キッチン空間のイメージに大きく影響する扉や取っ手
明るくナチュラルな雰囲気のキッチンに。デザイン性のある取っ手がポイントに。[リシェルSI] LIXIL
各メーカーのシステムキッチン商品には、さまざまなタイプの扉が豊富に揃っており、同じシリーズのシステムキッチンでも、扉によって全くイメージが異なります。また、扉を選ぶ際に同時に検討する、取っ手の形状は、デザイン性だけでなく使い勝手に大きく影響するので、慎重に選びたいものです。
扉材の主な素材の種類と特徴
システムキッチンの扉材の素材には、いくつかの種類があります。メーカーや商品シリーズなどによって異なりますが、主な素材は、集成材や合板の表面に化粧仕上げを施したもの、ステンレスやホーローなどでしょう。素材によっては、メーカー独自のタイプもあるので、希望する素材があるか、早めに確認することも大切です。木目や途装、明るい色からダーク色までさまざまな扉材が揃う。[ザ・クラッソ 扉デザインバリエーション] TOTO
無垢材を用いた扉もありますが、多くは、基材(合板、集成材、単板積層材など)の表面に、化粧を施したタイプです。化粧材には、突板(つきいた)を貼ったもの、樹脂やオレフィンなどのシートを用いたもの、塗装で仕上げたものなどがあります。その他、メラミン樹脂を染み込ませた紙などを熱圧成形したものみられます。
・突板
天然木を薄くそいだ板(単板)である突板を用いたものは、肌触りのよさや木目の美しさなどが魅力でしょう。用いられる樹種は、オークやウォールナットなど。木目を活かしつつ、表面を保護するために塗装が施されているものなどがあります。
・シート
キッチン扉に多くみられるシートには、オレフィンシートやアクリルシートなど、樹脂が主原料のもの。木目や抽象柄などの模様を印刷したシート仕上げは、デザインが豊富なのが特徴です。
・塗装
塗装仕上げには、着色塗料を塗り重ねたものや着色樹脂層の上にクリア塗装を施したものなどがあります。
■ステンレス
ステンレス板を加工したものや基材(合板、集成材、単板積層材など)の表面にステンレスを用いたタイプもみられます。特殊な研磨や表面処理を施したり、色の付いている樹脂塗料を焼き付けて加工したものもあります。
■ホーロー
ガラス質の釉薬を金属の表面に焼き付けたものを用いたもの。肌触りは滑らかで、美しい色合いや光沢なども特徴です。
表面仕上げの種類と特徴
背面の収納とフロアキャビネットの色を変えて印象的なキッチンに。[Lクラスキッチン プラン例 セミフロート アイランドプラン ソレア40 ルージュレッド(CL)/マルカ30 シルキーゴールド(U2)] パナソニック エコソリューションズ
■鏡面(光沢)
鏡のように写り込む光沢度が高い仕上げで、華やかな印象になります。照明などによって雰囲気が変わるのも魅力です。
■マット(艶消し)
しっとりとした質感が柔らかく、落ち着きのある空間が生まれるでしょう。
■UV
紫外線を照射することで硬化する塗料を使用したもの。表面の硬度が高く、劣化も少ないと言われています。
扉材のコーディネートのポイント
室内扉などとコーディネートして、すっきりとしたインテリア空間に。[アレスタ] LIXIL
■床や壁材とのコーディネートを
LDKがひとつの空間となった間取りが多くみられる中、キッチンキャビネットの扉材は、インテリアのイメージを左右する重要なアイテムです。素材や色を選ぶ際には、ダイニングやリビングからの見え方にも配慮して検討を。床材や壁材とのコーディネートはもちろん、家具の素材や色、デザインにも配慮することが大切でしょう。メーカーによっては、床材や室内扉などとコーディネートできるキッチン扉もみられます。
■異なる扉を組み合わせても
キッチン空間のプランニングにもよりますが、フロアキャビネットとウォールキャビネットすべてを同じ扉材としなくても、異なる色や素材を組み合わせるという方法も考えられます。たとえば、フロアキャビネットはホワイト系で、ウォールキャビネットはナチュラルな木目調としたり、ポイント色を取り入れたり。キッチンにダイニングやリビングがつながる場合は、カップボードや壁面収納などにも配慮して選ぶようにしましょう。
■浴室や洗面など水まわり全体で統一感を
最近のメーカー商品のひとつの傾向としては、水まわり機器のデザインの統一が挙げられるでしょう。システムキッチンのキャビネット収納と洗面化粧台のキャビネット、トイレの収納カウンター、また、システムバスの壁材などの素材やデザイン、カラーなどを揃えることができる商品もみられます。
必ずしもすべてを統一する必要はありませんが、それぞれの空間が隣接するプランであったり、同じフロアに設けられている場合など、揃えることで住まい全体がすっきりとまとまるのではないでしょうか。
取っ手の主な種類と特徴
さまざまなタイプの取っ手から選ぶことができる。 [ Lクラスキッチン 選べる取っ手10種] パナソニック エコソリューションズ
■ハンドル・グリップ
扉前面に設置されたバー(ハンドル・グリップ)タイプには、握りやすく、シンプルでモダンなデザインが多くみられます。光沢のあるタイプ、アンティークなイメージのもの、シルバーやブラックなど、扉材のイメージに合わせて選ぶことができるでしょう。
■ラインタイプ
扉の上部全体にラインのように設けられた凹みで開閉するタイプ。ライン取っ手とも呼ばれ、キッチン全体がすっきりとするのが特徴。また、出っ張らず、身体にぶつからないのもメリットでしょう。
タオルをかけるためにバータイプを選ぶというケースもみられますが、ライン取っ手の扉でも取り付け可能なタオル掛けのパーツが用意されているシステムキッチンもあるので、気になる場合は事前に確認しておくといいでしょう。
取っ手選びのポイント
和の趣を醸し出す水墨画をイメージした透明感のある扉にすっきりとしたバータイプの取っ手を組み合わせて。[ザ・クラッソ] TOTO
扉も取っ手も、ショールームで実物を確認し比較検討を
キッチン選びは、ショールームで比較検討することが基本です。扉材を検討する際も、キッチンの空間展示や扉見本で確認すること。明るさなどによっても、色や仕上げの雰囲気が異なるので、太陽光で確認したり、照明の種類を変えるなどして検討するようにしましょう。特徴やお手入れ方法は、メーカーや商品によって異なるので、それぞれの特徴など、事前に確認しておくことが大切です。また、取っ手を選ぶ際には、必ず開閉してみること。ベースキャビネットが引き出し式の場合と開き扉の場合で使い勝手は異なるので、プランにあわせて操作してみましょう。引き出し式であれば、収納物が入った状態で引き出してみると、重さに対する開閉のしやすさなども確認できます。家族全員が使いやすいかどうかもチェックしておきたいポイントでしょう。
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