者は、成功・失敗の原因をどう捉えているか?
社会心理学者のワイナーは、人が成功、または失敗したとき、推論した原因の内容によって、その後の達成動機が変わることを「成功・失敗の原因帰属」の理論で説明しました。その理論によると、達成動機が高い人は、成功は継続的努力の成果であり、失敗は努力が一時的であったからだと考えます。そして、努力という成功・失敗の原因は自分自身にあり、セルフコントロールが可能なものであると考えます。
つまり、成功も失敗も自分自身が生みだすものであり、自分の力でコントロールできる。成功したのは、一貫して安定的に努力したからであり、失敗したのは、その努力が一貫せず、不安定だったから。したがって、「努力を継続すれば、再び成功できる」という達成動機をもち続けられるのです。
では、達成動機が低い人は、どのように考えるでしょう? 次のページでお伝えします。