市場の成熟、ゲームの成熟
ハースストーンなど、海外の面白いゲームも上陸しています。さらに競争は激化していくでしょう(イラスト 橋本モチチ)
これはガイドの、いわゆる希望的観測というものですが、実はわりとゲームは面白くなっていくんじゃないかと思っています。これまでのスマートフォンゲーム市場というのは、とにかく少ない投資で夢のような大儲けができるかもしれないという、宝くじのような市場でした。そこに有象無象がよってたかってゲームを投入して、現れては消え、現れては消えの繰り返しでした。
そして、メーカー側はとにもかくにも、運営に力を入れました。とりあえずは無料で遊んでもらって、そこからお金をいただけるかは運営次第。毎日触ってもらえる工夫をして、イベントで盛り上げて、コラボでガチャをまわしてもらう。ガチャを軸にした運営手法の先鋭化というのが、日本のスマートフォンゲーム市場に起こっていった大きな進化です。
しかしこれからはちょっと風向きが変わります。競争が激化していった時に、まず、儲かりそうだからゲームを作っていた、なんていうところは手をひくでしょう。これまでのようには儲からなくなるからです。
そして、とりあえず無料だから遊んでみて、ということがこれまでよりも難しくなっていくでしょう。ユーザーの目が肥えていって、同じような遊びに飽きてくると、無料といっても目新しさが無ければ寄りつきません。また、今はスタートラインに大きな差がついています。ユーザーはこれまでにたくさん遊んだゲーム、たくさん課金したゲームに執着し、新しいゲームに移りがたい環境ができあがっています。これは、たくさん時間とお金を使っているユーザー程、強い傾向となっていきます。
競争は激しくなりますが、市場の規模は非常に大きく魅力的です。となれば、競争を制して市場をとる、という強い意志のあるメーカーは頑張ります。その時、これまでのようなゲームが飽きられていると思えば、新しい遊びを考えなくてはいけなくなります。
モバイル端末向けゲーム市場は急速に成熟しつつあります。しかしスマートフォンを使ったゲームは、その成熟に追いついていないように思います。それは、もっともっと面白くなる余地があるということでもあります。成熟した市場を誰が掴んでいくのか、その競争の中で、今度はゲームが成熟していく時期にきているかもしれません。
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