ストレス/その他のストレス

大人になれない男ゴコロに潜む「永遠の少年」の謎(2ページ目)

大きな夢ばかり語るのに、現実には何もせずにダラダラと生きている男子。こうした男性像は、「永遠の少年」という元型タイプに共通します。永遠の少年の行動パターンと、脱皮するために必要な行動をお伝えします。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

夜中にひっそり戦闘アニメを楽しむお父さんの気持ち

DVDを鑑賞するお父さん

ヒーローものをじっと見つめるお父さんの一人時間。そっとしてあげましょう

そもそも「永遠の少年」の心は、どの男性の心にも存在する元型です。しかし、多くの男性は永遠の少年を抱えながら、現実社会の中で自分にできる役割を探し、適応的な人生を選択していきます。同時に、母親からも卒業して異性や仲間との関係を築き、外界に開かれた自分の世界を構築していくのです。

このように、現実との折り合いをつけた男性にとって、永遠の少年は、ふと一人になったときに現れる“懐かしい自分の一部分”なのです。少年の頃に夢に描いていたヒーロー像と同化し、空へ宇宙へと羽ばたいていく自己をイメージしながら空想に浸るひとときこそ、永遠の少年になれる至福の時間。そんな時間は、現実世界のストレスから解き放って希望と夢を掘り起こし、明日への活力を与えてくれることでしょう。家族が寝静まった夜に、戦闘もののアニメに没頭する世の父親たちなどは、永遠の少年との回合を楽しむ好例だと思われます。

しかし、永遠の少年に振り回され、現実社会に適応できない人々は、いくつになっても夢のような自己イメージを空想し、ファンタジーと空虚感の間を行ったり来たりして生きていくことになります。そんななか、現実社会から取り残されるあせりは確実に強化され、「いまさらやるなら、もっとビッグなことを!」と取り組むべきハードルを上げながら、適応的な生活からますます遠のいてしまう人もいます。

永遠の少年から卒業し、適応的に生きるには?

では、こうした永遠の少年にとらわれた男性は、どのようにそこから脱皮し、現実社会に適応していけばいいのでしょう。永遠の少年を研究したフォン・フランツは、「何かを最後までやり通すこと」だと言いました。

合わない仕事を無理に押し付けても、現実への拒否反応が強くなるだけで、適応的な生活は遠のくばかりです。そこで、まずは本人がやりたいと思ったことを、どんなことでも最後までやり遂げることです。そして、ゴールから見える景色をじっくり味わうことです。何かを最後までやり通せば、そこから見える世界は、いままでの生活では得られないものです。その地平から自分なりに何かを感じ、考えることが次のステップに進むために必要となります。

小さなことでもかまいません。まずは、何かを最後まで成し遂げ、夢見る少年から本物の大人へと一歩進んでいきませんか?

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