都心の非日常空間へ。高輪「フェ・メゾン」
隠れ家レストランというのが、かつて流行った時期があった。食事をするのに隠れる必要もないとは思うが、そうでない人も結構いるのも事実。ただ、静かな場所でゆっくりと時間を忘れて過ごす、となれば都心の喧騒とは無縁と思えるところがいい。
エントランスはまさにヨーロッパ
フェ・メゾンはこの2015年9月末に開店したばかりのレストラン。品川駅から高輪の住宅街の坂を上り、私道に入ったあたりから非日常が始まる。ここは日本か?と思えるエントランスから中に入ると、気持ちをそそる美味しい香りが漂う。ドイツの田舎町のオーヴェルジュをイメージしたウッディな空間は、都内でもそうないのではないか。多くの建材を海外から輸入し、無駄なく使いきったと聞く。派手さはないが、ホンモノの落ち着き感がある。
ウッディな雰囲気が心地よい
カウンター、個室、ダイニング、テラス席と分かれており、座る場所によって見える風景が変わる。もしかしたらこれも「料理」の一つかも知れない。
基本に忠実な魚・肉料理、ちょっと仕掛けのあるデザート
料理を見てみよう。決してガストロノミー(美食)ではないが、ビストロ料理として地方色を出し、魚やメインディッシュでフレンチの醍醐味をしっかりと感じさせてくれる。
鯖のマリネが特に印象的
シャルキュトリーの盛り合わせはパテ、サラミ、ソーシスン、そしてシャンパーニュでマリネした鯖など、バラエティに富んでおり、2人で皿をつつきながらのスパークリングワインも心地よく進んでいく。こうした伝統的な地方料理を好んで用意するシェフの仕事ぶりに、フランスを愛する気持ちを見る。
海の幸とソースの辛みが素晴らしい逸品
タラとホタテのブイヤベース仕立てにはシェフの魚料理の経験が十分に活かされている。決して煮込みすぎずに素材が一番いい状態で味がにじみ出るタイミングで調理。ソースの味わいもとてもバランスがいい。
仔牛の柔らかさも申し分なし
メインは仔牛のロースト。癖のない味わいが特徴だが、ややソースのインパクトが強すぎたか。ここは羊のほうがよかったかもしれない。
秋の定番、モンブラン!
デザートにはモンブランを。メレンゲを絡めた独特な味わいで、ベリー系の味わいも仕込まれたハイブリッドなモンブランに言葉が出ない。
できたばかりのレストランの宿命ではあるがオペレーションで気になることもあったが、酔いも回るとどうでもいいことに思えてくる。
フェ・メゾン、空間、料理、居心地は申し分がない。特にエントランス左手側の個室は8人から10人程度の利用にぴったりだ。見に行くだけでも価値があるだろう。
カウンターで食後酒をいただきたい
この秋からクリスマスにかけて要チェックなレストランを見つけてしまった。次回はランチタイムにシャンパーニュを味わいたい、そう思って夜道をあとにした。
フェ・メゾン
東京都港区高輪4-24-40
品川駅西口(高輪口)より徒歩約6分
TEL 03-3443-0032
ランチ 11:30~ 2500円~(税サ別)予約必須
ディナー17:30~ 5000円~(税サ別)予約必須
日曜営業
定休日 :火曜日・第1月曜日・第3月曜日
予約必須 *クリスマスディナーにもぴったり