空気が乾燥すると、風邪やインフルエンザにかかりやすくなる
さらに、ウイルスからの攻撃に抗うためには、ウイルスと戦う自然免疫(NK=ナチュラルキラー細胞)を活性化する、あるいは風邪やインフルエンザなどのウイルス抑制作用がある成分を含む食品を意識して摂取することも有効でしょう。
ここでは、風邪やインフルエンザ予防に役立つと期待される成分を含む「5つの食材」を紹介していきます。
1.ヨーグルト
ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌などが腸内環境を改善し、整腸作用をもたらしてくれることはよく知られています。しかし、それだけではありません。小腸内には体内の約7割の免疫細胞が集中して存在しており、腸内環境をよくすることが体全体の免疫機能を高める働きにつながることが近年注目されています。数ある乳酸菌の中でも、近年は個々の商品によって異なる健康への作用がクローズアップされ、その機能をうたうヨーグルトも増えてきました。
特に風邪やインフルエンザなどに対する効果が報告されている乳酸菌の1つが「ガセリ菌SP株」です。ガセリ菌は、正式には「ラクトバチルス・ガセリ」と呼ばれる乳酸桿菌の1種で、以前はアシドフィルスキンに分類されていましたが、今では別の種類として分類されています。
ガセリ菌といっても、無数にある菌株ごとに能力は異なります。多くの菌株の中でも、優秀な株として選ばれたのがガセリ菌SP株で、世界で初めて「人の腸の中で生きたまま長くとどまる」ことが確認されました。ガセリ菌SP株が含まれるヨーグルトを食べると、生きたガセリ菌SP株が小腸内で3ケ月生きていたという実験結果が報告されています(北海道大学 遺伝子病制御研究所報告より)。
このガセリ菌SP株は免疫細胞の機能を高めて、インフルエンザウイルスの増殖を防いでいることが確認されました(マウスレベル)。ガセリ菌SP株を経口投与したマウスと、していないマウスにH1N1亜型インフルエンザAウイルスを感染させたところ、菌を与えたマウスの生存率は向上。また肺の中のウイルス量が少なくなり、さらにウイルスによって引き起こされる炎症が抑えられることも確認されました。
小腸に長くとどまりながら免疫機能を高めてくれるガセリ菌SP株は、風邪やインフルエンザ予防に積極的に摂りたいものの1つといえるでしょう。
2.緑茶
古くから薬としても利用された緑茶のカテキンは風邪予防にも役立つといわれている
緑茶に含まれているカテキンが、ウイルスの吸着を阻止して感染を防ぐのではないかと考えられ、旨み成分のテアニンやビタミンCも免疫機能を高めることに役立つといった研究報告があります。
たとえば、静岡県がまとめた『緑茶と健康のメカニズム 機能効用ナビゲーション2013』には、インフルエンザ予防効果は成人ボランティアを対象とした介入試験において、緑茶成分(1日総カテキン量378mg、テアニン量210mg)を5ヶ月間摂取した場合、緑茶成分を摂取しなかったグループと比べ、インフルエンザの発症が減少したことが報告されています。
また、静岡県茶産地の小学校児童を対象とした疫学調査において、1日1~5杯の緑茶飲用習慣をもつ児童は、1日1杯以下の児童と比べてインフルエンザの発症が少ないことや、海外の介入試験で緑茶成分の3ヶ月間の摂取により、風邪の発症者数および症状が軽減されたことが報告されています。
取材協力:雪印メグミルク株式会社