ホークとプレズはどっちがすごいのか、反論、ディフェンス、最終弁論、ジャッジ
3、プレズチーム反論「ホークは、もとは自身のサイドメンだったセロニアス・モンクの「モンクス・ミュージック」において「エピストロフィー」と言う曲で、出を2回も間違えています。モダン・ジャズには適応していなかったのではないですか。」
モンクス・ミュージック
「モンクス・ミュージック」より「エピストロフィー」
バップの高僧セロニアス・モンクの代表曲の一つ「エピストロフィー」。この時は、ホークとジョン・コルトレーンという超一流のテナーサックスの新旧そろい踏み。ホークはこの曲「エピストロフィー」において、待ちきれずに2回も飛び出してしまうという若手のようなミス連発。コルトレーンを意識しすぎたのかも。いずれにしても、若い者に交じってもなおやんちゃなホークはすごい。
4、ホークチーム反論
「アメリカでは、カウントやデュークが意味がないということですが、それはカウント・ベイシーやデューク・エリントンよりもレスター・ヤングが優れていたという解釈でよろしいでしょうか。それは、随分強引な意見だと思いますが…」
5、ホークチームディフェンス
「ここではホークとプレズについて、両者の面からディフェンスをしたいと思います。ホークについては、確かにソロの出を間違えていますが、そんなことは小さなことにすぎません。なぜならば、モンク自身が他の曲、「ウェル・ユー・ニードント」で間違えているからです。自身の曲を間違えるほど難しい曲をリハーサルもない状態での録音。それでもこの演奏が価値のないものというわけではなく、芸術として、ジャズとして名演となっています。
一方プレズは確かに大統領と呼ばれましたが、これについてはプレズ自身が1959年2月のフランス「JAZZHOT」誌のインタヴューで自分は2番目の大統領だと言っています。では1番目は誰かというと、それは、コールマン・ホーキンスだとはっきり言っています。そのことからも、ホークの方が優位だということは、プレズも認めている事実と言えます。」
6、プレズチームディフェンス
「カウント・ベイシーやデューク・エリントンよりもすごいとは言っていません。あくまでも、ジャズテナー界においての大統領だという解釈です。それに、プレズのインタヴューについてですが、これは年下のプレズのホークに対するリスペクトで、遠慮して言っているのでしょう。それに、判断するのはあくまでも聴衆であり、周りの人びとです。
フォロアーについても、スタン・ゲッツを筆頭に、ズート・シムズ、アル・コーン、ビル・パーキンス、ブリュー・ムーアなどそうそうたるメンバーがプレズのプレイを追いかけました。そして、あまりに似ているので副大統領(ヴァイス・プレズ)と呼ばれたポール・クイニシェットなど影響を受けたテナーサックス奏者は数多くいます。その事実だけでも、プレズの方が影響力があったことは間違いがないところです。」
Cattin' With Coltrane And Quinichette
「キャッティン」
プレズは結局コルトレーンとの邂逅はありませんでしたが、あまりにプレズにそっくりさんなのでヴァイス・プレズ(副大統領)と言われたポール・クイニシェットはコルトレーンと対決しています。性急な若者コルトレーンに対して、ゆったりのんびりしたポールが対照的で面白い。ここは副大統領の貫録勝ち!
7、プレズチーム最終弁論
アメリカにおいて、最高の権威の象徴「大統領」。そしてただ一人ジャズテナー界の大統領、プレズと呼ばれたレスター・ヤング。そのことをもってしてもプレズこそが、ジャズテナー界の最大にして、最高のプレイヤーであることは間違いがないところです。
8、ホークチーム最終弁論
コールマン・ホーキンスこそがジャズテナー界において最高の影響力を持った偉人です。1、ジャズテナー界で最初のイノヴェーターであり、2、モダンジャズ期に入ってもモダンの奏者と共演し、影響を与え続け、3、ソニー・ロリンズを筆頭に多くのホーキンス派テナーの逸材を傘下から排出しました。この事をもって、ホークをジャズテナー界NO.1の影響力を持つテナーと致します。
9、ジャッジによるジャッジメント
今回の勝負、いかがだったでしょうか。ジャッジは、皆さんが下してください。
そして、勝敗が決したら、今度は全く逆の立場になって、もう一度ディベートをやってみましょう。ホーク派の人はプレズ派になって、プレズ派の人は今度はホーク派になって両者を擁護しましょう。そうすることにより、また違った一面を知ることができ、楽しみがどんどん増えることに気がつくでしょう。
さあ、あなたも、早速好きなミュージシャンでぜひジャズ版ディベート・ゲームやってみてください。ではまた次回お会いしましょう。