暮らしの歳時記/正月の行事・楽しみ方(年末年始)

2016年(平成28年)の干支~申・猿の豆知識(2ページ目)

2016年(平成28年)は申年です。申や猿の豆知識(文化的特徴、猿にまつわることわざや慣用句など)を、年賀状や新春の話題に活かしてみましょう。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド


猿についての豆知識~文化的特徴

猿の三番叟

猿の三番叟はお正月の人気モチーフで、年賀切手にも採用されてきました。

人間に似ている猿は、古代エジプトや中国など世界各地で神聖なもの、神秘的なものと考えられてきました。日本でもニホンザルを神の使いと捉えた例がたくさんあります。また、猿は「去る」に通じるため、難が去ると信じられていました。なお、猿を俗に「えて公」と言うのは、「去る」を「得手」と言い換えた忌み言葉のひとつです。

【猿神(さるがみ)】
猿を山の神、太陽神の使者として祀ったもの。日吉大社の神猿(まさる)が有名です。

【厩神(うまやがみ)】
猿は馬の守護神とされていたため、馬を守る存在として厩(うまや。馬小屋のこと)に猿を祀っていました。

【猿まわし】
猿は馬の守護神と考えられてきたので、猿の芸は厩の魔除けや厄病除けとして重宝されました。また、「去る」に通じることから、難が去る縁起の良い芸として正月などに盛んに行われるようになり、大道芸として広がっていきました。

【猿の三番叟(さんばそう)】
三番叟とは能の「翁」(式三番)で千歳、翁に次いで三番目に出る老人(叟)の舞で、大変めでたい舞とされ、物事の始めや幕開きという意味もあります。能の前身が猿楽だったこともあり、猿の三番叟は人形や絵柄のモチーフとしても人気です。

【猿ぼぼ】
岐阜県飛騨地方で作られる人形で、赤い体に黒い頭巾と腹掛けをしています。「猿ぼぼ」とは、飛騨弁で猿の赤ん坊という意味で、魔除けのお守りです。

【くくり猿】
京都界隈でよく見かける「くくり猿」

京都界隈でよく見かける「くくり猿」

猿の手足をくくった人形で、京都の八坂庚申堂・庚申信仰のお守りです。欲望のままに行動する猿をくくりつけた姿で、努力の妨げとなる欲を抑え、努力する心を保ち、願い事を叶えるとされています。

【身代わり猿】
猿のつるし人形で、奈良町庚申堂・庚申信仰のお守りです。赤い体で手足をくくってあり、災いを代わりに受けてくれるので「身代わり猿」といいます。また、背中に願い事を書いて吊るせば願いが叶うとされ、「願い猿」とも呼ばれています。

【三猿】
3匹の猿が両手でそれぞれの目、耳、口を隠した姿で、「見ざる、聞かざる、言わざる」という叡智の3つの秘密を示しています。


「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿

江戸初期の左甚五郎作と伝えられている日光東照宮の三猿

日光東照宮の三猿は、猿の一生を表した8つの場面の幼少期を示しています

三猿のモチーフは、古くから世界各地にありました。日本へは中国を経由して漢語の「不見、不聞、不言」を訳した天台宗の教えとして伝わり、庚申信仰とともに広がったといわれています。

日本で最も有名な三猿といえば日光東照宮の三猿で、神馬をつなぐ神厩舎(しんきゅうしゃ)に彫られています。前述の通り、猿が馬の守護神とされているためです。この三猿は、猿の一生を表した8つの場面の幼少期を示しており、世の中の悪いことを見たり、聞いたり、言ったりせず、良いものだけを受け入れて素直な心で成長しなさいという教えを表しています。

最後に、猿にまつわることわざと慣用句を紹介します >>>

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