腰痛

過度な安静は逆効果? これが腰痛の新常識

腰痛は今や国民病となっていて、老若男女問わず多くの人が悩んでいます。しかしながら、腰痛の正しい知識を持っている人は少なく、それが今もなお多くの人が腰痛に苦しむ原因です。 腰痛の常識をもう一度見直し、正しい知識を身につけましょう。

三木 貴弘

執筆者:三木 貴弘

理学療法士 / 運動と健康ガイド

腰痛は今や国民病となっていて、老若男女問わず多くの人が悩んでいます。しかしながら、腰痛の正しい知識を持っている人は少なく、それが今もなお多くの人が腰痛に苦しむ原因です。

腰痛の常識をもう一度見直し、正しい知識を身につけましょう。

過度な安静は逆効果!

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安静にすることは大切ですが、動けるときは動くようにしましょう

昔よりはだいぶ浸透してきましたが、腰痛にとって“過度な安静”は百害あって一利なしです。腰痛になってしまったら、痛みで動けない時は仕方がないですが、痛みが引いてきて動けるようになってきたら、なるべく動くようにしましょう。

よくある間違いのパターンとして、ぎっくり腰になってしまったあとに一週間以上、ベッド上で安静にしている人がいます。これは安静にしすぎることで、腰や周りの筋肉の衰えを助長してしまったり、痛みの恐怖を体に覚えさせたりしてしまい、動くことがよくないことだ、と脳が間違って覚えてしまうためによくありません。

現在の腰痛の新常識は、「なるべく早い段階でいつも通りに動くようにする」です。過度な安静は健康状態をより悪化させてしまいます。

薬は節度を持って使用する

痛みがある場合は投薬などで痛みを減らすのもありです。薬に頼りっぱなしになるのは決してよくありませんが、急性期に薬を飲んで痛みを減らすことは、とても有効です。なぜなら痛みが長時間続くと脳がその痛みを覚えてしまい、本来痛みを感じないような動きや刺激でも痛みを感じるようになってしまう場合があるからです。

よって、初期の段階で最低限の薬で痛みを減らし、なるべく早く日常生活に復帰することで腰痛の予後は驚くほどよくなります。

多くの腰痛は自然に治る!

そもそもぎっくり腰など、特別な疾患ではない腰痛は、一週間ほどで自然に治る、というのが医学界の常識です。

よく風邪に例えられることがありますが、風邪は引いたとしても、適切な処置をすれば、数日で治ってしまいます。その後に必要以上に風邪におびえることはないはずです。腰痛もそれと同じで、ぎっくり腰になったとしても慌てずに「風邪をひいてしまったぁ」と思う程度にし、痛みがひどい数日間は安静にしていたとしても、早い段階で、いつも通りの生活をすることを心がけましょう。それが一番の治療です。

もちろん、医療機関を受診し、その腰痛がただの一時的な腰痛なのか、特別な腰痛なのかを判断してもらうことは重要です。その理由を次のページで述べます。

特別な腰痛とは

腰痛には、ぎっくり腰の他にも様々なタイプの腰痛があります。その特別な腰痛は「特異性腰痛」といい、腰痛全体の15%程度にあたります(しかし逆を言えば、たった15%しかありません)。例として「椎間板ヘルニア」だったり、「腰部脊柱管狭窄症」だったりです。これらの腰痛の特徴の一つとして、神経症状(下半身がしびれるなど)があることが特徴です。

この場合は、最悪手術などの外科的治療が必要なこともありますので、医療機関を受診することをおすすめします。この特異性腰痛は、画像診断が有効ですので、自分の腰痛がこの特別な腰痛なのかそうじゃないのかを診断してもらうために医療機関の受診は重要です。

しかしながら、腰痛の85%は、適切な処置をすれば自然に治るタイプの腰痛です。重要なことは、腰痛の知識を正しく持ち、必要以上に腰痛を恐れないことです。そうすれば、腰痛なしの人生を過ごすことができるでしょう。

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