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ほとんどの子供は、いじめられていることを親には話さない
いじめられている子のほとんどは親に話さない
また、識者と呼ばれる方は「なぜ、親は気づかなかったのか」「親になぜ言わないのか。」という言葉を語ります。しかし、現代のいじめを知れば知るほど、子供たちが親に言わなくなる理由が見えてくるのです。
親に心配をかけたくない
意外なことかもしれませんが、親のことを尊敬すればするほど、親のことが大好きならばなおさら、子供たちは「自分がいじめられている」ということを親には言いません。そこには、親に心配をかけたくないという気持ちが働くのです。また、子供たちの中には、まだ「いじめられていることは恥ずかしい」という気持ちがあり、それを親にいうことはプライドが許さないという側面もあります。また、私が出会った子供の中には、他にも兄弟がいるので、自分だけ親に心配をかけるわけにはいかないと思った、という子もいました。よく、報道の中で「親が無関心だったのではないか」などと言われることもありますが、それは違います。親が好きで、親に心配をかけたくないから「言わない」ということを知っていただきたいと思います。
仕返しがこわい
もう一つ、親に言わない理由の一つに、親に言ったことでいじめがより陰湿化する“倍返し”を恐れるというものがあります。確かに、大人に打ち明けたところで適切な対処がとられなければ、いじめは深刻化してしまいます。いじめのサインを見逃さない
これらは、「いじめは、いじめる方が悪い」ということが常識になること、さらには、学校が「いじめを解決する対処法」を学び、きちんと対処することで、子供が親や大人に「いじめを訴えやすい」環境をつくることができます。しかし、それにはもう少し時間がかかることでしょう。それでは、今すぐに大人ができることは何でしょうか?それは「いじめのサインを見逃さない」ことです。「親に心配をかけたくない」「チクッたと言われていじめの“倍返し”がこわい」と思っている子供でも、どこかに自分を助けてくれる大人はいないか、信じられる大人は誰なのかを求めて、必ずサインを出しています。その、声にならない声を見つけて助けてあげることが大事だと思います。
具体的ないじめのサインとは?
物をよくなくすようになったら要注意
- 登下校時間が変わる→嫌な子供を避けている可能性
- 持ち物をよくなくす→隠されたり、壊されたりしている可能性
- ぼんやりとしていることが多い→いじめのことを考えて不安
- 親の前で携帯メールを見なくなる→ネットいじめの可能性
- 友達から電話があっても出たがらない→加害者を避けている可能性
- 教科書やノートに本人の字でない落書きがある→悪口を書かれている可能性
- 他の人との違いに敏感になる→個人的な理由でいじめられている可能性
- 家族にきつくあたる→いじめのストレスをぶつけている可能性
- 服が破れていたり、汚してくる→暴力を受けている可能性
- 月曜日の朝に体調不良を訴えることが多い→学校に行くのが辛くなっている可能性
- 金遣いが荒くなる→恐喝にあっている可能性
- 家族と出かけるのを嫌がる→家族の前で加害者に会いたくないと思っている可能性
- 容姿を極端に気にする→容姿についてからかわれている可能性
- 急にお金をほしがる
- 擦り傷や打撲がある
- 頭痛などを訴え、学校に行きたがらなくなる
保護者ネットワークを努力して作ることも大切
また、学校の友達の母親同士のネットワークを作ることも大切です。現代は、仕事を持っている母親が増えたり、校区を変える家庭も増えたことで保護者同士のネットワークは努力をしないと作れなくなってきました。個人情報保護法により、クラスの友達の家の電話番号さえわからないこともあります。ですから、PTA活動に積極的に参加してみたり、習い事の送迎時に母親同士の連絡先を交換しておくなどをして、ネットワークを作っておくことが必要です。いじめのサインを発見したら、お子さんの友達のお母さんにもいじめの事実がないかどうか聞き取ったりすることが大切です。
子供に伝えるメッセージ
まずは、「今まで辛かったね」「気づかなくてごめんなさい。」と子供の心に寄り添うことが大事です。禁句は「そのくらいのことは気にするな」「なぜもっと早く言わなかったんだ」「やられたらやり返せ」という子供を責める言葉です。失望すると何も話してくれなくなります。
そして、何より大切なことは「いじめはいけないことだ」「もし、あなたがいじめられていても、それは恥ずかしいことでも悪いことでもない。」「いじめは、いじめる方が悪い」というメッセージを、日ごろから子供たちに伝えることです。子供たちの声なき声に気づくこと、そして子供たちが「声を上げやすい環境」をつくってあげることが、いじめ防止の一歩となることを信じています。
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