今回上演される『デカダンス』はオハッド・ナハリン氏の代表作数作品からハイライトシーンを集めた作品であり、上演地により演目を変えているという異色作。日本公演ではどのような作品を取り入れる予定ですか? 作品を選ぶ上で基準にするものとは何でしょう?
ナハリン>『デカダンス』は常に変化する“運動場”のようなものです。多くの作品の断片により構成されており、今回の日本公演には『sadeh21』と 『naharin's virus(ナハリン・ウイルス)』などを取り入れています。『デカダンス』に入れる作品は、我々の最近のレパートリーのなかから選択しています。そして、ダンサーや観客にも課題(チャレンジ)を与えるようにしています。作品の選択は自由に行い、動きや構成、音楽、ダンサーの性別、人数、ダイナミクスもオリジナル作品の要素から変化させています。私の役割は、“終わりのない物語”から筋の通った作品をつくり出すこと。それにより、全く違った作品が、具体的で、類似した世界に属すようになる。その結果、新しい視点で作品を見直すことが可能になるのです。
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上演地により作品が変わる一方、『アナフェイズ』は多くの地で取り入れられているとお聞きします。『アナフェイズ』は初演から20年以上経っても支持され、世界のカンパニーで上演されていますが、作品の色あせない魅力はどこにあると考えますか?
ナハリン>『デカダンス』には『アナフェイズ』の短いシーンが含まれていますが、それはまた『デカダンス』独自の面白い部分だと考えています。ダンサーが彼らの能力をどうあらわし、慣れ親しんだスキル、美しさ、自分自身を笑うことが出来るリミットを超え、どう深く探究していけるか。またその力を、ミニマルで繊細に見い出していけるか、というところにあると思っています。(C)Gadi Dagon